老子に学ぶ、現代社会思考~個の価値を尊重し多様性を踏まえた自己発信をしよう

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一般社団法人数理暦学協会の代表理事 山脇史瑞氏の解説による、老子の教え「道徳経」から学ぶコラム。

ジェネレーションZ(Z世代)と呼ばれるデジタルネイティブ世代は、スマホを駆使しSNSなどのデジタルプラットフォームを介して触れる情報から環境や社会の問題に高い関心を持つとのデータがあります。
環境問題を自分たちが解決すべき問題と捉え、これからの世界を牽引する彼らこそ、老子のいう「自然」のあり方について学ぶべきと山脇氏は分析されています。

価値も生き方も、ビジネスも、多様性を極める時代。
企業として、個人として、どんな自己発信をしていけばよいのか、老子の教えにヒントが隠されているようです。

Z世代の功罪

一般的に、
1990年後半~2000年代生まれの人達を、
Z世代という。
年齢でいえば、10代~25歳前後。
スマホと共に成長した世代だ。

スマートフォンの発明により、
マスマーケティングの呪縛から解放され、
「自分の価値観」に合うかどうかで
彼らは選択できるようになった。
だがその一方で、自分の発信も、
すぐにWeb上で拡散され、
下手すると非難され、
その記録を消すことすら出来ない危険に晒されながら、
成長してきた世代でもある。

そんな彼らが目指すのは、
多くの人の心を動かす何かを提供できる自分

自分を発信する方法

非難されずに、多くの人の心を動かすには、
大きすぎて、
漠然としていて、
誰も否定できないものがいい。

そこで登場したのが、「環境問題」だ。
地球温暖化は全人類共通の課題であり、
自然災害が起こるたびに関心が集まる。

「環境意識の高い系」
である自分を発信するためには、
環境への貢献を
しっかり表明している商品を選択する。

ゆえに企業としては、
自社がなぜ社会に存在するのか
という存在価値を明確にして発信し続けること
が重要になる。

メッセージ力の高い企業には、
意識高い系の人材が自ずと集まるのだ。

余計なものの排除こそが“自然”

そもそも、自然環境とは何なのか。
自然という言葉を、
はじめて使った人物こそ、老子だ。

ここをって聖人は、
欲せざるを欲して、
得難きの貨を貴ばず。
学ばざるを学びて、
衆人の過ぎたる所をかえす。
以って万物の自然をたすけて、
しかして敢えてなさず。

道徳経 六十四章


欲望と知識に溺れ慎重さを欠くことで失敗するのだから、聖人は欲望を抑え、モノには目もくれず、余計な知識は排除し、焦りや油断が生まれないようにする。
こうして万物の自然のままの姿を大切にし、余計なことはあえてしないのがよい。


老子のいう「自然」とは、
現在使われているような意味ではなく、
おのずからしかという意味である。

反対語は不自然ではなく、他然。
他者によって成り立っている状態を意味する。

マスマーケティングの考えそのものが他然だ。
カスタマーは神(マーケッター)の意志で
購買意欲をかきたてられ、
商品を購入する。

他然は画一性であり、自然は多様性である。
自ずから然るとは、
それぞれの価値観を尊重することで、
自然に引き寄せられてくること。

多様性こそ自然のありのままの姿であり、
お互いの自分らしさを尊重することで、
地球環境も保たれる。

世界には、多種多様な人たちが住んでいるのに、
販売する商品の企画会議に、
日本人男性しかいないことなど、
多様性が求められる時代では、
不自然極まりない。

それぞれにとって住みたい場所が多様であれば、
大型開発をして自然を壊す必要もない。
個々の欲しいものが多様であれば、
人と争って入手することもない。

世界中から発信される情報を、
ごく自然に自ら見つけにいくZ世代には、
マスマーケティングの手法は通用しない。
では、多様性の時代のマーケティングとは
どうあるべきなのだろう。

そもそもマーケティングという言葉自体が
多様性を指すものではないのだから、
ビジネスそのものの根本が
変わろうとしている時代なのだと、
私たちは自覚すべきではないだろうか。

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参考:世界経済フォーラムの年度調査「グローバル・シェイパーズ・アニュアル・サーベイ2017」
出典:老子と学ぶ人間学⑩老子を学べ!Z世代
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

山脇史端
一般社団法人数理暦学協会 代表理事
算命学カウンセラー協会主催

投稿者プロフィール
13代算命学宗家・故高尾義政氏・清水南穂氏直門下生として、清水氏に20年師事。当協会の学理部門を総括する。
一般社団法人数理暦学協会代表。
担当講座は、干支暦学入門講座・干支暦学1級講座・講師養成講座・数理暦学講座など。
IT事業、企業研修、オンラインシステムの運営を担当

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