IEOやDAOへの投資は魔界への入り口か? (後編)

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IEOやDAOに投資する際の注意点

M&AなどのDDと同じ視点を持つ

個人的には、IEOへの投資にもDAOへの投資にも魔界コインへの投資にも懐疑的です。
では、どうすれば良い投資先を見出せるのでしょうか?

その答えはシンプルで、スタートアップ・ベンチャー投資のデューデリジェンスと同じだと思います。
長期でトークンに価値を還元できるモデルになっているか?
有言実行でやり切るチームか?
などといったことを見極めるということですが、これが一番難しいのです。

その背景には、業界の問題として、

  • IEOの審査基準はどうなっているのか?
  • プロジェクト側に、失敗したときのディスインセンティブ、ダウンサイドリスクをつけなくて良いのか?
  • 活動報告など、情報の透明性を改善させることが必要ではないか?
    など、当たり前のことが整備されていないという課題もあるでしょう。

2022年に問題となったFTX騒動も同様です。
現状は、「とりあえずIEOやDAOだから飛びついてしまっている」ということだと思いますが、それではあまりにも成功確率、生存確率が低いのです。

海外の事例を見てみると、バイナンスのように実際にIEO後に世界的に成功したプロジェクト(PolygonやAxieなど)を輩出したIEOプラットフォームも存在します。
IEOプラットフォームとしての腕が試されるわけですが、独自の審査基準を持っているプラットフォームは勝ち残るのかもしれません。
上場ゴールを避けながら、投資家にとっても意義のあるプロジェクトを選別できるようになれば、国産IEOも盛り上がりそうです。

「クリプトの冬」の雪解けまでの過ごし方

FTX騒動以後も「クリプトの冬」は続いていますが、そんな暗号資産冬の時代を投資家としてどのように過ごすのが良いのでしょうか?

私は一ホルダーとして、何度もこのような冬を経験しています。
2014年のマウントゴックス事件しかり、2018年のコインチェック事件しかり。
FTX騒動も一事業者の破たんに過ぎず、ビットコイン等の暗号資産そのものの問題ではありません。

世界的にはまだまだ法整備が追い付いておらず、既存の金融業界の人から見ればあり得ないような管理が暗号資産の世界ではされているのでしょう。
各国で法整備が進み、また国際的なルールが整備され、個人投資家も機関投資家も参入できる環境が整えば、暗号資産業界はまだ伸びしろがあるのではないでしょうか。
マウントゴックス事件の後もコインチェック事件の後も、暗号資産業界への資金流入は伸び続けてきました。
一時的な低迷期は数年に一度のペースで訪れるものの、長期的に見れば拡大傾向にあります。

極寒の時代にこそ暗号資産に関する見識を広げ、長期保有を続けるのが良いのではないかと思います。
もしくは、ドルコスト平均法などで買い増すのも選択肢の一つです。
また、クリプトの冬の期間にも着々と種まきがされています。

新しいユースケースが、今後も増えていくでしょう。
暗号資産関連の企業に投資するか、自社で関連する新規事業を始めるなど、なんらかの形で業界に参入するのも一考なのではないでしょうか。

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中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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