連結財務諸表で管理業務を強化!メリットや実際の流れを解説

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決算は、株主、投資家、金融機関など、外部のステイクホルダーに会社の財政状態・経営成績を伝達する役割を担う大切な業務です。グループ企業を抱える場合、グループ全体の財務状況を正確に把握するために連結決算が行われます。ここでは、SOWA税理士法人代表、公認会計士で税理士の廣幡英和さんに、連結決算について解説いただきます。

連結決算とは

連結決算とは、親会社だけでなく、国内・海外子会社および関連会社を含めたグループ全体の決算報告のことです。
連結決算では、企業グループ全体の貸借対照表や損益計算書を連結財務諸表として作成しています。
グループ全体を把握することが可能となるため、M&Aや子会社を新設した際などに行われることがあります。

連結決算の対象

子会社や関連会社を有する企業は、連結決算の対象となっています。
一般的には、議決権が過半数を占める企業は子会社となりますが、過半数を下回っても、一定の条件を満たすことで子会社として扱われる場合があります。

連結決算を行うメリット

連結決算を行う最大のメリットは、子会社や関連会社を含めたグループ全体の財政状態・経営成績が明確になる点です。
グループ会社間での取引等が含まれていると、企業単体での決算だけでは全体の経営状況を把握しにくいため、連結決算での可視化が経営判断に資するうえで不可欠なのです。

連結決算を行うデメリット

連結決算は、連結財務諸表の作成に時間と手間とコストがかかることがデメリットです。
連結決算書類作成会社は会計監査人の監査を受ける必要があり、中小企業にとっては大きな負担となります。

大企業になると数百の連結子会社を抱えている場合もあり、各会社の経理担当者と連携を取り、単体決算書類を回収して合算するのは非常に大変な業務です。
連結決算書類を作成できる会計システムは存在しますが、システム導入には一定のコストがかかるため、経理担当者がエクセルファイルを利用して書類を作成しているケースも珍しくありません。

連結財務諸表とは

連結財務諸表とは、親会社が2社以上の会社からなる企業集団をひとつの組織として、投資家等に総合的に報告する資料のことを指します。

グループ間相殺消去後の収支を把握できる

連結財務諸表はグループとしての財務状況を表すため、グループ内での取引を相殺する必要があります。
子会社・関連会社ごとに個別の財務諸表を作成したのち、投資と資本の相殺消去・債権債務の相殺消去・未実現利益と未実現損益の消去・持分法の適用等を行います。
連結財務諸表を作成するメリットは、グループ間での利益調整取引を除いた数値を明確にし、グループ全体としての損益を把握することです。

連結財務諸表の構成要素

連結財務諸表は、連結貸借対照表・連結損益計算書・連結キャッシュフロー計算書・連結株主資本等変動計算書などで構成されます。

▶次のページでは、連結決算がどのように行われるのか、実際の流れと手順、注意点についても解説いただきます!

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廣幡 英和
SOWA税理士法人代表・アイル監査法人パートナー
公認会計士 税理士

投稿者プロフィール
1981年生まれ、広島県出身
大手監査法人で上場会社の監査を経験した後、独立
2019年アイル監査法人パートナーに就任
2022年SOWA税理士法人代表に就任
税務業務、中小企業のコンサル業務を展開。幅広いネットワークを活用しビジネスの相談ができる専門家としてビジネスモデルの検討、事業再構築補助金等の相談、融資相談、事業計画書作成にも多く携わる。
宅地建物取引士(旧 宅地建物取引主任者)
Space Aviation株式会社の取締役・株式会社ニッシンイクスの取締役・一般財団法人健やか親子支援協会の監事などを歴任

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