ピンチをチャンスに変える事業承継 (前編)”異業種への進出”
- 2020/12/2
- インタビュー
目次
孤立無援での事業リノベーション
――話は戻りますが、トーマックの譲渡を受けられた時は、それまでの紙の卸売会社から金型会社を引き受けての製造業への転身、当時はまだ事業拡大のためにM&Aを行う中小企業は珍しかったと思いますが、周りの反対はありませんでしたか?
青沼氏――実は社内の人間全員に反対されました(笑)。
税理士や仕入れ先からも反対されたんです。
紹介側の銀行もあとは自分で決めてねという感じでした(笑)。
変な話、私が会計の仕事をしていたからかもしれませんが、取り扱う物や設備というものに拘っていなかったんです。
紙と金型・トレーの何が違うの?と。(笑)
――卸売業から製造業への事業リノベーション。いろいろご苦労もあったことと思います…。
青沼氏――城南洋紙店の代表者に就任した時は、いきなり自分が代表になり先代と一緒に働いてきたベテランさんが辞めたり営業マンが顧客を持って独立してしまったりと随分苦労したんです。
それで、今回は元の社長には会長職に就いて頂き、営業や製造部門も大きくは変更せず、私は代表社長ですけどCFO的な立場で会社に関わりました。
5年間財務面を中心にいろいろ吸収しながら一歩後ろにいるようにして、会長が退くタイミングで会社全体を見るようになりました。
円満譲渡後のリーマンショック?!
――円満に引き継げたわけですね!
青沼氏――そうですね。
でもちょうどそのとき、2010年のリーマンショックがやってきたんです!
――え?せっかく落ち着いたと思ったら?!
青沼氏――譲渡後、毎年伸びていた売上も、リーマンショックを機に半減となりました。
でも、スタッフの頑張りで何とか持ちこたえることができたんです。
このような経験もあって、中小企業の要は「人」だと痛感していますから、働きたい人が何歳になっても働ける環境こそ大切だと思っていて、その環境づくりに今も力を注いでいます。
手彫りでの木型製作など、希少な技術を持つ職人も常勤で抱え長年働いてくれていますので、技術力で他社と差別化を図り、利益率の向上を図りながら事業拡大を目指しています。
※この続きは後編「ピンチをチャンスに変える事業承継(後編)”中小企業のM&Aは人材が命”」でお届けします。ご期待ください!