
SNS時代の特徴に目を凝らし、進化したAIを活用してマーケティングにおける有意義な新規事業の立案や商品改善ができないかー。
そんな思いから、2020年9月にゼロスタ株式会社を設立した代表取締役の赤谷翔太郎さん。
SNSを牽引しスマホやアプリを駆使して消費の中心になりつつあるZ世代に向けて、AIを活用したデジタルマーケティングによる効果的なアプローチで、あらゆる企業のあらゆる商品、サービスが売れ続ける世界の実現を目指されています。
人々の価値観の多様化により、従来のマーケティングが通用しない時代における赤谷さんの戦略とはどのようなものなのでしょうか。インタビューの内容を3回シリーズでお届けします。
目次
19歳、カナダでパイロットの資格を取得
Z-EN――本日はよろしくお願いいたします!赤谷さんは、「誰も見たことのない世界を0[ゼロ]から追求し自らの手で1を創造し続けることで社会に新たな価値を還元する」という思いを込めて1年4か月前に ゼロスタ株式会社 を創業されたとのことですが、以前からチャレンジ精神はお持ちだったのですか?学生時代のエピソードなど教えてください。
赤谷翔太郎氏(以下、赤谷氏)――⼩学⽣の時、⽊村拓哉と柴咲コウが主演のパイロットドラマを視聴した際、パイロットになれば柴咲コウと付き合えるのかと勘違いし、パイロットになるにはまず英語を習得しなければ!と、中学卒業後単⾝でカナダのバンクーバーの公立高校に留学し3年間を過ごしました。
高校時代は恥ずかしいのですが学校に行かない日も多く、同じ高校の少し悪めな同級生と仲良くなり連れだって遊んでいました。
お陰で英語はペラペラになりましたよ(笑)。
卒業後は、さらに1年間パイロットの専門学校に通ってセスナの免許を取得し、パイロットになる夢をかなえました!
高校卒業したばかりの19歳でセスナの免許を取得したのは、日本広しといえど自分だけかと思います(笑)。
帰国後はAO入試で早稲田大学政治経済学部に入学することになります。
物事を俯瞰し、複合的に分析
――夢をかなえたのですね!素晴らしいです。大学生の時はどんなことをなさっていましたか。
赤谷氏――毎日、渋谷や新宿に繰り出してはひたすら女性を観察しておりました(笑)。
通行する女性の目線の先や歩くスピード、何人で誰と一緒にいるか、そんなことを複合的に分析して、ナンパの成功率をどんどん高めていきました。
つまり、
私には物事を俯瞰的に見てしっかりと分析し、行動し続ける力があるのです!
これは実際にアクセンチュアの入社試験の最終面接で話したことです(笑)。
この主張が受け入れられたのか、アクセンチュアに入社することができました。
市場調査における課題解決をめざして起業

ゼロスタ株式会社 HPより
――面白いエピソードをありがとうございます。その後、起業にいたるきっかけはどのようなことだったのでしょうか。
赤谷氏――アクセンチュア入社後は、コンサルタントとして、NTTドコモなど通信事業者をメイン顧客としながら、スマートシティや飲食、建築や介護など、通信×さまざまな領域の新規事業を担当していました。
BtoC領域で顧客を理解し、その意見を反映させたサービス開発や新規事業の立案は難易度が高いものです。
まずは市場調査として調査会社に依頼して消費者インタビューを行うのですが、対象となる方々は調査会社のポイント目当てにサイト登録しているような層で、調査する分野への深い知識があるわけでもありません。
にもかかわらず、その人たち10人を紹介してもらうのに100万円を請求されるビジネスモデルに疑問を感じていました。
これだけSNSが発達したいま、例えばアパレルのようなメジャー領域から、トレイルランのようなニッチ領域まで、それぞれの場で活躍するリーダー的存在の方々にインタビューができたら、もっと企業のマーケティング精度を高められ、より有意義な新規事業の立案や商品改善ができるのではないか。そういったサポートが独自でできないだろうかと考えるようになり、起業を決意しました。
AI+人の創造性で当たり前をゼロからデザイン

ゼロスタ株式会社 提供資料
――御社のサービスのコンセプトを教えてください。
赤谷氏――理念としては、AIと人の創造性を組み合わせて世界中の当たり前をゼロからデザインすることを掲げて日々活動をしております。
まずは、Z世代に向けたデジタルマーケティングとしてAIを活用し、あらゆる企業のあらゆる商品、サービスが売れ続ける世界を実現したいと思っています。
昔はテレビで画一的なCMを打てば皆さんが同じ商品を買うという、マスマーケティングの時代がありました。
でも、現在の情報獲得の手段はInstagramやTik Tok、Twitter、YouTube、はてなブログなどさまざま。さらに趣味趣向も多様化し、それぞれの分野も細分化されてきています。
これに対応するためには、トライブと呼ばれる、「興味・関心やライフスタイルが共通した集団」ごとに適したマーケティングを打たなければ、商品が売れない時代になってきていると捉えています。
顧客課題をワンストップで解決するプラットフォーム実現へ
――トライブごとへのマーケティングですか!そうしたマーケティングにはどのような仕掛けが必要ですか。
赤谷氏――AISAS(アイサス)と呼ばれる消費者の購買行動プロセスを説明する代表的なモデルがあります。

ゼロスタ株式会社 提供資料
トライブの購買行動は、SNS上で誰かが「こんな商品があるよ」と発信(=注意喚起、Attention)すると、「この商品はどのような効能があるんだろう」「興味があるけど、どこで買えるんだろう」と関心(Interest)を持って検索(Search)し、気に入れば購買(Action)します。そして、「こんないい商品があったよ」と仲間うちに情報共有(Share)するという流れです。
このサイクルがうまく回れば回るほど、他のトライブや他の属性の人たちの購買にも繋がり、長く売れ続け、愛され続ける商品になっていくという仕組みです。
ただ、Z世代はセグメントが非常に細分化されているので、狭いセグメントにどう差し込めば顧客獲得に繋がるのかがわかりづらいということが大きな課題だと思っています。
そのため、我々は各フローにおいて、それぞれに適した価値やシステムを提供し、各フェーズの顧客課題をワンストップで解決するプラットフォームを実現しようと考えているところです。
中編「Z世代の属性・行動を理解し、インフルエンサーで訴求する」では、各企業がリーチしたいZ世代に対して、赤谷さんがどのようなマーケティングを展開されているのか?その手法を具体的に教えていただいています。お楽しみに!