FC成功の秘訣は加盟店との距離感にあり!(後編)

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これからのビジョンについて

――今は投資事業がメインですか。

宮嵜氏――基本は投資ですが、FCの経験から、FC本部設立への投資→拡大のお手伝い→売却のお手伝いがメインです。

――投資先としてお勧めはありますか。

宮嵜氏――あります。
が、正直今、コロナが収束していないので暫くはわかりませんね。

投資のポイントは現状黒字経営の企業

――FC本部への投資とは、FC立ち上げ時期に本部となる会社に出資するという意味ですか。

宮嵜氏――そうですね。
ただ、今現在わずかでも黒字事業であることが前提です。
ステージ的には大きな額を投資する必要がない段階ですが、それを専門でやっているところは少ないと思います。
FC本部への投資は、投資して2年以内にM&Aエグジットできるところに絞っています。

――FC本部を作りたい方は多いので需要は高いでしょうね。そこのコンサルと投資を半々くらいでしていくということでしょうか。

宮嵜氏――はい。
最初は毎月定額のコンサル料をもらっていたのですが、きちんと固定で貰うと、大した進捗もないのに月に何回か資料を作って中身のない打ち合わせをして仕事をしたフリみたいなことをするのが嫌になって。
他のコンサルの方はちゃんとされていると思うんですが(笑)

僕はこういう性格なので、株の10%~30%を入れさせてもらって株主になり、あとはコンサル料ゼロで、売却されたときにキャピタルゲイン(売却益)をもらうというやり方です。
この方がコンサル先(売却希望会社)と利害が一致していると感じています。
去年の11月から、30社の顧問先をその方式に変えていただくか、コンサル料をゼロにして「いつか投資させてね」と言って応援させてもらってます。

多様な業種に着目!

――業種としては食品系の投資が多いですか?

宮嵜氏――いえ、今お手伝いしている業種は、飲食店、不動産、WEBマーケ、美容クリニック、カーシェアなど、幅広くこだわらないで、農業とバイオ以外は投資対象としています。

――現在の状況を聞かせてください。

宮嵜氏――出資先は今6社で、会社を起して2年経ちます。
12社に出資して6社M&Aでエグジットしました。
時期も良かったんだと思います。

大切なのは投資先だけに注力すること

――2年で6社をエグジットとは素晴らしい!ある意味、FC本部のファンドですね。

宮嵜氏――そうですね。
我々のいいところは、人様のお金を預かっていないところ。

ファンドではなく、エグジット経験者が直接的に投資できる仕組みをつくっているので、どちらかというとエンジェル連合体のイメージです。
ファンドを作ると、ファンドの出資者の方を常に向かなければならず、彼らを儲けさせるのが一番になってしまう。
私たちはそれがないので、ただその投資先の会社だけを見てできるという利点があります。
また、お金の面でもFC本部はそんなにお金を必要とせず成長のきっかけを作れます。

※スタートアップ企業に資金を供給する富裕な個人のことをエンジェルと呼び、その集合体がエンジェル連合体。一般的には、株式や転換社債を投資の見返りとして受け取る。連合体と呼称される所以は、情報を共有し共同出資を行うなどの活動をしていることによる。

働く人の継続率を高める

――豆吉郎のFCが成功した要因はなんだったと思われますか?

宮嵜氏――一人ひとり働く人の継続率が高く長く続いたことが、お客さんも続いた要因になってうまくいったということなんでしょうね。
本部としたら、数字を上げることへの努力をしなくてよかった。
お客さんが待っているから行くみたいな感じで、ノルマもなし。
お金を得るというだけでなく、時間を自由に使えるのは良い要因だったはずです。

ただ報酬が100%インセンティブだったので売れない方はしんどかったと思います。
会社として成功した理由を問われると、豆腐の販売そのものよりビジネスの仕組みを売るということで利益を上げたということですね。

リアルタイムで状況把握~システム力で事業拡大

――豆吉郎がうまくいっているのを見て、モデリングする会社もあったでしょうね。豆吉郎スタイルを真似て移動販売をエリア展開する会社もあったんでしょうか。

宮嵜氏――ありました。
移動販売車5台くらいまでならうまくいったんじゃないでしょうか。
僕は、販売車が17~18台しかないときに1,000万円くらいかけてオリジナルの在庫管理、売上管理システムを作ったんですが、例え豆吉郎を真似てもシステム管理ができないと5台以上にはならないです。

システムがないとリアルタイムで在庫や扱う現金などの状況が把握できなくなります。
僕はシステムを作ることで管理ができたので、増やせたんだと思います。
そもそも儲かりそうにないので、新規参入が少なかったのもラッキーでした。
豆吉郎を辞めた人が何人かやりましたが、半年続いた人は多分ゼロだと思います。

――先を見越した思い切った投資も大切だということですね。

宮嵜氏――そうですね。
FCにしたら伸びそうなビジネスはたくさんありますから、いろいろ研究をすすめてチャレンジしていただければと思います!

本稿の前編「小資本でもフランチャイズ本部はつくれる!」はこちらから

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宮嵜 太郎(みやざきたろう)
V&Mパートナーズ㈱ 代表取締役社長

投稿者プロフィール
1980年生まれ福岡県出身。高校中退後、京都と東京で造園業や訪問販売会社への勤務を経て、24歳の時に起業。5社の新会社設立と約12の新規事業を手掛けるが、経験不足などで多くの失敗を経験する。
その後すぐに、豆腐の移動販売会社(株)豆吉郎を10万円の開業資金にて創業。限られた資金のなかでフランチャイズモデルを確立し、全国に展開。約700名と契約し、全国最大の移動販売組織を構築した。12年間運営した後、36歳の時に西日本新聞社に全株式を売却。

その後、都内のベンチャーキャピタル企業への勤務を経て、V&Mパートナーズ を設立。ベンチャー投資、M&A支援、FC本部設立支援業務を行う。
著書に「元手10万円で100億円の売上をつくった 事業のコピペ術~フランチャイズ本部のつくり方」がある。
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