小資本でもフランチャイズ本部はつくれる!(前編)

Z-EN読者のなかでも、フランチャイズ本部を運営してみたいと思われる経営者の方は多いかと思います。今回は、ゼロから豆腐移動販売事業 ㈱豆吉郎を立ち上げ、FC本部に成長させ、たった12年で事業売却したご経験を持つ、V&Mパートナーズ㈱代表取締役社長 宮嵜太郎(みやざきたろう)さんに、ゼロから大手新聞社にエグジットするまでの貴重なご経験を元に、小資本でも事業を大きく成長させる仕組みと秘訣を余すところなくインタビューさせていただきました!

事業を拡大したいベンチャー・中小企業の経営者、これからフランチャイズ本部を立ち上げたい方は、必読です!

豆腐の移動販売スタート

―最初はどのような形で始められたんですか?

最初は5万円の軽トラと5万円分の在庫を買って、売上を追っていくというスタイルでやっていました。フランチャイズにしようとは思ってなかったんですが、ヤクルトレディのように真似できたらいいなと思って。そもそも固定で払える給料など、お金もなかったので、100%インセンティブ制でしか考えてなかったですね。

―フランチャイズを始められたのはどのタイミングからでしょうか。

最初から、やっていることはフランチャイズと同じことだったと思うんです。ヤクルトを想像してもらうとわかりやすいと思いますが、本部があってその下に営業所があって、そこに何十人っていうヤクルトレディの方が紐づいている。そんな営業所の一つを買いたい人が現れて、それが売れたんです。

仕組みを売るためのからくりとは?

エリア販売(ヤクルトでいう営業所)

そのときエリア売却ってすごいなって思いました。自分の土地でもないのに加盟金として売れるから。しかも全額儲けじゃないですか。正直、販売員さんは豆腐を売ってご飯を食べられていたと思うんですけど、会社自体は豆腐を売る利益はそんなになかったんです。ほとんどは豆腐が売れる仕組みをつくってその仕組みを売却することで利益を上げていました。

営業所を作っては売るっていうことを繰り返していたので、それが例えば初期費用50万円の倉庫に3か月くらいで営業所ができたら1,000万円とかで売れたりするんですね。ビジネスの仕組みを売るっていうのはすごいなと実感しました。それがフランチャイズの一番の醍醐味。本部側からしてみると、どこそこのエリアが空いてますけど加盟金1,000万円でどうですか?って売れちゃうわけなんですね。

―実際、新規加盟はどのくらいの費用でできるんですか。店舗がないからそんなに高くないですよね。

豆腐を売る人(ヤクルトでいうヤクルトレディ)は、制服代など込みで加盟金1万円でやってました。コンビニと同じように2つやり方があって、一つは、何もない所に営業所を作りませんか、売上はこれくらい立ちますから…っていうやり方。もう一つは私たちのやり方ですが、営業所を作っちゃって売上も上げて営業権を売るという方法。当然、リスクも本部が先に持つので、大体3か月分の売り上げの平均で3か月以内に売っていました。売り上げの平均が500万円なら500万円が売却金額です。

信頼できるパートナーに”のれん分け”

―営業してから売却ですか。それは安心感がありますね。

そこに働きに来た人たちに売却していましたので。

―働きに来た人たちに売却するということは、いわゆるのれん分けですね。

そうです。のれん分けです。

―では、フランチャイズでの募集はやっていなかったんですか?広告を出したりとか。

アントレで募集したことはあります。応募はありますが、アントレなどから応募される方は資料集めが好きな方が多いので、こちらとしても実益の割には手間がかかり、業務内容がよくわからないまま開業するのでトラブルにもなりがちなんですよね。

―フランチャイズ本部はトラブルには慣れていると思いますが。

ただ、やはり、事業をちゃんとわかってくれる方に買ってもらった方が早い。トラブルも避けられます。俗にいう「ゼロ次募集」で、実際に働いていながら「やりたい!」と言ってくれる既存の販売員さんに売却してエリアFCオーナーになってもらうのがほとんどでした。

㈱豆吉郎の成功要因

―移動販売は、競合もいろいろあると思うのですが、うまくいったきっかけやタイミングなど、成功要因は何だと考えていらっしゃいますか。

業界にもよると思いますが、流行っているビジネスは、本気の方たちがものすごく多いじゃないですか。でも、豆腐屋の移動販売事業の拡大を本気でやっている人は、それほどいないと思うんです。「なんとなく売れたらいいな」くらいの人が多いから、ライバルがいないし新しいことを求めていない業界だったので、システムやGPSの導入、商品ブランディング、FC制度など業界としては新しいことをしたのが成功の要因ですね。

豆腐の移動販売だからできたこと

-豆腐の移動販売って、地域限定で、チャルメラ吹いているイメージですよね。エリア展開していかれたのが良かったんですね。

僕が始めたころの豆腐屋さんはHPがない会社も多かったんです。だから、把握はしていませんが、他に同じようなエリア展開をしているところがなかったんじゃないですかね。今でも、移動販売車10台程度まで持っている会社は結構あると思いますが、50台以上だと、全国に1~2社だと思います。

-でも、需要はありますよね。豆腐はみんな食べますから。

スーパーを回ってみても、原価率が50%以下の商品って、魚介系か豆腐くらいしかないですね。野菜はブレが大きいし、調味料なら原価率(仕入)7~8割。原価率が50%以下の商品を扱いたいと考えていました。豆腐は20%くらいで、毎日食べるものなのでちょうどよいと思ったんです。

外に出さないことで付加価値をつける

―お豆腐の原価率ってそんなに低いのですね。

ものにもよると思いますが、移動販売なので、付加価値をつけて売るため原価率が低いんです。スーパーでも豆腐の原価率は30%くらいだと思います。一般の食品の小売りの原価率は70%~80%くらいがほとんど。僕らは飲食店並みの原価でやろうと考え、全部オリジナル商品にしてよそと値段だけで比べられないようにしました。その代わり、よそには卸さない、豆吉郎の販売員しか売れないようにしていました。それが販売員の独立も防げたし良かったんじゃないかと思います。

―なるほど!皆が食べる豆腐にさらに付加価値もつけていたわけですね。

何より豆腐はピープーと笛の音を流して売ることがポイント。創業したころ、沖縄から北海道までエリアを広げられる商材について聞き込みに行ってみたんですが、豆腐屋だけは、どこの地域の人もピープーという音でみんなわかるんです。これは宣伝費を使わずに全国制覇できるぞと思いました。

個人の能力に依存するな!

-そうすると、宮嵜さんの著書にもありましたが、特定の営業力には頼るな!ということですか。

フランチャイズの加盟店に頑張りや営業力とかを求めてはいけない。というか無駄だと思っていました。楽にできて、ただ商品を積んで集客の音(ピ〜プ〜)を鳴らすだけで売れるよっていうのを作りたかった。特定の人にしか売れないのでは広がらないと思いました。

日常で当たり前に消費される商品がポイント

-著書のなかに「フランチャイズ本部運営の基礎知識」というところで、「個人の能力で成り立っているのはだめだ」「世間に周知された商品がいい」とありますが、まさに豆腐がそうですね。また、大手がやらない、やりにくいんですね。あと、商品選びのポイントは「リピート性が高いこと」と「在庫」とあるんですが、在庫とは?

豆腐は腐るので大変でしょうと言われますが、実際の廃棄率は1%以下です。その理由は、みなさんが豆腐を食べる量というのが決まっているからなんです。お金のある・ないや天候にも左右されない。売り上げが爆発的に伸びる事もない代わりに落ち込むこともない。仕入れの予想がしやすいんです。お客さんの9割以上がリピーターだったので、ほぼ、注文を受けて帰ってくる。リスクはなかったのと、残った賞味期限1日とかの豆腐は大きい居酒屋さんに卸していたので、実質廃棄はゼロだったのではないかと思います。

-本部も加盟店もキャッシュフローがいいですね。

キャッシュフローはいいです。加盟店さんは常に現金が入ってくるので。

売却先企業との距離感が重要

-ここに出てくる人たちは加盟金の初期費用が大体1,000万円~2,000万円くらいですが、投機した不動産は数百万円かからないくらいですよね。

そうなんですが、今、新聞社さんが買われてフランチャイズをあまり募集していないと思います。トラブルを嫌うので、直営でやるみたいです。

-それでもうまくいっているんですね。M&Aをした後にうまくいくケースも多々あるのですけどね。

コロナの影響もあって、うまいタイミングで外食需要から移行したんですね。対前年比160%くらいと聞きました。

―今も接点はあるのでしょうか。

ほぼないですね。

―西日本新聞社さんが新聞のネットワークを活用して現在やられていますが、業界からすると、すごく思い切ったなというイメージだったんです。実際の引き継ぎはどうだったんですか。

大変でした。僕自身がちゃんと勤めたことがなかったところに、長い歴史のある新聞社だったので、会議なども1年くらい参加していたんですが、正直、馴染めなかったですね(笑)。今までのM&Aの仕事を振り返ってもそうなんですが、買収した会社は1年ほどは今まで通りにやってもらって、そのうえで何かしら関わっていくのが良いのかもしれないと思っています。買収した会社の企業文化を大切にしないM&Aはほぼ数年後に失敗していますね。

※この続きは「FC成功の秘訣は加盟店との距離感にあり!」でお届けします。

宮嵜 太郎(みやざきたろう)
V&Mパートナーズ㈱ 代表取締役社長

投稿者プロフィール
1980年生まれ福岡県出身。高校中退後、京都と東京で造園業や訪問販売会社への勤務を経て、24歳の時に起業。5社の新会社設立と約12の新規事業を手掛けるが、経験不足などで多くの失敗を経験する。
その後すぐに、豆腐の移動販売会社(株)豆吉郎を10万円の開業資金にて創業。限られた資金のなかでフランチャイズモデルを確立し、全国に展開。約700名と契約し、全国最大の移動販売組織を構築した。12年間運営した後、36歳の時に西日本新聞社に全株式を売却。

その後、都内のベンチャーキャピタル企業への勤務を経て、V&Mパートナーズ を設立。ベンチャー投資、M&A支援、FC本部設立支援業務を行う。
著書に「元手10万円で100億円の売上をつくった 事業のコピペ術~フランチャイズ本部のつくり方」がある。
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