日本の底力をアップさせる~新シルバー世代の経営者

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ある日、アスクルからFAXが届き即決

――その後、どのように文具の通販業界に進出されていったのですか?

長屋氏――生産性が上がってきたとはいえ、印刷業界も厳しい経営環境になりつつありました。
そんななか、「アスクルやりませんか?」というFAXを見つけました。
これは、自分が考えていた仕組みと近い!と思い、すぐにやります!と返事をしました。
それが26年前のアスクルの創業の時です。

すぐにプラスの本社に飛んでいきました。
それまでの文具の最大仕入れ先はITOで、年間4億円に対し、プラスの仕入れ額は年間百万円にも満たない状況でした。
まずは名古屋を基盤に営業をかけ、売上も順調に伸びていきました。

その当時にアスクルを始めた代理店から、現在、売上200億円という企業が出ています。
当時、文房具販売の粗利率が40%だったのに比べ、アスクルの粗利率はかなり低かったですが、通販で経費も掛からないので、成長できるという確信はありました。

――即断即決だったのですね!

長屋氏――アスクルは、長屋印刷の一ブランドだった「一貫堂」を切り出して法人化し、営業力強化のため私が社長になりました。
大きく成長できた理由は、中小企業の開拓ではなく中堅・大手企業の開拓を行ったことです。
人脈を辿り、積極的に大手企業に行きました。
大手のガス器具メーカーやハウスメーカーなどのお客様が開拓でき、今でもアスクルをご利用いただいております。

購買管理システム「Kobuy」のスタート

――長屋社長の人脈と営業力が大きかったのですね。

長屋氏――2017年、お客様の業務効率化に繋がる仕組みが必要だと感じ、購買システムを構築し、自社サービスとしてサービスインしました。
当初は、事務用品通信販売他社や、他の商品を主軸としている通信販売業者、また、Amazonなどの対抗として始めたサービスでした。

(株)一貫堂HPより

Amazon参入でより便利な仕組みに

――かつてスタッフに反対されながら構築に取り掛かった購買システムを外販するようになったのですね。

長屋氏――正直、最初はなかなかバイヤー企業が増えませんでしたが、、サプライヤー企業として工具通販大手「Monotaro」が参画してくれたことを機に、理化学専門商社の「アズワン」も参画いただき、バイヤー企業も増えていきました。
今では、「Amazon」にも参画いただいています。

アスクルはAmazonのB to B参入に危機感を持っていました。
そのため、当社では法人のお客様のアナログ環境を受け入れて、先行してデジタル化と業務効率化を進めていました。
アナログ環境を受け入れて仕組化を進めたことで、Amazonからも一貫堂と組んだ方が楽だという話に落ち着いたようです。
おかげで、お客様にとって、とても便利で、関係者がみんなハッピーになる仕組ができました。

社内環境をワンストップに

――素晴らしいですね。お客様のシステム環境をも見越した開発が功を奏したのですね。

長屋氏――この購買システム「Kobuy」は、民間の基幹システムと予算管理システム、決済システムを連携させて社内環境をワンストップにするということを提供価値として、あらゆる業種に導入を勧めていました。
とある私立大学が導入したことをきっかけに、有名私立大学でも導入が進んでいます。
今は一旦、大手の国公立大学、私立大学とゼネコン市場をターゲットにしています。

地方創生プロデュース会社 THE COの設立

――話は変わりますが、長屋さんは今、地方創出プロデュースを開始されたとか。

長屋氏――はい。THE COという日本の底力をアップさせるためのプラットフォームづくりを進めています。
地方にある資産や産業には長い歴史があり、そこに住んでいる人たちの財産ですので、それを盛り上げることがコンセプトです。
そして、先々の方向性をどうみるのか?という考えに基づいています。

両輪の軸を持とう

――長屋さんは新しいことをどんどん推進されていますが、そこにはどんな想いがあるのですか。

長屋氏――何かを始める時、例えば海外と国内のように両軸を持つことが必要だと考えています。
軸を両輪で持ち、ドメスティックから海外に移っていく考えを持たないと、将来発展するタネをなくしてしまうと考えています。

THE COの場合は、主役である地方の方々と我々の両軸です。
私たちは、主役の方々が活躍するステージを10個20個と持ち、常に黒子に徹します。
だからメンバーの名刺の肩書はみんなプロデューサーとしています。
そして、海外にも軸を持てるようになるとよいと思っています。

日本の会社を活性化させるには?

――THE COで実現されたいことは何ですか。

長屋氏――変化を続けながら新しい価値を生み出す日本企業を育てていき、日本全体が活性化することです。
たとえば、iPhoneの価値を考えてみてください。
iPhoneというものがなければ、GAFAMは生まれていなかったと思います。

何か価値基準を打ち立て、そこに面白みを感じ、広がっていこう!という世界観が必要だと思います。
新しい意識を持った方がいれば、是非THE COに参画して欲しいと思います。

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長屋博
株式会社一貫堂 代表取締役

投稿者プロフィール
株式会社一貫堂のほか、ジェイプリント㈱、㈱長屋印刷、東桜ビル㈱、㈱THE COの代表取締役、上場企業㈱ケア21の取締役、㈱月刊総務のオーナーを兼務する。
1952年生まれ。一橋大学商学部卒。銀行勤務後に家業である長屋印刷に入社。アスクル創業期の初期代理店で売上規模は全国代理店でも上位に位置する。購買プラットホーム「Kobuy」は上場企業、学校法人を中心に活用されている。
趣味はゴルフ・陶芸・料理・アート作品の鑑賞

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