ビットコインがもたらす共通認識の転換は大きな商機となる(前編)

近年、資産形成において注目されるようになったビットコイン。草創期から業界を牽引してきたビットバンク株式会社 代表取締役CEOの廣末紀之氏は、何故ビットコインに商機を見いだしたのでしょうか。20代の頃から暗号資産(仮想通貨)や海外不動産などへの投資経験を持ち、経営戦略・戦術に関するアドバイザーも担い、当サイトにもビットコインに関する記事 をご寄稿いただいている中島宏明氏がお話を伺いました。

ビットコインの構造の美しさに感じたパラダイムシフト

中島宏明氏(以下、中島氏)――本日は、ありがとうございます。廣末さんのご経歴やビットコインとの出会いについて教えてください。

廣末紀之氏(以下、廣末氏)――1991年に野村證券に入社し、リテール営業や営業企画、人事などを8年間経験しました。そのなかで、インターネットが90年代後半に出てきて、「ヒトモノカネ情報」と言われる経営資源のなかで「情報」が特に重要な時代になると強く感じたのです。

それで99年からIT業界へ転職し、2000年以降のIT業界の変遷を見ることになります。当時はまだまだマスメディアが全盛で、強大な影響力を持ち、就職先の人気ランキングでも、テレビ局や新聞社、出版社などのメディアが上位を占めていました。

ところが、インターネットが登場したことで中央集権的だったメディアが分散化され、個人でも情報発信ができるようになったのです。「フラットな世界が来る」「業界の構造が変わり、社会も変わる」と感じてIT業界に移ると、新しい技術と触れる機会が増え、日々勉強を続けていた2012年にビットコインと出会いました。

中島氏――2012年と言うと、まだビットコインが誕生して3年ほどですね。私が出会った2013年も「ビットコイン」とカタカナで検索してもほとんど情報が出てきませんでしたから、もっと情報が少なかったのではないでしょうか。

私の場合、たまたま学生時代に経済学者のフリードリヒ・ハイエクの『貨幣発行自由化論』を読んだことがあり、「中央銀行は必要ない」という強烈な言葉が印象に残っていました。単に「送金が速くて手数料が安い」というビットコインの利便性もシンプルに良かったのですが、今と比べて情報は少なかったですよね。

廣末氏――そうですね。調べても文献が出てこず、一番語られていたのがアメリカ版2ちゃんねるの「Reddit」というウェブサイトで、そこのスレッドをチェックして勉強しました。

デジタルマネーはビットコイン以前にもありましたが、構造自体が不十分で、詐欺や使いものにならないものが多かった。ですが、ビットコインはすごい。調べていくうちに、ビットコインの構造に「ブロックチェーン」「PoW」「マイニング」などの知らない言葉が出てきて、さらに興味を持ちました。

中島氏――最初からスッと入れましたか?

廣末氏――最初は理解できなかったですね。理解するのに、半年かかりました。ストラクチャーを見たときに、構造がシンプルで美しく「お金のインターネットの原型」と感じたのを覚えています。

この仕組みが動くと証明されれば、銀行や証券などの中間業者が必要なくなり、大変革が起こると直感しました。信用保証作業がいらない「トラストレス」という点も信じられないくらいの驚きで、初めてウェブにアクセスしたときの衝撃と似ていました。

マウントゴックス事件はストレステストに過ぎない

中島氏――その後は、どっぷりとビットコインの世界に?

廣末氏――はい。当時、世界最大のビットコイン取引所マウントゴックスが在った渋谷でMeetUpが開かれ、「どうすればビットコインは普及するか?」を議論していました。

参加者のほとんどが外国人でしたが、マウントゴックスのCEOだったマーク・カルプレス、ビットコインジーザスとして有名なロジャー・バー、Binance CEOのCZ(Changpeng Zhao)などがいて、楽しかったですね。

中島氏――ビットコインが大量に流出したマウントゴックス事件は、ビットコインの歴史のなかでも象徴的な事件でしたよね。私はあの事件で、「ネガティブなニュースでも、認知が広がれば長期的に価値は上昇するものなのだ」と学びました。廣末さんはマウントゴックス事件を振り返ってみてどんなことをお考えになりますか?

廣末氏――ある種のストレステストで、生き残れるかどうかが試されたのだと思います。確かに当時は「ビットコイン倒産」などの誤った見出しがメディアに出たり、「詐欺だ」と叩かれたりしました。しかし、ビットコインの仕組みを理解していれば、「この事件はビットコインのせいではない」ということも理解できます。

混乱の最中でも正確に動くブロックチェーンを見て、ビットコインのネットワークの強さを確信しました。この事件のおかげでより感激し、ビットコインは生き残ると確信する機会になりました。

社会の99%が誤解しているならビジネスチャンスがある

中島氏――その後、ビットバンクを創業されるわけですね。

廣末氏――2014年5月にビットコインバンク構想というものを作って、仮想通貨関連事業を主業とするビットバンクを設立しました。これだけ素晴らしいものだから広めていかないといけないという使命感もありました。また、社会の99%がビットコインを誤解していると思っていましたから、そこにビジネスチャンスがあると。きちっと管理ができ、機能を持っているという意味で、社名に「バンク」と付けました。

ビットコインの最大のインパクトは、データの真正性を証明したことです。「データは改ざんができるもの」というのが当たり前でしたが、ビットコインの登場で「改ざんできない世界」を実現しました。それも分散型で、中央集権でなくてもできた。これは大きなことです。ビットコインの素晴らしい点は、ブロックチェーンそのものというよりも、PoWや公開鍵暗号方式をブロックチェーンとうまく組み合わせて、改ざんできない非中央集権ネットワークを作り上げたところだと思います。

人間は、振り子のようなバランスをとる生き物だと思います。中央集権に不便さや不満が募ると、フリーでフラット、つまり分散型(非中央集権)の方にいく。しかし、時間の経過とともに自然と中央集権的になってしまう。人類の歴史は、このように中央集権化と分散(非中央集権化)を繰り返してきましたが、今は「分散」のフェーズだと考えています。

ビットコインはまさに「お金という価値のインターネット化」ですが、インターネットも当初は「こんなものは使えない」と思われていました。データの改ざんやデータが盗まれることが日常茶飯事だったからです。しかし今ではインターネットを使うことは当たり前で、欠かせないものになりました。今後も波はあると思いますが、ビットコインも最終的にはその地位を確立する。方向としてはそっちですね。

中島氏――コロナバブルの影響でビットコインなどのメジャーな暗号資産が高騰し、また下落しましたが、長期的には誤差の範疇だと感じています。ビットコインに再び冬の時代が来るとしても季節は巡りますから、ビットコインが持つ可能性を信じ続けられるかどうかが大切だと思います。

次回は後編で、業界の今後について伺います。

出典:ビットコインは幾度の社会的ストレステストを経て唯一無二の地位を確立する(前編)
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

廣末 紀之
ビットバンク株式会社代表取締役CEO

投稿者プロフィール
野村証券株式会社を経て、GMOインターネット株式会社常務取締役、ガーラ代表取締役社長、コミューカ代表取締役社長など数多くのIT企業の設立、経営に従事。
2012年ビットコインに出会い、2014年にはビットバンク株式会社を設立、代表取締役CEOに就任。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)理事、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)会長を務める。

中島 宏明

投稿者プロフィール
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立。一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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