音楽で人と人を繋ぎ平和の礎に

音楽教育関連事業をさまざまな取り組みにて行う株式会社東音企画の代表 福田成康さんにインタビューする企画。

前回の「システム開発でピアノ業界を変革する」では、ITを駆使した福田さんの戦略的な経営手法について熱く語っていただききました。

最終回となる今回は、事業の変革と新たな挑戦を続ける福田さんが現在構築されているオンラインピアノ教材についてお話くださいます。
今後の音楽と業界の可能性についてもお聞きしました。

未来型オンラインメソッド「hiketa」

Z-EN――インターネットを介して、ピアノを弾けない人も取り組めるサービスがあればいいですね。

福田成康氏(以下、福田氏)――「hiketa」というサービスを構築中なのですが、これはいいと思っています。
今までの ピアノがつまらないとされた要因を、1つ1つピックアップして取り除いていったものです。

――「hiketa」はどんなものか教えてください。

福田氏――1曲とりあえず弾けるまでに、何十回も練習するのは苦痛です。
3回練習してうまく弾けなかったら、とりあえず弾けるくらいの自分の技量に合った曲が次々と提示され、「弾けた!=hiketa」という爽快感や達成感を、1度の練習で10回くらいは味わってもらいます。
それを続けていくと、これまでは弾けなかった目的の曲がいつの間にか弾けるようになっているというサービスです。

紙の時代はたくさん練習すればするほど楽譜は重く、お金がかかる仕組みでした。
お金がかかる=ネガティブな感じですよね。
「hiketa」はデジタルなので楽譜はいくらでもあって、さらにインセンティブとしての特典が(いろいろ)あり、子どもの努力と経済が一致するポジティブ志向になっています。

――面白いですね!「hiketa」が今後目指す方向性はどのようなものですか?

福田氏――日本を飛び出し海外の人にも使ってもらうことを目指しています。

「hiketa」のプロジェクトは、既存の出版までの手順と流れを一気に短縮して、現場の指導者が曲を作りそれをプラットフォーム上でそのまま使っていくというもの。
独習の方だけでなく、ピアノ教室に通っている方が毎日の練習用としても使っていただけるメソッドして仕立て上げる予定です。

今後、ピアノ学習者が増えると期待される、インド・東南アジア・アフリカの国々でも使ってもらえるものにしたいですね。
これを軌道に乗せて、上場を目指すつもりでいます。

音楽で教育と地方創生の可能性を探る

――今、複合型の教育施設が増え、注目が集まっています。そのあたりへの参入の可能性も伺わせてください。

福田氏――託児所や学童、保育園などの、今後も必要性が高い施設との連携は可能性としては考えられますね。

リーフラス(株)という、社会課題をスポーツで解決しようとするソーシャルビジネスを主幹とする企業があります。
部活動支援や放課後デイサービスなどの事業を手掛けるこの会社のように、学校に人を派遣することは考えられると思っています。
現在は行政主導のボランティアによる活動がメインで行われていて、民間企業が人を派遣したとしても、低賃金でやらざるを得ず課題は山積しています。

――音楽で地方創生も期待できますか?

福田氏――音楽で街を復興させようとする取り組みは、比較的、モデルがあるんですよ。
南房総市も千葉市も、大阪市などもそうです。
川崎市は、川崎駅前のミューザ川崎で音楽を旗印に街の基幹拠点とする事業を進めていますね。

地方自治体でも10例超のモデルが出来ているので、あとはそれを国レベルでどう納めるかということだと思います。
うまくいったら一気に盛り上がるでしょうね。

新規コンクール開催に向けて

――今後の構想を教えてください。

福田氏――やはり一番ウエイトが大きいのは、ピティナと連携した東音企画の資本拡大ですね。

ほかは、今回新しくポーランドから依頼され、ショパンを含むポーランド作曲家の曲を課題にしたコンクールの開催を企画・予定しています。
その他、東音企画主催のコンクールを別途、開発したいと思っています。

ピティナ・ピアノコンペティションの予選の参加人数は3万人くらいですが、1人2回受けるケースが多いので、実質人数は2万2千人くらい。
東音企画主催のコンクールの参加者の数が、ピティナのコンクールの参加人数に追いつく日も近いと予想しています。

事務代行から始めてピティナばかりをやってきましたが、新規事業という意味では今後、東音企画中心になるのではと考えています。

子どもたちの未来に音楽の光を

――最後に、今後やってみたいと思われていることを教えてください。

福田氏――まずは、ピアノ指導者の平均年収を引き上げてあげたい。
少なくとも400~500万円くらいまでにはしたいです。

あとは、学校教育と徹底的に連携して中枢に入っていくことですね。
学校が軸になるとは思いますが、民間教育でやったことが学校の中にも学習ポートフォリオとして管理されるという仕組みです。
既存のシステムをそのまま学校に卸すという方法もありますが、それとは別に連携させていくものだと思っています。

ピティナの指導者を学校に派遣して行う学校コンサートの様子(画像提供:ピティナ)

今は個人情報の管理が非常に大変なので、国のIDなどを活用していけたらいいですね。
教育格差の問題も、民間教育の方に国がお金を出すという施策で解決しないといけないと思います。

昨年の1人10万円支給する施策にしても、簡単で分かりやすい反面、子どもの教育に充てられるかと言ったらあまり期待できないですよね。
そうすると結局バウチャーにするしかなくなって、地方自治体の対応がものすごく大変になるんですね。

その辺をトータルで考えないといけない。
地方自治体に負荷をかけずに、給付されたお金がちゃんと子どものために使われるように、そして、貧困家庭にきちんとサポートが行き渡るように税金が使われるのが大事です。
今一番興味がある分野です。

音楽は人間と人間の輪を広げ、コミュニケーションを繋ぐ、世界共通言語です。
江戸時代の日本は藩の垣根があり、言葉も様々だったので、それをまとめるものが必要だったのですが、唱歌がその役目を果たしたと思っています。

音楽はメロディ。
メロディに合わせて日本語を発することで、まとめられていったのだと思います。
音楽が人間の原始脳に入ることで、世界の小競り合いが減り平和がもたらされることを願っています。

――本日はありがとうございました!

インタビューの全容は、
前編「ピアノ業界を牽引する老舗企業の2代目は、絶えず変革を試みる
中編「システム開発でピアノ業界を変革する」でご覧いただけます。

※資料はすべて福田氏より提供されたものです。

福田成康
株式会社東音企画 代表取締役社長
一般社団法人全日本ピアノ指導者協会 専務理事
公益財団法人福田靖子賞基金 理事長

投稿者プロフィール
1964年生まれ。筑波大学生物学類卒業、栗田工業(株)で3年間勤務し、1989年4月から株式会社東音企画入社、1990年4月に同社代表取締役社長就任。
1991年4月より社団法人全日本ピアノ指導者協会の事務責任者として経営に関わり、現在は専務理事(団体代表)。
1996年、日経BP社より情報システム大賞の準グランプリ受賞。2001年、第3回「フジタ未来経営賞」を受賞。2002年、財団法人商工総合研究所 中小企業懸賞論文 準賞受賞。2011年 文部科学省 社会教育功労者表彰受賞。

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