ロジックが導くメガフランチャイジー成功への道(後編)
- 2022/3/7
- インタビュー
目次
成功モデルを複製する手法
中村氏――既存店の譲渡で出店するケースは多々ありますが、御社のように譲渡案件に特化している企業はそうありません。設立5年目以降の5年間で45校舎、さらにその後の5年で46校舎を出店できたのは、やはり立ち上げが早い点がメリットなのでしょうか。
石塚氏――1つの成功モデルができたので、あとはとにかく増殖させるためにコピペする。
そして、それをするなら他社さんの不振店を立て直すのが一番早いわけです。
なぜなら、他社さんは学習塾を第二の柱としており、業績が悪くなっても人材はぬるいままの状態になっているからです。
その点、弊社は本業でやっていますから、喝の入れ方が違います。
ですから買収した校舎には、まずうちがやってきた改革と同じことをやってもらいます。
そして人材も、それができると言った人だけを採用する。
踏み絵を踏ませて、それが約束できる人しか入れない。
新規事業で行う場合は本業と掛け持ちしてやっているケースが多く、ちゃんと責任者を置いていないことも多い。
僕は絶対、新規事業との兼務はダメだと考えています。
中村氏――御社は学習塾のフランチャイズとしてのインパクトが強いですが、一方で外食や美容、スポーツや医療福祉など業容を広めていますね。
石塚氏――教育事業はライフサイクルでいう成熟期を迎えているので、ちゃんと収益が上がっている段階で第二・第三の柱を作らないと後々苦労するんですね。
ですから、その柱を作るために業種を広げています。
新規参入の判断は社会性・独自性・経済性
弊社が新規に参入する上で判断する指標が3つあります。
まずそのビジネスに「社会性」があるかどうか。
この社会性の中には、本部の社長がどういう考え方でフランチャイズ展開しようと考えているかも含まれます。
そして2点目が「独自性」を持っていること。
これは、どこと競合していてその上でどう渡り合えているビジネスモデルなのか差別化がされていて、そこに優位性があるということです。
そして最後がしっかり収益も出せるという「経済性」です。
この3つが大事なのですが、さらに重要なのはこの社会性・独自性・経済性という順番で判断していくということです。
組織をまとめるのは理念の共有
中村氏――様々な事業を手掛けていると、社員のモチベーション管理や方向性の共有などが難しくなることが多々ありますが、どのように対応されているのでしょうか。
石塚氏――先述の「7つの習慣」に掲げられた言葉を社内の共通言語にして理念に掲げています。
今うちは4つのカンパニーに分かれているのですが、それぞれの拠点長は元々教育事業からの出身者です。
教育事業部であれば、7つの習慣についても熟知しているわけですから、社内浸透にも好都合なのです。
既存の人材登用が組織を活性化する
中村氏――そうなると、新規事業は教育事業部から派生する形になりますね。
石塚氏――弊社では毎年、教育事業部内の年間ナンバーワン社員を決める投票を行っています。
これは、年間の重要指数についてクリアした人が上長の推薦を得てノミネートできるもので、その後の「全社員プレゼン」で教育事業部の社員全員が投票して決定します。
昨対比の売上や生徒数、客単価や他者に対しての貢献度などを点数化して評価します。
そして、そこでナンバーワンになった社員だけにやりたい事業を実践する権利が付与され、その後その事業が上手くいったら、エリアカンパニーの代表になることができます。
伝説のフランチャイジーを目指して
中村氏――社員のモチベーション維持には素晴らしい取り組みですね。しっかりと教育した生え抜きの人材を活性化させることで今後の会社の成長を担ってもらうというお考えが社内で共有されますね。
石塚氏――将来的には300店舗まで出店できると思っています。
僕はフランチャイジーとしてずっと100店舗にこだわってきました。
100店舗あると業界ではちょっと認知されてくる。
そしてそれが200店舗になると、業界の中でトップクラスになれる。
さらに300店舗になれば、伝説のフランチャイジーになれると。
中村氏――伝説になるぐらいの出店数を目指すということですか。
石塚氏――この標語にはもう一つの意味があります。
それは、僕たち自身がFC本部になるということです。
メガフランチャイジーからエリア本部、本部という流れをすべて一つの企業に内包する。
加盟店の気持ちが理解できるフランチャイジーが本部になるのは、伝説になるのではないかと。
また、そうなることでフランチャイズ業界を発展させていけるとも思っています。
この目標は何としてでも達成したいですね。
出典:ビジネスチャンス 2021年12月号「メガフランチャイジー 半世紀」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。
※写真はすべて石塚氏ご本人より提供されたものです。
本稿は後編です。前編はこちらから