介護の人材不足解消に外国人特化の奨学金全額保証システムを(後編)

外国人人材に関連する幅広い事業を展開される、株式会社B2Bサクセスの代表取締役 大坂登さん。前編「金融から介護業界へ 外の視点で超高齢化社会の問題解決に挑む」では、金融業界を飛び出し立ち上げた接骨院の事業を軌道に乗せた後、育成した人材にすべての事業を譲渡。未来を見据えて介護業界に着目し、慢性的な人手不足問題を解消するために外国人人材の活用を模索するまでのお話を伺いました。

後編では、超高齢化社会を支えるために必要な人材が不足する問題を、大阪さんならではの斬新な発想で解決に導く取り組みと、今後の展望についてインタビューした模様をお届けします。

100%回収可能!介護留学生への奨学金制度

――超高齢化社会の到来を見据え介護業界に着目後、外国人人材の活用方法を模索されましたが、どのような案を思いつかれたのでしょうか?

大坂氏――はい。介護事業者が奨学金制度を設け、その貸与型奨学金で本来なら自力では留学することができない優秀な学生を日本で勉強させ、自社で介護人材を育てる仕組みをつくるのはどうかと思いつきました。

介護事業者は奨学金制度を設けても、貸与金が何らかの事故で返金されないリスクを負いますが、それを保証するセーフティネットを作ることで制度を導入する企業が増えていくかもしれないと考え、一緒に保証システムを開発してくれる先を探し、介護留学生奨学金保証制度を作りました。

ますます増加する人手不足産業

――素晴らしい発想ですね!人手不足はどのように深刻なのでしょうか。

大坂氏――労働集約型で人材不足という業界は今後益々増加していくでしょうし、2030年には全産業において600万人の人材が不足するとも予測されています。
特に介護事業の場合は、サービスごとに必要な人数を確保しなければならない員数制度があり、員数に満たない状態で営業した場合は介護報酬の減産という罰則を受けます。
その罰則を避けるため各施設は派遣会社から介護スタッフの派遣を受けますが、そのコストが高く赤字になるケースもあります。

介護技能実習生制度や特定技能1号介護制度で働く介護人材は、わずか6%の事業者しか活用できていないのが実状です。
その要因として、初期費用が100万円を超えることに加えて、管理費が月に4万円ほどかかる高コストであることが挙げられます。
介護報酬は3年に1回の見直しがあり、介護保険料が減れば介護報酬も減ります。
そうなると、ますます人件費を抑える必要が出てくるわけです。
介護事業の経営者が考えないといけないことは、年々増えさらに多岐にわたっています。

将来的には、弊社の保証システムを通じて全ての業種が自社栽培で人材確保することが可能な環境を構築していき、日本の就業人口減少問題の解決に役立てていきたいと考えております。

※在留資格「特定技能1号」は、国内外で実施される技能試験と日本語試験に合格した外国人を対象とした資格です。

――御社の「介護留学生奨学金保証制度」について詳しく教えてください。

画像は株式会社B2Bサクセス HPより

大坂氏――弊社の「B2Bまごころサポート会」が受け皿となり、貸与型奨学金を全額保証するマッチングシステムを考案しました。

まず、日本の学校で知識と日本語を勉強して、日本に残って働きたいと思っている外国人と介護事業者をマッチングします。留学生として来日してきたら、介護事業者がその人材を学校に通わせ介護人材として育成できるように、全面サポートしていきます。

介護事業者が「B2Bまごころサポート会」に入会することで、必要な数の介護人材を低コストで確保でき、自社での育成が可能となります。
万一、留学生の失踪や帰国など貸与型奨学金に事故事由が発生した場合には、B2Bまごころサポート会が全額保証。
さらに、介護福祉士養成専門学校に通う学生への国の貸与型奨学金連帯保証債務についても、同様に全額保証します。

B2Bまごころサポート会の一般会員の場合、入会金2万2,000円のみで、年会費はありません。
会費は留学生1人あたり3万3,000円で、最大でも1人あたり27万円で人材を育成できます。
採用コストを考えれば、高い金額ではありません。

介護養成校の定員は1万4,000人ですが、充足率は50%しかありません。
このままでは、不足している介護人材を補えない。
残りの定員7,000人を埋めるためには、介護事業者が海外から人材を連れてきて教育を支援する必要があります。

――この仕組みをつくるにあたって、保険会社探しなど苦労があったのではないでしょうか?

大坂氏――そうですね。損害保険会社との交渉には1年半ほどかかりました。
ほとんどの損害保険会社に断られたのですが、あいおいニッセイ同和損保さんだけが「介護事業所が人材育成する目的ローン」と考えてくれて道が拓けました。

この奨学金制度によって各国の教育者をも育成していくことができれば、将来的にはもっと多くの介護人材を海外から採用することができます。

解決のカギは民間主導での取り組み

――介護人材不足の解消には、今後どのような取り組みが必要だとお考えですか?

大坂氏――私は、「未来に対して投資することが大切」だと思っています。
「これだけの人材が必要」という数値化・可視化は国もできているのですが、最も重要なのは「どう達成するか」「どう実行するか」です。
そこは、民間がやるしかないと思います。
留学生は、最短1年で雇用されますし、キャリアアップ助成金も使えますから、介護事業所が介護留学生を支援しない理由はありません。

また、国内人材をみてみても、高卒の就職率は62%ほどで38%は進路不明です。
高校生に対して介護職の魅力を発信していくことが大切で、養成校に入る前の高校生の時点から介護事業所が接点を持つことも必要と考えています。

超高齢化社会にマッチ「家主費用利益保険」

――奨学金制度の他にも、高齢化社会に対応して事業を展開されていますよね?

画像は株式会社B2Bサクセス HPより

大坂氏――賃貸物件サポートとして、「家主費用利益保険」という仕組みを提供しています。弊社が不動産管理業者や不動産所有者に対するコンサルティング業務の一環でサポート会を立ち上げ、情報等を提供するものです。

「B2Bまごころサポート会」の賛助会員様が管理している賃貸物件に入居される方に、通常加入する火災保険などの損害保険の代わりに当会へ一般会員として入会してもらうことで、万一の事故に対してB2Bまごころサポート会が補償します。

部屋が事故物件になり家賃収入の損失につながったり、原状回復や遺品整理に多額の費用がかかったりすることがありますが、そのようなリスクに備えるのがこの仕組みです。

日本はすでに人口減少社会ですが、世帯数は増えています。
これは、1人世帯が増えているからです。
2030年には、約40%が1人世帯になるとも言われています。
孤独死のリスクや家賃回収の不安から、高齢者に貸したくないという家主もいます。

原状回復や裁判所手続きにかかる費用など、通常の損害保険に比べ補償が幅広く、事故物件になった場合の家賃の一部補償や24時間駆けつけサービスなども含まれている家主のための支援の仕組みです。

――この仕組みを多くの家主が活用することで、高齢者が家を賃貸しにくい現状も解消されるわけですね!素晴らしいです。

大坂氏――はい。今後も、奨学金制度や家主費用利益保険だけでなく、超高齢化社会に対応したさまざまなサービスを展開していく予定です。
さらに、介護業界以外にも深刻な人材不足問題を抱えている業界はありますから、介護業界で実績を積み、他業界に展開していくことも視野に入れています。

――本日はありがとうございました。

本稿「介護の人材不足解消に外国人特化の奨学金全額保証システムを」は後編です。
前編は「金融から介護業界へ 外の視点で超高齢化社会の問題解決に挑む」でご覧ください。

大坂登
株式会社B2Bサクセス 代表取締役

投稿者プロフィール
一般社団法人民泊民宿協会 代表理事
VRB協同組合 理事
一般社団法人CSJ 理事
習志野外語学院(一般社団法人日本語教育支援機構)理事長

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