メタバースがビジネス領域でも拡張!疑似体験で「経営課題の解決策」に(前編)
- 2023/1/19
- インタビュー
インターネット上に存在する3次元仮想空間「メタバース」。今やその名称は広く知られるようになりましたが、そこで実際に行われていることや活用方法についてご存知の方は多くないのではないでしょうか。メタバースを体験できる「メタバースの学校」校長であり、オンラインコミュニティ「メタバース2.0チャンネル」を運営する北村勝利氏は、さまざまなコミュニティが増え、ビジネスでの活用ニーズも増えていると話します。メタバースの世界は、いま、どんな状況にあるのでしょう?
インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を行い、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明さんが、北村氏に詳しく伺いました。
目次
メタバース普及のため、3方向の活動を展開
中島宏明氏(以下、中島氏)――北村さんには以前、VR体験しながらメタバースについて2.5時間で理解する「メタバースの学校」に招待していただきました。その際のミニセミナーで、「メタバースで何ができますか? どんなことができますか? 」という質問に対して、「お客様はだれですか? 」「何が事業課題ですか? 」「何がマーケティング課題ですか? 」「何が専門分野ですか? 」という基本にして、なおかつ本質的、普遍的なお話をされていて、とても感銘を受けました。
現在も、メタバースの学校等の活動は続けられているのですよね?
北村勝利氏(以下、北村氏)――はい、続けています。BtoC事業として、メタバースを体験できる「メタバースの学校」、BtoB事業として「企業向けメタバース研修」、オンラインコミュニティの「メタバース2.0チャンネル」の3つが主な活動です。
いずれも、メタバース普及のために続けています。
「メタバースの学校」は参加者が500名を超え、企業研修も50社を超えました。
オンラインコミュニティ「メタバース2.0チャンネル」は登録者も2万人になり、発展してビジネスマッチングやリアル開催の異業種交流会なども行ってきました。
そこから、新しいメタバースプロジェクトが芽生えることもあります。
2021年、「メタバースの時代が来る!」と確信
中島氏――北村さんは経営者として30年以上のキャリアの中で、ハードウェア、ミドルウェア、ソフトウェア、WebサービスといったすべてのITビジネスを経験したプロデューサー・実業家で、特にB2C向けVR/AR分野での実績が豊富です。
もともとゲーム業界にいらして、メタバース・AR/VR(稼働現実/拡張現実)の業界は長いのですよね。
北村氏――最初はゲームからですね。
「AR/VR元年」と言われている2015年から、この業界にいます。
その頃に参入したプレイヤーは、今ではほとんど残っていません。
それだけ競争の激しい世界です。
「知見はあったものの、ビジネスにはならなかった」というのが、2015年から最近までです。
2021年にフェイスブックが社名変更し、「メタ」になりました。
その報道を見て「これは、メタバースの時代が来る」と確信し、1週間ほどで今やっている3つの活動に着手しました。
芸能人との交流も楽しめる招待制メタバース「宝島」
中島氏――招待制メタバースの「宝島」は、大手メディアにも取り上げられて話題になりましたが、どんなきっかけでスタートしたのですか?
北村氏――芸能プロの社長やマネージャーの方が、メタバースの学校に参加してくれたことがきっかけです。
八代亜紀さんや中条きよしさん、川中美幸さん、山田邦子さんのメタバースイベントをプロデュースさせていただきました。
「宝島」は、昭和にタイムトリップできる招待制メタバースというコンセプトです。
NHKや、民放のニュース番組でも取り上げられ、八代さんたちにも喜んでいただけました。
宝島は、PCやVRデバイスを利用して、アバターとなって3D空間での交流を楽しむことができます。
昭和をテーマにした「グランドキャバレー」や「スナック」という独自の空間に入場するためには、「有料チケット」を購入するか、イベント主催者の「招待」が必要です。
「祝い花贈呈システム」というユニークな機能も搭載していて、贈呈された祝い花は、実際に送り主の名前入りで会場内に掲示され、「お祝いメッセージ」も届けられます。
祝い花の売上の60%は、タレント側に直接還元される仕組みになっています。
メニューとしては、薔薇一輪(3,800円)、3D花輪(1万円)、3D胡蝶蘭(3万円)があります。
宝島はレンタルも可能なメタバース会場なので、芸能関係・エンタメだけでなく、企業のセミナーやパーティに活用することもできます。
▶2021年以降、メタバースを学ぶ人達とコミュニティが急速に増えるなか、北村さんが独自のアイデアでエンターテインメントの場を提供してきたことがよく分かるお話でした。後半では、現在のメタバースが社会的にどのようなニーズを持ち、ビジネスの場面でどう活用され始めているのか、具体的な事例とともにご紹介くださいます。