日本酒への情熱と酒蔵への愛!起業も事業継続も、人脈がすべて(後編)
- 2023/2/16
- インタビュー
サケ・ラバーズ株式会社代表取締役の今西由紀さんは、日本酒を世界中に広め、全国に点在する酒蔵を訪問しながらさまざまな形で支援する事業をされていらっしゃいます。日本酒や酒蔵への情熱と愛が、会社員から起業家への転身を実現させた経緯を前編でお聞きしました。後編では、日本の酒蔵の現状と課題を解説いただき、歴史ある事業継続のために今西さんがサポートしようとされている将来の展望について伺います。事業投資の視点からも興味深いお話です。
目次
海外で日本酒人気が上昇中
Z-EN――海外での日本酒への関心も高まっていると聞きますが、実際現地での反応などはいかがでしょう?
今西由紀氏(以下、今西氏)――輸出も問い合わせが増えてきていますので、日本酒に興味を持つ方が外国でも買って飲もうとしているのでしょう。
今までワインしか扱っていなかったところが日本酒を扱ってみたいといって問い合わせしてくるんですね。
日本酒が徐々に広がっているのかなとうれしく感じています。
酒蔵継続のためには事業承継も
――これまで今西さんが訪問した酒蔵数を教えてください。そして、それは酒造全体の何割くらいでしょうか。
今西氏――日本中の酒蔵を回って実際に訪問したのは270件くらいでしょうか。
多分全体の3割ほどではないかと思います。
――酒蔵の中には後継者問題を抱える蔵も多いと聞きます。そんななか、Z-EN読者の方でも事業投資の目線で酒蔵をやってみたい!という声を聞きます。実際に日本全国の酒蔵を巡っていらして、事業承継に立ち会う場面はありますか。
今西氏――私が関わっている酒蔵さんで実際、事業承継の事例に出くわした経験はないんです。
ただ、今、お付き合いしている酒蔵さんのなかには、蔵主や杜氏の高齢化が進むものの跡継ぎがおらず、事業承継の必要を感じている先も多いです。
せっかく歴史もあり美味しいお酒を造っているのに、高齢になったからと辞めるのではもったいないですから、事業承継も選択肢の一つとして考える必要がありますね。
そういう局面が来たら、ふさわしい相手に引き継げるような出会いのお手伝いをすることにも関っていけたらいいなと思います。
酒蔵の伝統を引き継ぐ良縁をサポートしたい
――代々造ってきたブランドである日本酒を絶やさずこれからも継続して造っていくために、酒蔵以外の方が経営されたり、お酒を作ったりしている事例はありますか。
今西氏――もともと大手以外の中小企業でも、酒蔵を経営し、事業の一つとして日本酒を造っているところはあります。
ただ、家族経営でやってらっしゃる小さな酒蔵さんも多く、そういうところに後継ぎがいない場合もありますし、全く違う業種に就いているご家族が家業は継げないというケースもあります。
そんな時に良い引継相手が見つかると良いなと感じます。
社長さんだけ交代して、酒造りに関わる杜氏さんなどの従業員の方たちはそのまま引き継げたらいいですね。
――酒蔵の事業承継の難しさも含め、業界の問題点は何でしょうか。
今西氏――酒蔵さんはほとんどが地方にあるので、情報が少ないんです。
東京などに比べると地方特有の考え方を持ってらっしゃる方もいらっしゃいますし、お酒の質を変えて新たなことをやろうとすると地元で受け入れられなくなって買ってもらえなくなったりするので、挑戦もしにくい。
地方の閉鎖的な考えや周りの目を気にする風土があって、大変なところもあるなと感じています。
▶酒蔵の事業承継の問題に関わっていきたいと話してくださった今西さん。日本酒ファンを増やすのは、人とのつながりあるのみ!今西さんの日本酒への深い愛と今後の活動について次のページで詳しく伺っています。