働くことのパラダイムシフトを加速する~採用マーケティング支援
- 2024/12/5
- インタビュー
目次
事業で実現したいのは「変化を加速させること」
起業した会社の青写真
――今回、エバンジェリーを起業されました。社名の由来をお聞かせください。
左近司氏――社名の「エバンジェリー」はエバンジェリストからとっています。
世の中に広まっていない新しい概念、技術、人、会社、知識などを伝え広げていくエバンジェリストという仕事がすごく好きなんです。
これから外部環境が変化していく中で、企業も個人も変化が求められていくと思うのですが、変化に気がついていない、または気がついているけれど一歩を踏み出せていない人や組織に、新しい概念やツール、考え方を伝え、変化を加速したいという思いで、社名を「エバンジェリー」にしました。
――エバンジェリーでは、どのようなことをされる予定なのでしょうか。
左近司氏――僕のミッションは、「知識を共有することで変化を加速したい」というものです。
事業ドメインをHR業界においていますので、働くことのパラダイムシフトを加速するというイメージでしょうか。
僕自身がキャリアアップを目指してきた結果、違和感を覚え、キャリアアップの道から外れる選択をしました。
これは、「キャリアアップは良いこと」が前提で、組織が求める期待に応えてキャリアを昇っていくパラダイムから、自分の才能領域(得意なこと)と情熱領域(好きなこと)を土台にして、能動的に、自らを適材適所に配置できる人、自分に適したキャリアを認識した上で仕事をする人を増やしたいという思いです。
僕の場合は、自分を”起業家”というポジションに配置することが、自分にとっての適材適所だと思ったから起業しました。
人それぞれ、その手段は異なっていいと思っています。
求職者に選ばれる会社を増やす
具体的な話をすると、今、仕事選びの価値観が非常に多様化しています。
基本的には仕事を探す人にとってのマストとなる条件はあるでしょうが、会社を選ぶ時の動機付け要因となるのは働きやすさ、理念、働きがいです。
つまり、その会社が何のために存在して、どういうことを目指していて、 そのためにどういう戦略があって、どういう人が必要かを正しく伝える必要がある。
そこに共感できるから働きたいと思ってもらうのと、働き甲斐を成長の機会ととらえ、 この会社で働くことがその人にとって将来的なキャリアも含めて価値があると思ってもらえるかどうかがカギですね。
従来の採用求人広告などは、多くが給与や待遇といった条件を羅列しているだけのこともあります。
これからは、労働人口も減っていきますし、働き方の価値観も変化していく。
だから、求人原稿だけではなく、ちゃんとマーケティング思考でペルソナも決めて、ペルソナの考え、その人が仕事において何を重要と考えているかコンセプトを決めたうえで、どう見せるかを考えていかなければいけないと感じます。
一方、求職者は、求人原稿だけでは仕事を決められないと思うんです。
みんな検索リテラシーが上がっているから、会社のホームページやSNSも調べる。
複数の情報に接したことをきっかけにその会社に入りたいと思いはじめ、段々興味を深めて応募する。
ちゃんと、入社するまでに起こる心理変容の戦略を立てて、どういう情報を求職者に渡せばいいかを設計することが重要です。
僕がこれまで見てきた中だと、8割はそれができていないと感じています。
求人原稿だけで決めないからこそ、 それ以外の全てのコミュニケーションプロセスを最適化する必要があるんです。
僕は、それを支援していきたいです。
ブランディングや組織開発の領域も採用マーケティングのスコープとし、実装する
――「コミュニケーションプロセスの最適化」とは、どのような支援になるのでしょうか。
左近司氏――例えば、物を売ろうと考えた時に、良い商品を作って、誰に対し、どのように伝えるかを考えます。
しっかり伝われば買ってもらえて、本当に良い商品であればリピートしてもらって、売り上げや事業が伸びていきますよね。
これがマーケティングのスコープだと思っているんです。
つまり、プロモーションと商品開発は繋がっている。
でも、人材業界はそれが分断されていて、違和感があります。
求人広告は、どううまく見せるかが重視されますが、どれだけうまく見せても、入社してイメージと違えば早期退職が待っているだけ。
それは、単にプロモーションがうまくやれているにすぎません。
もちろん採用広報、採用広告は必要ですが、その前に企業や仕事を誰に対してどのように見せるのか、ブランディングコンセプトが大事です。
それがない場合はそれを作るところからやらないと、どれだけ人を集めても、結局どんどん人が辞めて、どんどん人を取ってという悪循環に陥るだけです。
採用マーケティングというスコープを、プロモーションだけではなく、ブランディングや組織開発の領域までをスコープとしてやらないと、特に中小企業は、これからなかなか人が採用できない、時代に勝っていけないのでは?と思っています。
いわゆるマーケティングは、デジタルマーケティングをはじめ、テレビCMなど、いろんな手法が発達しています。
一方で、人を集める採用の業界では、情報発信など、そのデジタル技術が全く使われていなくて、マーケティング業界と比べると10年ぐらい遅れていると言われています。
採用業界のデジタル技術をマーケティング業界と同じレベルに引き上げないといけないと思っていて、マーケティングと同じレベルとクオリティでの採用マーケティングの実装を企業に提供していきたいです。
▶働くことを多様な面で支援する左近司氏。次のページでは、コーチングや柔術から学んだことを伝えたいという思いをお話いただきます。