PRの力を誰もが使える社会を実現したい!PRのノウハウを伝授

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Z-ENではこれまでも、現役で活躍する女性経営者を取材してきましたが、今回ご紹介するのは、PRプロデューサーとして多くの企業や経営者にPRの価値を伝えていらっしゃる、PR代行・PR塾の運営事業を展開する株式会社LITAの代表取締役、笹木郁乃氏です。笹木氏ご自身も、その経験に基づいたPR手法で認知度を上げ、事業を拡大されています。誰もが当たり前にPRできる社会の実現に貢献したいとの思いを語っていただこうと、インタビューさせていただきました。

PRが必要な場所で自分を生かしたい!

Z-EN――本日はよろしくお願いします。笹木さんのこれまでのPRのキャリアに結びつくご経歴を伺いたいと思います。また、起業されたきっかけなどもお話いただけますか。

笹木郁乃氏(以下、笹木氏)――PRを仕事としてここまでやってきたのは、総合寝具メーカーである「エアウィーヴ」でPR広報としてPRをしたことが始まりですね。
起業のきっかけは、鋳物ホーロー製品である「バーミキュラ(鋳物メーカー、愛知ドビー株式会社)」が注文殺到となり、1年以上待ちの人気商品になったことが大きいです。
PRによってバーミキュラの入手を待っていただくお客様がとても多くなったことはとても喜ばしいことでしたが、PRは一旦休むことになり、私はコールセンターに転属になりました。

その時に、結構エネルギーが有り余っていたんですね。
自分の力や時間をせっかく使うなら、世の中が良くなるようなことに使いたい!
でも、会社でのPR活動は当分できない状態でしたので、もっとPRを必要とする会社に対して自分のエネルギーを使おうと独立を決意しました。

――これまでのご経験の中でとても印象深い出来事や、起業に役に立ったというような体験などを教えていただけますか。

笹木氏――そうですね。起業の役に立ったことで言うと、エアウィーヴとバーミキュラの時は、本当に売れない、無名の、お金がない会社が急成長するときに在籍して有益な体験ができたのだと思います。
特に、無名のマットレスを一躍ヒット商品にする前の「エアウィーヴ」に1人目の社員として入社していますので、無名の商品を売ってこれから会社を拡大していくことはそうそう簡単なことではない、商品を買ってもらうことは本当に難しいことなんだというのを実体験できたことが1番良かったと思っています。

PRのスキルも重要ですが、自分が会社を経営するという意味では、会社はそう簡単に大きくならないし、お客様を獲得するのも無名の段階では非常に難しいということは十分わかっていました。
だからこそ、実績を作ることにすごく時間をかけたんです。
エアウィーヴの時は、無償でマットレスを提供して、いろんな方に良さを試してもらうなどの地道なPRの期間が2年ぐらいあったんですけど、そう簡単に無名の商品は売れないから、いろんな実績を自力で作るようにしました。

そういうたくさんの試行錯誤をしながら行動することが当たり前だというマインドを持ったうえで独立できたので、割とへこまなかったですね。
最初売れなくて当たり前だし、拡大しなくて当たり前だし、 「何その会社」みたいな知られていなくても当たり前っていうのをベンチャー企業2社で経験したことで、精神的なタフさは人一倍あったという点が起業後も役に立ちましたね。

前職の頃(一番右側が笹木氏)

――やはりメンタル面での強さは起業する際に大事なことなのですね。
笹木氏――特に0からの起業は、自分の会社の信頼がない状態でスタートすることになりますよね。

私にとって1社目のアイシン精機株式会社(現:株式会社アイシン)の時は、自動車部品等の大手メーカーだったため、名刺だけで勝負できたんですね。
そこで研究職をしていたので、名刺を持っていろんな自動車の仕入れ先に会うと、新卒の私に対しても丁寧な接待をしてくださり、 ぜひうちの部品を使ってくださいというお客様扱い。

もしも私がこの経験しかしないで独立していたらずいぶん辛かっただろうなと思うんですが、 この名刺で勝負できない状況を2社経験しているので、起業後の無名なときは、名刺で勝負できないのは当たり前、なかなか対等に話を聞いてもらえないのも当たり前で、その状況下で信頼を得るには、やはり実績を丁寧に作って、じっくり時間をかけてお客様との信頼関係を構築していくしかないという覚悟があったのでよかったですね。

PRとは第三者の影響力を使って認知させること

――強さとともにしなやかさも感じられる笹木さんの姿勢は素晴らしいです。PRに関してお聞きしたいのですが、一般の方はPRをイメージとして捉えることはできても、じゃあPRって一体何なんだろうと、よくわからないのが実態だと思います。笹木さんご自身がPRをどのようなものとしてお考えになっているのか、 御社が目標として掲げていらっしゃる「PRの力を全ての人が当たり前にする」ことについてご説明いただけますか

笹木氏――PRについて分かりやすい説明としてよく使うのが、アップルのスティーブジョブズの以下の言葉です。

いくら素晴らしいものを作っても、伝えなければ、ないのと同じ

素晴らしいものを作ることと同じぐらい「伝える」ことに注力しないと、どんないい商品でも知ってもらい買ってもらうことができないので、会社は拡大しません。
だから、「まず知ってもらうことがめちゃくちゃ大事だよ!」ということが大前提としてあります。

さらに今の時代、知ってもらう手段として、広告やSNSなど、いろんなものがありますが、これまでの広告は、自社の商品はこんなにいいものでしょう!と訴える、一方向的な手法でした。
それでも知ってもらう種まきができた時代もありますが、徐々に広告に信頼性がなくなり、ただお金を払えば誰でも出せるものと捉えられて、影響力を失ってしまったと多くの企業が体感しています。
そこで広告に変わる、知ってもらう活動の1つがPR活動で、PR活動に注力する企業が年々増えていることを実感します。

広告は、自分の商品の良さを写真とコピーを使って新聞やテレビCM、バナー広告で訴えるもの。
一方、PRは、Z-ENなどの1つ1つのメディアやテレビ、新聞、 yahooニュースなども含めた第三者に各々の信頼性を持って紹介いただくので、そこには一方通行の広告と違った、消費者からの信頼を得ながら訴求できるという大きな利点があります。

私の前職のエアウィーヴやバーミキュラも、メディアに紹介してもらうことで一気に拡大した会社です。
広告ももちろんやってはいましたが、なかなか広告だけでは訴求力もない。
そして予算もない。
そんななかで、 お金をかけずにメディアの信頼を使って認知させてもらえるのがPRだと思っています。

▶次のページでは、PRで企業価値を高めるうえでのポイントを、LITAや笹木氏主催のPR塾で実践されているノウハウを基にお話しいただきます。

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笹木郁乃
株式会社LITA 代表取締役 PRプロデューサー
一般社団法人PRプロフェッショナル協会 代表理事

投稿者プロフィール
会社員時代、創業期2社のPRを担当。
株式会社エアウィーヴ では、2009年入社当時年商1億円が、5年で年商115億円まで急成長した時代の広報担当者として、多くのメディア露出を獲得し、売上に貢献。
愛知ドビー株式会社(バーミキュラ製造販売)では入社1年で、看板商品のバーミキュラを12ヶ月待ちの人気商品へと押し上げ、PRの力で急成長に貢献。
その後、企業価値にPRの力を加えることで会社が劇的に変化するということを多くの経営者に伝えるべく、PR代行事業を立ち上げ、現在も大手上場企業含め多数のPR代行のご依頼を頂く。
また、自身のPR経験より構築した独自のPR理論をコンンテンツとするPR塾を主宰。延べ1,600名以上の起業家、経営者、PR担当者に長期講座でPRを指導。
その他、企業主催の講座やイベントにもPR講師として登壇、8,000名以上の起業家・経営者に指導。

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