銀行もNo!町家再生の救世主は「支援者」と「私募債」での資金調達

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私募債を活用する意義

かくして、2019年の年越しは、とても喜ばしいものになったのです…
いま振り返ってみると、銀行には、いくら誠意を持って話しても全く話が通じませんでした。
厳しい言い方ではありますが、いまの金融機関には残念ながら、改修した町家を正当に資産評価する仕組みがなく、事業性を評価する能力も気概もないことがよく分かりました。

しかし、このような困り果てた経験は、無駄にはなりませんでした。
おかげさまで、「私募債」というウルトラCな資金調達方法に出会えたのですから。

これは、ビジネスモデルの勝利です。
「古都の価値ある建物の保存&旅館業ゲストハウスとして再生」、「仲間に支えられて私募債で資金調達」という新しいビジネスモデルは、これから日本で、大きく花開くと思います。

おかげさまで、2021年12月に私募債は償還日を迎え、無事に元本に利子をつけて、すべてお返しすることができました!

地方創生に活路を

近い将来、日本の不動産投資は、「都市再生&高付加価値」がキーワードになると私はみています。
都市部でアパート・マンションを新築して、普通に貸して利回り何%みたいな不動産投資は、現状メインストリームではありますが、マクロ的には衰退産業への道を突き進んでいるように思えるからです。
人口は増えないのに次々建てる、いくら空室が増えてもスクラップ&ビルドを止められない…その論理的帰結として衰退せざるを得ないでしょう。

また、東京はじめ都市部の地価や建設単価が上がりすぎ、仕入れしたくとも今の値段では食指が動かないですね。
私たち投資家は安く仕入れて高く売り抜ける動物ですので…

Azuki旅音サイトより

でも視点を変えれば、いまの日本、特に地方は宝の山のように思います。
インバウンド観光やリモートワークの普及により、(定住人口が減っても)交流人口の増加が期待できる場所が日本には多いにもかかわらず、安値で放置されている物件が山のようにあるのです。

目指すのは人が交流する場の創生

私が買わせていただいた金沢の町家を含め、地方の価値ある物件を安値で仕入れて、地元の人が必ずしも見えていない「交流人口の増加」に照準をあて、戦略的に再生・プロデュースしていく。
歴史や由緒を感じる宿に泊まれる、友達をつくって楽しく過ごせる、ビジネス上のヒントや刺激を得られる、街の景観も良くする…といった「価値」を創り出す運営を通じて、単に賃貸するだけよりも大きな利益を生み出し地元も含めた収入増を実現していく。
それが次の時代の不動産投資・経営におけるキーワードになると私は思っています。

最後に、私は私募債で応援してくれた仲間への感謝は忘れません。
彼らが、それぞれの地元で都市再生&環境創造型のプロジェクトをやるなら、微力ながら精一杯応援させていただきます。
私たちの力とお金を賢く使って、郷土を、日本を、少しずつ良くしていきたいですから。

出典:【ブログ】銀行が金貸さない町家再生を「私募債」で乗り切った話
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

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鈴木学
株式会社国際不動産エージェント 取締役副社長

投稿者プロフィール
海外不動産に精通する6ヶ国語を操るアナリストで、海外不動産投資家。アジア太平洋大家の会 会長も務める。
1968年生まれ
一橋大学卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験。海外在住経験は8年間。
2002年、豪州シドニーで不動産を購入し賃貸に出し、日本から遠隔で管理、成功を収める。これを皮切りに、現在では日本、オーストラリア、アメリカ、カナダ、タイ、インドネシアの世界6ヵ国で海外不動産を所有し、投資・経営を実践するグローバル大家。
海外不動産を知りたくて6ケ国の言語を習得。語学力とITを駆使した物件遠隔管理ノウハウを活かし優良物件を仕込み中。
愛称は「Manachan」

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