知的財産をサポート!事業投資、M&Aを成功に導く弁理士の活用法【後編】

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弁理士をいつ、どう活用すればいいのか

M&Aや出資プロジェクトにおいて弁理士を効果的に活用するためには、そのタイミングが極めて重要です。
理想的には、買収候補企業の選定段階や、投資検討の初期段階から弁理士の専門的な視点を活用することが望ましいといえます。
この早期関与により、知的財産の観点から見た投資対象の真の価値とリスクを正確に把握し、より戦略的で成功確率の高い投資判断が可能になります。

逆に、買収手続きが進んでからリスクが発見された場合、「買収完了後に致命的な問題が見つかった」「当初期待していたほどの価値がなかった」「予想していなかった法的リスクが顕在化した」という事態を招く可能性があります。
これらの問題は、投資収益率の悪化、追加的な法的費用の発生、事業統合の困難などの深刻な結果をもたらす可能性があります。

したがって、成功するM&Aや事業投資を実現するためには、定期的な情報共有、継続的な戦略検討、統合的な意思決定プロセスへの参画などを通じて、弁理士の専門性を最大限に活用することが求められます。

また、弁理士の選定においても、単純に費用だけで判断するのではなく、対象業界への理解度、類似案件での経験、戦略的思考力、コミュニケーション能力なども総合的に評価することが重要です。
優秀な弁理士との長期的なパートナーシップを構築することで、継続的で一貫性のある知的財産戦略を展開することが可能になります。

まとめと今後の展望

M&Aや事業投資の場面において、デジタル化の進展、AI技術の普及、グローバル化の加速などにより、企業の競争力が技術やデータに依存する傾向が強まり、知的財産がその競争優位性を確保するための鍵となることから、知的財産の重要性はさらに高まることが予想されます。
このような環境変化の中で、弁理士という専門職の価値と役割も、より戦略的で高度なものへと進化し続けるでしょう。

企業経営者や投資家にとって、弁理士を効果的に活用することは、競争優位の確立と持続的成長の実現に向けた重要な戦略的投資と言えるのではないでしょうか。

本編「知的財産をサポート!事業投資、M&Aを成功に導く弁理士の活用法」の【前編】はこちらから

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緒方昭典
くじら綜合知財事務所 所長
弁理士・知財経営コンサルタント
ベンチャー知財専門コンサルタント

投稿者プロフィール
静岡県静岡市生まれ
東海大学工学部工業化学科卒業後、東海大学大学院工学研究科工業化学専攻卒業
2013年4月弁理士登録
複数の弁理士事務所に勤務したのち、スタートアップに対して、特許や商標などの権利取得だけでなく知財活用を支援するため、くじら綜合知財事務所を設立。
現在は、広くベンチャー企業の知財活用の支援に注力。
情報経営イノベーション専門職大学客員教授。

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