シリーズ『スモールM&Aを成功させたいあなたに』第5回目/経営者が自ら動く!

日本M&Aアドバイザー協会の大原達朗会長による解説、スモールM&A、個人M&Aに取り組むうえでの12のポイントのうち、前回は第4回目「三密M&Aを実現しよう」をお届けしました。その続きとなる第5回目は、「経営者が自ら動く」について解説します。

※本記事は、大原氏がYouTubeで配信する「【1時間で学ぶ 】2020年 スモールM&A現実と成功のための12のポイント」を編集したものです。

自分たちでできることって何だろう?

~ポイント6~

マッチングから手続きまですべて同じ業者に任せるべきなのでしょうか。一般的には、すべてを任せないと契約をしてくれません。なぜなら、いい売り案件が少ないからです。業績も悪くなく、経営管理もしやすそうな会社の情報というのは、そもそも、めったに出回りません。このような優良案件があった場合に、一生懸命案件を探している人はその価値がすぐにわかります。そのため、千載一遇のチャンスは報酬が高くてもやるという会社が多いのは当然です。いつまでたっても見つからないという人は、マッチングサイトで誰にでも共有されている情報をただ眺めているだけなのです。本当に「良い案件」を見つけるために、自分たちで動き探すことも検討すべきだと思います。

アドバイス業務、うちの味方って誰なんだ?

~ポイント7~

自分たちで良い案件は探せないのか?

「良い案件」の定義は、意外と難しいものです。良い案件とは抽象的ですので、自分の会社に何が必要なのかを知るためには、調べ、考え抜き、業界を本気で分析し、さらに、経営トップ、社長が関わっていることがポイントです。M&Aは売るにせよ買うにせよ、極めて重要な経営判断です。しかも不確実性が高く、100%成功する保証はない上、将来を見通さなければならない。さらに、自分たちに圧倒的な経営力があるならば、買おうとしている会社を変えていかなければいけない。分析・発想・チェック、デューデリジェンス、すべてきちんとやったつもりでもその通りに動かないことがたくさん出てきます。だからこそ、経営トップが関わっていないとうまくいくはずがないですし、社長が動かないと良い案件を探すことも、自分の会社にとっての良い会社の定義もできません。

情報を開示し門戸を開こう

では、経営トップが先陣を切り、準備が整っている会社であれば、こういう会社が欲しいと、明確な買収ターゲットが決まっているのでしょうか。さらに、予算の概算、意思決定の方法などが決まっていて、それらを公開しているでしょうか。購入の意思がはっきりしているのであれば、具体的条件をインターネット上のHPにも載せてしまった方がよいと思います。

今、M&Aのマッチングサービス会社でも、サービスの内容や欲しい案件情報などを具体的に公開するところが増えてきています。なかには、HP上で買収の報酬を明記している会社もあります。業界内で買収実績があると、直接、買ってほしいと相談されたり、ブローカーなどが案件をもってきたりするようになってきます。買いたい側は、まず明確な買収金額を決め、それを外に積極的にアピールしていき、向こうからくる機会のための門戸を開いておかないといけないと思います。

本当のウチの味方を探そう

~ポイント8~

顧問はリスク管理専門の味方

本当のウチの味方とは誰なのでしょう。顧問の弁護士・税理士は確実に味方です。では、彼らにM&Aの相談をしておけば万全なのかというと、ケースバイケースです。弁護士や税理士はリスク管理が専門ですから、会社に損をさせないというのがファンクション。よって、優秀であればあるほど、買収はよいと言ったとしても様々なリスクを列挙します。そのため、顧問の先生に相談したところ、リスクが大きいと反対され、結局やめてしまったというケースも散見されます。リスク管理の専門家のアドバイスは、もちろん、会社や経営者のことを考えた上でのことです。結果的にやめて正解だった案件もあるでしょう。

ただし、今のまま会社を続けても10年後にも存続しているかどうかわからないという現状で、規模をとって領域を増やし、販路を広げ扱う商材も増やしていかなければならない。その選択肢の一つとしてM&Aを考えているのであり、上振れ要因も充分にある。このような現状を鑑み、顧問の考えを聞いてマイナス要因を知ることは重要だとしても、トータルでプラスになる可能性が高いのであれば買収してみた方がよいのではないかということです。M&Aに関して顧問弁護士・税理士に相談することは、多少論点がずれる結果を招くことがあり注意が必要です。

戦略は自分で決め、コンサルには分析を依頼

戦略コンサルは味方になり得ますが、戦略の丸投げはやめた方がよいでしょう。戦略を決めるのは皆さんの仕事です。業界の分析などを戦略コンサルに頼むならばよいのですが、自分の会社をどうしていいかわからないからとりあえずM&Aがしたいと戦略コンサルに任せてしまうのは危険です。しかし、実際は社長が知らないだけで、戦略コンサルに丸投げに近いことをしている会社は結構あります。これを回避するために、社長が中心となってスタッフに買収・売却させることを考えていかないとだめだということです

弁護士、税理士、コンサルタント、アドバイザーも含めて、本当にウチの味方になってくれる人を探しだせたら、今度はその味方をコントロールする力が必要です。リスク管理の面から反対されてもそれを跳ね返せるような上振れ要因をきちんと提示し、そのうえでアドバイスしてもらう。ビジネスを発展させていくためにM&Aをやるわけですから、その目的のために彼らの力を借り、有効活用していくのです。ご自身がコントロールできるだけの知識を備え、きちんと皆さんの味方になってくれ困ったときに相談できる専門家を見つけることが重要です。

【著書】
この1冊でわかる!M&A実務のプロセスとポイント
サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間

次回は最終回「専門家活用術を身に付けよ」をお送りします。

出典:【1時間で学ぶ 】2020年 スモールM&A現実と成功のための12のポイント
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

大原達朗

大原達朗
日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテパートナーズ㈱代表取締役
アルテ監査法人代表社員
公認会計士

投稿者プロフィール
青山監査法人プライスウオーターハウスに入社し、大手一部上場企業を含む国内街の会計監査、IPO支援コンサルティング、買収監査(デューデリジェンス)等を担当
2004年大原公認会計士事務所を開業独立
インドネシアPT.SAKURA MITRA PERDANAを立ち上げ、実業家として国際的に活躍。会計監査、M&A、IPO、PMI、DDなどファイナンス・アカウンティングの領域で23年の経験を持つ

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