【書評】ステークホルダーなしには語れないコンシャス・カンパニーの隆盛

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30年以上にわたって成長・拡大を続け、アメリカで自然食品やオーガニック・フードなどを販売する食料雑貨チェーン店「ホールフーズ・マーケット」を経営するジョン・マッキー氏は、10年前の著書となる「世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー」で、「意識の高い資本主義」が企業力アップを支える土台だと解説しています。当時のホールフーズ・マーケットの現況から、現在のパーパス経営の隆盛を裏付ける経営手法について紐解く内容です。企業支援のエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏がナビゲートしてくださいます。

世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー
ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア(翔泳社)

本書の要約

経営者が社員、コミュニティ、株主、顧客、サプライヤー、自社といった、6つのステークホルダーすべてが幸せになることを目指すことで、企業はコンシャス・カンパニー、つまり、意識の高い企業に生まれ変わることができます。
企業が存在目的とコアバリューを明らかにし、価値をステークホルダーに提供することで、ステークホルダーが企業を熱狂的に応援してくれるようになり、それが企業の成長と存続を支えるものになります。

コンシャス・カンパニーとしてのホールフーズ・マーケット

高い利益を上げることは、ホールフーズの最も重要な使命を実現するための手段なのだ。

あのアマゾンに企業価値を評価され、2019年にM&Aされたアメリカの食料雑貨店チェーン「ホールフーズ・マーケット」の経営者であるジョン・マッキーが、30年以上にわたって実践し大成功を収めている経営スタイルがあります。
彼らが目指す「意識の高い資本主義」(コンシャス・キャピタリズム)を採用することで、経営者は自社の企業力をアップできます。

それは、株主価値を最大化することのみを追求するのではなく、顧客や従業員、投資家、コミュニティ、サプライヤー、環境へも利益を与える組織を作り上げることです。

顧客優先の販売戦略

本書の著者のひとり、ジョン・マッキーは、ホールフーズ・マーケットで自然食品やオーガニック・フードなどを販売し、優良で栄養価の高い食品を通じて地球に住む人々の健康と福利を改善したいと述べています。
このミッションを実現するためには、顧客から支持され、高収益を上げ続ける必要があります。
顧客に価値を提供し続けるコンシャス・カンパニー(意識の高い高収益企業)になることで、さまざまなステークホルダーに対して、企業はより貢献できるようになり、存続することも可能になるのです。

ステークホルダーによる破産危機の救済

開業当初の自然食品店の社名をホールフーズ・マーケットに変えて間もないころ、運悪く大洪水で店舗が大きな被害を受け、保険に加入していなかったために破産寸前の状態に追い込まれます。
しかし、日頃の彼らの地域への貢献がこの危機を救います。
顧客、社員、サプライヤー、銀行、 投資家といった主なステークホルダー全員が、ホールフーズ・マーケットを再開できるように支援を申し出てくれたのです。
そのため、洪水からわずか28日後に店を再開できました。

どのステークホルダーも私たちと本気で付き合い、心配し、関わろうとしてくれていることが実感できました。社員同士の距離も縮まり、お客様との関係が大いに深まったと言います。この時ホールフーズ・マーケットが実際に人々の生活に大きな貢献し、必要とされていることがわかりました。

地球に奉仕するという企業文化の醸成

ジョン・マッキーは、コンシャス・カンパニーに必要な要素について、以下のように述べています。

  1. 主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、全員の利益のために奉仕するという高い志に駆り立てられ
  2. 自社の目的、関わる人々、そして地球に奉仕するために存在する意識の高いリーダー(コンシャス・リーダー)を頂き
  3. そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような活発で思いやりのある文化に根差していること

つまり、意識の高いビジネスリーダー(コンシャス・リーダー)が増え、彼らが力を合わせれば、資本主義の問題を克服でき、環境にもやさしい新たな繁栄を手に入れることができます。
さらに、顧客に奉仕し、顧客の生活を向上させることに喜びを見出す社員がいることで、コンシャス・カンパニーは成り立つのです。

地域や市民に尽くす企業が世界を変革する

自社の顧客や社員に対するのと同様の愛情と配慮をもって地域のコミュニティに接する企業は、地元の振興や市民生活の向上に力を尽くします。
例えば、優れた製品やサービスを開発、提供する企業は、カーボンニュートラルなど地球環境にも良い影響を及ぼしています。

自社の存在目的の達成にこだわり、純粋な思いやりに満ちあふれ、人々に対する影響力がありながら押しつけがましいところがなく、平等主義が徹底し、高度なサービスや製品の提供に本格的に取り組み、信頼でき、透明性が高く、称賛され周りの手本となり、愛され、尊敬される。

▶コンシャス・カンパニーの組織と企業文化、お客様やステークホルダーとの向き合い方についてお分かりいただけたかと思います。次のページでは、ビジネスモデルとして進化系とされることの理由と、それを裏付ける業績についてお伝します。

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徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO ビズライト・テクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー 情報経営イノベーション専門職大学【iU】客員教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。
現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。
ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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