【書評】ステークホルダーなしには語れないコンシャス・カンパニーの隆盛

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進化系ビジネスモデルの要件

企業はコンシャス・キャピタリズムを受け入れることで、社会全体の利益と密接に調和し、人類が経験してきた進化的変化に協調できます。

コンシャス・キャピタリズムとは、あらゆるステークホルダーにとっての幸福と、金銭、知性、物質、環境、社会、文化、情緒、道徳、あるいは精神的な意味でのあらゆる種類の価値を同時に創り出すような、進化を続けるビジネスパラダイムのことだ。

コンシャス・キャピタリズムには4つの柱があります。

  1. 存在目的
  2. ステークホルダーの統合
  3. コンシャス・リーダーシップ
  4. コンシャス・カルチャー/マネジメント

この4つの柱は互いに結びつき、相互に強化し合っています。

ステークホルダーの関連性強化

経営者は、自社がなぜ存在しているのか?なぜ存在する必要があるのか?を繰り返し考えるべきです。
企業を活性化させるコアバリューや、すべてのステークホルダーを一体化させる方法を考え、実践することで、顧客やパートナーから支持される。
結果、企業は一つになり、モチベーション、パフォーマンス、道徳的なコミットメントも高い水準へと押し上げられます。

社員、コミュニティ、株主、顧客、サプライヤー、自社の6つの全てが、Win-Win-Win-Win-Win-Winになること(Winの6乗)で企業は圧倒的な強さを発揮できるようになります。
ステークホルダーとWin-Winの関係を作ることで、世の中に欠かせぬ企業になれるのです。

コンシャス・リーダーが企業の方向を変える

あらゆるステークホルダーのために価値を創造し、自社の存在目的を達成したい。
そんな気持ちを持つコンシャス・リーダーの存在が、企業を良い方向に変え始めます。

コンシャス・リーダーには、高い分析的知能、情緒的知能、精神的知能に加え、高度に発達したシステム知能が求められます。
互いに依存し合うすべてのステークホルダーの関係を理解し、それをまとめる能力を高めるリーダーがいる企業は、世の中にとって不可欠な存在になります。

変革を恐れず企業文化を育てる

コンシャス・カンパニーの文化は企業にとって偉大な力と安定の源であり、その目的とコアバリューは時間が経過し、リーダーが変わっても生き続ける。意識の高い企業文化(コンシャス・カルチャー)は、存在目的、ステークホルダーの相互依存関係、そしてコンシャス・リーダーシップに対する企業の本格的な取り組みから自然と醸成されてくる。

コンシャス・カンパニーは、自社のカルチャーを大切に守りつつ、機能の分散化、権限委譲、協力をベースとする手法で経営されます。
結果、イノベーションを継続してステークホルダー全員のためにさまざまな種類の価値を創り出す組織力が拡大します。

企業価値は継続的に上昇

株価においてもコンシャス・カンパニーは他者を圧倒し、長期にわたって驚くほどの高パフォーマンスを達成しています。
過去15年間の株式市場全体のパフォーマンスは150%を上回る程度なのに対し、代表的なコンシャス・カンパニー数社の株価は、1600%以上のトータルリターンを上げています。

収益性に社会的良心をプラスして

本書は10年前に書かれた本ですが、古さを感じることはなく、今のパーパス経営の隆盛を予見するものです。
経営者は、収益性と社会的良心のバランスを保つことでステークホルダーから支持され、自社をコンシャス・カンパニーに変えていくことができるのです。

徳本氏の著書「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)

出典:「世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー(ジョン・マッキー)の書評」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

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徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
iU 情報経営イノベーション専門職大学特任教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。
現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。
ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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