【書評】売れる仕組みづくり!現状とゴールとの構造的ギャップを解析
- 2023/2/21
- 書評
原材料やエネルギーの価格高騰や急激な為替変動…ビジネス環境が大きく変化しているなか、モノやサービスが売れないといった問題は以前にも増して多くの経営者が抱える悩みではないでしょうか。その状況を根本的に解決する方法を提示してくれているのが、理央周氏の著書「売れない問題 解決の公式」です。目指したいゴールと現状とのギャップを整理・解析し、売れる仕組みづくりを提案する本書から解決のヒントを見つけてください。企業支援のエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏がナビゲートしてくださいます。
売れない問題 解決の公式
理央周(日本経済新聞出版)
目次
本書の要約
Product、Target、Communication.
これらの頭文字をとった「PTCモデル」とPDCAサイクルを組み合わせることで、顧客理解が進み、売上がアップします。
「売れる仕組み」は、「何を=差異化されたプロダクト(P)」「誰に=的確なターゲット設定(T)」「どうやって=顧客とのコミュニケーション(C)」の戦略を立てることに加え、計画を確実に実践することで成立します。
顧客の問題解決が「売れる」につながる
売れないときこそ基本に戻って「何が間違っているのか?」を検証することが大切です。
時代がどう変化しようとも、商売の本質として不変なのは、「顧客のニーズを自社の製品で解決すること」です。
それによって「顧客を動かす」ことを目指します。
景気が減退するなかで、多くの企業の売上が上がらなくなっています。
私の仲間である理央周氏が、この解決策を本書でわかりやすく解説してくれました。
・売り上げがじりじり下がる
・新規顧客が獲得できない
・期待の新商品、新サービスの食いつきがいまいち……
このような多くの人が抱える「売れない問題」。
しかし実際これらは、「単なる現在の状況」です。
したがって、「①どうやって、②誰に、③何を」提供するのか、状況を整理し解析していくことで売れない原因が見えてきます。
PTCモデルとは?
マーケターはHow(メディアやSNSなどの施策)の部分から、売上アップを図ろうとしますが、著者はWhat、Who、Howの順番で考えるべきだと指摘します。
①What 何を=プロダクト(Product)
差異化・独自化できる製品やサービスに特化する
↓
②Who 誰に=ターゲット(Target)
売りたいモノが響くターゲット層を明確に決める
↓
③How どうやって=顧客コミュニケーションの戦略(Communication)
売り物の本質を売り先に「伝え」顧客を「動かす」
これらProduct、Target、Communicationの頭文字をとったのが「PTCモデル」。
PDCAサイクルと組み合わせることによって、顧客理解が進み、売上がアップします。
顧客起点で考えるとは?
私は企業の社外取締役やアドバイザーをしていますが、売上アップをはかるために、経営陣やマーケターに顧客起点で考えることを伝えています。
では、顧客起点でマーケティングを捉えるとはどういうことなのでしょうか?
それは、売り物の本質を売り先にしっかりと「伝え」、顧客にアクションを起こしてもらうことです。
あなたの製品に響く人たちを定義してから、その人たちに「どうやって」買ってもらうのかを考えます。
WhatとWhoを定義することで、正しい施策が考えられるのです。
どうなりたいかを明確にしよう!
マーケティング活動の中心は、戦略を立案し、確実に実行することです。
プランを立てる際のポイントは以下のとおり。
- 自社がビジネスをすべき市場の動きや消費者、顧客層の変化・情報を集める
- 情報などの分析により、気づきを洗い出す
ただし、計画(Plan)を立てる前段階でゴールと目標値(KGI)を明確に定めることが成果につながるカギになります。
目標値の着地予測を立て、具体的な数字を設定し、それとのギャップを埋めることを考えます。
チームでそれを共有し、すぐにアクションを起こしていくようにします。
PDCAにおける計画立案の際には、
現在の立ち位置から市場がこうなると予測して、
↓
そのときの「こうありたい将来」を設定し、
↓
そこから逆算して、
↓
いつまでに、誰が、何を、どのようにすべきかというステップで立案します。
当初に立てた計画=戦略は、あくまで「仮説」ですから、計画通りにものごとは運んでいなくても、気にしないようにしましょう。
「結果が出なくて当たり前」と考え、次の仮説を考え、行動するうちに施策の精度が高まっていきます。
起こった事象を適切に検証し、いかに改善すれば結果が出せるのかを考えることが重要なのです。
▶「売れない」という状況を客観的に分析し、原因を探るための方法が提示されていて実践したい内容です。次のページでは、潜在ニーズを掘り起こし売れる仕組みを作るためのノウハウについてお届けします!