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3つのステップで情報発信を効率化
──ツールを拝見しますと、ステップ1~3までありますが、これを実践していくことで、経営者の方が自社の強みに気づけるように構成されているのですね。素晴らしいです!最初、自社のPRポイントややるべきことなど、全てが漠然としているなかで増田さんに相談されると思うのですが、実際に踏む手順についてお話いただけますか。
増田氏――以下の3構成になっています。
- ステップ1「訴求点発見ツール」
- ステップ2「コンテンツ呼び水ツール」
- ステップ3「発信先選定ツール」
企業価値を顧客と共有する
「その企業が目指すこと」を言語化するステップ1で、「どのようなお客さまに、どのような価値を提供するのか。そしてその価値は競合と比べてどこに違いがあるのか」を整理します。
実際は、経営者の方と一緒にその企業さんの「常連客」にインタビューするんです。
企業や店舗に必ず存在している「常連客」が、企業愛も強く、社長とも懇意であることが多いです。
ですから、なぜこの会社が好きなのか、どこが他社と違ういいところなのかを聞くと、とてもいい意見をお持ちなんです。
それをこのシートにまとめていくことで、今まで見えなかったものが健在化していくんですね。
──このツールを介して初めてその会社の課題が引き出せて強みが明らかになっていくということですね。
増田氏――そうですね。
僕としては、ツールを埋めることが目的というよりも、対話のきっかけがツールであるという捉え方をしています。
経営者、常顧客、支援者3者間共通の企業価値を見出すためのツールとも言えるかもしれません。
共通の話題の見える化だけでも何かが変わっていくヒントが得られると思っています。
──ステップ1で「今後目指していきたいこと」を引き出すためには、常客以外の意見も必要だと思うのですが、広くお客様の声を吸い上げるためにどういうやり方をされているのでしょうか。
増田氏――ペルソナを詳しく見ていきます。
ペルソナの経歴や仕事、家族構成、趣味、休日の使い方…そこまで深掘っていくと、その人の暮らしぶりが見えてきます。
すると、その人にとって、対象企業やお店はどんなポジションにあるかがわかるんです。
そこで初めて「企業価値」が明らかになります。
例えば、支援先の恵比寿の日本酒居酒屋は、「串カツあります」「日本酒が豊富です」「エビスビールの特約店でもあります」といった具合に何でもかんでもアピールしてしまっていて、何がPRポイントなのかがわからなくなっていたんです。
話をよく聞いてみると、そのお店の本当の強みは、全国の230種類以上の純米酒を常時提供していることと、社長が年間800本以上の日本酒を唎酒して日本中の酒蔵から取り寄せていることでした。
それをアピールしていきましょう!と。
ちょうどコロナが蔓延し始めた頃で、日本中を旅行しながら酒蔵を巡って日本酒を楽しんでいた人たちがそれできなくなっていましたので、お客様のパーソナリティや価値・趣味という時間軸も全部ひっくるめてこのお店の位置づけがあるのだと気付くことができて、お店とお客様双方の接合点を見つけることができました。
──価値の発見は引き算にあるのですね。
増田氏――いろいろな訴求をしたくなるので足し算しがちなのですが、余分なものをそぎ落として引き算することで見えてくるもっと先鋭化された強みを打ち出していくことが大事なのだと考えています。
──企業や店舗の強みが誰にでもわかるように見える化したツールの開発は、多くの経営者の悩みを解決するものになっているようです。後編では、増田さん考案の情報発信メソッドで実際にどのような訴求が効果的に行われているのか、お話いただきます。1年で400本公開した、増田さん運営の経営者のための本要約ブログについても、語ってくださっています。お楽しみに──
資料はすべて増田さんにご提供いただきました。