プラスチック・ブロックで思考を可視化!対話と戦略を深めチーム強化も(前編)

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「企業内から広く意見を聞きたいが、なかなか声が集まらない」「業務に関する意志疎通がうまくいかない」。そんなお悩みを抱える企業は多いことでしょう。その解決策の一つとしてデンマーク製のブロックを用いた対話法、LEGO®SERIOUS PLAY®の技法と教材を活用したワークショップ(以下、LSP)への注目が高まっています。「子どものおもちゃ」と思われがちなブロックを用いて、チームビルディングや企業の戦略策定などに役立つ画期的なメソッドを普及し続ける株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツの代表取締役社長、蓮沼孝氏が、“思考の仕組み”をひも解いてくださいます。日本で唯一、LSPを展開するパイオニアが蓄積してきたエピソードは、必見です!

ビジネスキャリア開発などを経てLSPに出会う

Z-EN――今はLSPを広く普及する方としてお忙しい蓮沼さんですが、まずはLSPに出会うまでのご経歴を教えていただけますか。

蓮沼孝氏(以下、蓮沼氏)――早稲田大学を卒業して22歳で三菱商事に入社し、25歳から3年ほど、ニューヨークで駐在員として輸出入業務に携わりました。
一度帰国しましたが、身に付いたビジネス英語を活かしたいと思い、派遣制度に応募して1983年から85年まで、米国ペンシルバニア大学のウォートン・ビジネススクールで学び、MBAを取得しました。
その後、外資系企業の経営者を探す人材紹介業や、マレーシアの複合事業会社で事業統括に従事して2004年に帰国するまで、ビジネスマンのキャリア開発、組織の改革、戦略策定などに取り組んできました。

帰国後、縁あって、九州から、アジアを始め世界各国で活躍するビジネスリーダーを輩出することを目的とする「九州・アジア経営塾」の運営などを手掛けるうち、当時、日本でただ一人のLSPのファシリテーターだった石原正雄さんに出会いました。
塾に経営幹部研修としてLSPを導入したことでのめり込むようになったのです。

頭の中のモヤモヤを、整理して話せた!!

――LSPのどんな部分に惹かれたのですか。

蓮沼氏――LSPのワークショップを5人グループで体験した時のことです。
レゴブロックを組み立てながら自分の考えを語ると、頭の中で何となく意識していたモヤモヤしたことを整理して話せたり、頭にアイデアが浮かんだりして、とても驚きました。
手を使ってある形を創って思考を可視化し、それにストーリーを加えて説明するという流れは、左脳による論理的思考と右脳的な共感する力を同時にトレーニングできるかもしれない、そして右脳を働かせることはチームビルディングにも効果的だと実感しました。

さまざまな人がいることを、ブロックで可視化し、対話を深める

蓮沼氏――マレーシアの複合事業会社で統括本部長をしていた頃、タイ、フィリピンを含む5カ所の事業所(工場)を巡回指導していると、ミーティングで決めたことが2ヶ月後にはなかったかのようになっていて、まったく違うことをしていたのです。
現場の人から直接改善点や意見を聞きたかったのですが、発言力のある人しか発言しなかったり、都合が悪いことを隠されたりしたのです。
ロジックを中心に話し合いを重ねるだけでは何かが足りないと思った経験でした。

内面を映し出し、対話を深めるメソッドで起業

――まず、ご自身が身をもって必要性を感じられたのですね。

蓮沼氏――はい、そこで2008年4月、デンマークのレゴ本社を訪問し、開発者であるロバート・ラスムセンさんから、LSPの専門ファシリテーターのトレーニングを受けました。
小学校の校長先生を経て、レゴ社の教育部門で開発ヘッドをしていたラスムセンさんは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のシーモア・パパート教授によって提唱されたコントラクショニズム*1や、米国の心理学者ミハイ・チクセントミハイ博士が提唱したフロー理論*2などを参考に、欧米の大学や研究機関と共同で開発を行い、2001年にLSPを完成させました。

そのメソッドとは、神経科学・心理学・教育学・システム理論等の理論を領域横断的に組み合わせて開発されたもので、個人・チーム・組織の問題を解決へと導く対話の技法です。
LSPを行う時、ブロック作品を作った人の環境や精神状態、人間関係などさまざまな内面が遠因となって形になるので、お互いに作品を見ながら話すことでグループの対話が深まります。

私は、そういった創造性や組織開発を促進するLSPのポテンシャルに共感し、日本でこれを普及したいと思い、2008年の秋、パートナーの石原さんと共に、ラスムセンさんを再訪問しました。
そこで、彼を顧問にお迎えし、日本におけるLSP実践のパイオニアとして2008年10月に石原さんと共同で株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツを立ち上げることにしたのです。

*1 手と頭が連携を取りながら、新しい知識を構築、再構築していく教育理論
*2 フロー(FLOW)という経験を通して、より複雑な能力やスキルを持つ人間へと成長していく過程を理論化した人間発達のモデル

15年前、デンマークにて会社設立を話し合ったラスムセン氏、蓮沼氏、石原氏(左から)

▶プラスチック・ブロックを使った対話が、どのようにチームビルディングなどに役立つのか。そのメソッドの仕組みが少しずつ見えてきたかと思います。次のページでは、広くLSPを知らしめるようになったNASAの例などを通して、より詳しくご説明くださいます。

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蓮沼孝
株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ 代表取締役社長

投稿者プロフィール
早稲田大学理工学部卒、米国ペンシルバニア大学ウォートン校大学院修了(MBA)。
三菱商事で国内・米国にて輸出入業務に従事後、グロービス経営大学院にて顧客開拓、論理思考や事業経営者養成のプログラム企画・開発、マレーシアの複合事業会社で事業統括に従事した経験を持つ。
九州・アジア経営塾にLEGO® SERIOUS PLAY®を使った経営幹部研修を導入。
デンマークでファシリテーター資格を取得し、企業や大学でのプログラム共同開発・実践を行っている。
共著:「戦略を形にする思考術 レゴ®シリアスプレイ®で組織はよみがえる」(徳間書店、2016)

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