「学びたい」を無料サポート!子どもを伸ばす現代版寺子屋(前編)

この記事を読むのにかかる時間: 4

自分が先駆者になれるのは、やはり教育分野

前田氏――その後も別の学校への転職も経験しましたが、能力が変わらないのに新米扱いされショックを受けるなど、置かれた環境に気力が流されるような挫折を味わい、教員としてのキャリアをストップさせてしまうんです。
環境に流されるのではなく、動かぬ環境を創りたい!そんな想いで、次の展開として起業を決意しました。
高校の同窓生と共同設立した合同会社ルネサンスはWeb系の事業からスタートしましたが、自分が先駆者になれる分野はやはり教育しかない!と、教育サービスも展開するようになりました。

子どもたちに良質なキャリア教育を

NPO法人「テラコヤ」サイトのトップページ。ロゴは、知恵の象徴であるフクロウをモチーフにしている

前田氏――教育サービスを続けるうちに、子どもたちが望む未来を実現するためにはキャリア教育が必要!と思うようになり、キャリア教育と座学となる大学受験サポートを掛け算した、「カフェ塾テラコヤ」のアイデアがひらめいたのです。
場所貸ししてくれるカフェを探していたところ、「教育のためなら無料で使っていい」と手を差し伸べてくれたお店があったことから、これは自分たちも無料でサービスしよう!と、NPO法人を2022年1月に立ち上げました。

リアルなカフェ営業を通して、高校生の経験値を上げる

――もう一つの取り組みで、2023年度が4年目となった「テラコヤカフェ」についても教えてください。

前田氏――高校生が実際にカフェを営業し、一般のお客様に食事や飲み物を提供するという体験学習を通してキャリア教育をする場が「テラコヤカフェ」です。
実際にカフェをやるということで、当初は学生や大人のスタッフがつきっきりでしたが、徐々に子どもたちに任せられるようになり、4年目の今年は1年掛けて取り組んでいます。
カフェ経営者の方に講義をしていただいたり、ビジネスモデルの理解やマーケティングについて、メニュー開発と価格設定など実践的に体験したうえで、実際に月1回ですが、カフェ営業をします。
今年は北青山のカフェも貸していただけることになり高校生11人、中学生1人が実践の真っただ中です。

高校生が運営するテラコヤカフェの様子(前田さん提供)

――試行錯誤しながらリアルな社会体験ができるのは生徒たちにとって貴重ですね!

前田氏――はい。特に近年、大学受験に導入された総合型選抜での自己PRの材料に使えると思います。
私自身が25、26歳になっても自分のキャリアを設計できていないことにふがいなさを感じていたので、高校生の段階から自分のキャリアを考えるきっかけになればと思っています。
例えばアメリカだと、総合型選抜のような入試がほとんどで、必要な体験はお金を払ってやっていたりするそうですが、そうなると経済力による格差が出てきます。
さまざまな人に触れ合い、幅広い社会経験ができるカフェ運営のような体験こそ無償で提供するべきだと思っています。
*大学側が、求める人物像をまとめたアドミッションポリシーと合致した人財を探すため、提出書類や面接、小論文など様々な試験を組み合わせ、一人ひとりを評価する入試方式

塾での勉強やカフェ営業での体験を通して、高校生たちが大学、そして自分のキャリアを考えている様子がよく分かりました。後編では、さらに現代ならではのツールを活用し、より広いエリアで展開している学習支援などについてお話しくださいます。

1 2

前田和真
NPO法人テラコヤ代表、合同会社ルネサンス・ジャパン代表

投稿者プロフィール
慶應義塾大学文学部卒業後、国語科教員として高校で勤務を始め、昭和の青春ドラマ顔負けの全力指導で子どもたちを希望進路に導く。
最低ランクの偏差値からの国公立大学や難関私立大学への逆転合格をサポートしたノウハウがある。
都内の私立中学・高校で約7年間、教員生活を送った後、自身の経験から「子どもたちの笑顔が溢れる社会」を作るために、テラコヤ事業を展開している。

この著者の最新の記事

関連記事

ピックアップ記事

  1. 「PR」と聞くと、企業がテレビやラジオなどのメディアで流すイメージCMや、商品やイベントなどを情報発…
  2. 決算は、株主、投資家、金融機関など、外部のステイクホルダーに会社の財政状態・経営成績を伝達する役割を…
  3. ブラウザで作れる履歴書・職務経歴書「Yagish」ヤギッシュで人気の(株)Yagishが、企業の採用…

編集部おすすめ記事

年別アーカイブ

ページ上部へ戻る