テレビの映像を見ていると、そのバックには必ず音楽が流れています。その音楽に感情を揺さぶられた経験は誰にでもあることでしょう。それらバッググラウンドミュージック(BGM)を放送・番組制作用に自社制作する株式会社B2RECORDSは、独自ノウハウで国内トップシェアを誇っています。放送番組のみならず、誰でも自由に動画発信できる世の中において、ますます市場拡大を続ける同社取締役社長の髙山健太郎さんに、展望を伺いました。
目次
4万曲以上の楽曲を自社制作する音楽出版社
Z-EN――御社は数ある音楽出版社の中で、独自のポジションを築いていらっしゃるとお聞きしました。特徴などについて教えてください。
髙山健太郎氏(以下、髙山氏)――音楽出版社と呼ばれる、曲の著作権管理やプロモーションを行う会社は、国内にたくさんあるのですが、弊社の場合は主に、放送を中心とした番組制作のための映像にマッチするバッググラウンドミュージックを扱っているのが一番の特徴です。
そういったBGMを取り扱う音楽出版社やレーベルも数多くあるのですが、私たちのようにすべて自社で制作している楽曲を4万曲以上保有する企業は、日本国内には他にないと自負しています。
――レコード会社やレーベル、音楽出版社、音楽事務所にはどのような違いがあるのですか?
髙山氏――まず、レコード会社やレーベルはアーティストと契約し、レコードを製造・発売する会社です。
そのレコードのブランド名にあたるのがレーベルで、1つのレコード会社の中に複数のレーベルが存在するケースも多くあります。
音楽出版社は、作詞家・作曲家(作家)と契約して、作品がいろいろなところで使われるように、放送局やWebサービスなどの媒体にプロモートを行います。
この契約で、音楽出版社は作家から著作権を譲り受け「著作権者」となり、その曲の権利を多くの場合JASRAC(ジャスラック)やNexTone(ネクストーン)などの著作権管理団体に預け、放送やネットなどで音楽が使われる際に発生する使用料をその著作権管理団体から受け取り、作詞家・作曲家に分配する役割を担っています。
音楽事務所は、アーティストのマネジメントが役割ですね。
一般的に、いわゆる「歌モノ」と呼ばれる歌詞付の曲をシンガーが歌う楽曲の取り扱いをイメージされることが多いでしょう。
でも、それだけでなく日常の様々な場面で使われる楽曲があることは、みなさんもご存じの通りです。
――なるほど。音楽出版社やJASRACやNexToneなどの著作権管理団体の役割がよく分かりました。JASRACに著作権を預けている音楽出版社は国内に約3,400社もあるそうですね!
髙山氏――そうですね。以前は、JASRACに楽曲を預けるために結ぶ信託契約は有料だったのですが、数年前から信託契約料が無料になり契約の条件も緩和されたんです。
JASRACの競合にあたるNexToneもアグレッシブに登録楽曲を増やしていますね。
それらによって音楽出版社の数もかなり増えていますが、なかでも弊社は利用楽曲数として大きなシェアを保ち伸ばしています。
映像の数あれば楽曲の数あり
――御社が扱っていらっしゃるのは、歌詞のない曲というわけですね。
髙山氏――そうですね。いわゆるBGMです。
主にはテレビ番組のBGMとして制作し、映像制作関係者の音響効果会社や、テレビ局に納品しています。
選曲は、例えばテレビ局であればディレクターや時にはアナウンサーが行う場合もあります。
選曲する側には、一度使用したものを何回も使いたくないという心理が働くので、1つの番組制作をとっても複数の楽曲が必要となり、テレビ局単位になるとかなりの数の楽曲を提供可能にしておかなければなりません。
――BGMはありとあらゆるものを制作されるのですか?
髙山氏――映像の種類がある限り、楽曲のバリエーションを増やして制作しています。
ニュース番組からバラエティにドキュメンタリー…さらにそのなかでもスポーツや動物関連、子ども向けの番組など、さまざまなジャンルに応えられる楽曲を日々新譜として制作しています。
映像のジャンルがある限り、我々もそれに見合ったジャンルの楽曲を増やしています。
――想像力が問われるお仕事ですね。
髙山氏――そうですね。最近、韓国に関連する映像にマッチさせるBGMの話がありました。
例えば、日本を表現する映像に向けた和風BGMというと、簡単に想像できると思いますが、韓国はどうでしょう?
みなさん歌詞のついたK-POPの楽曲をイメージされるのではないでしょうか。
でも、歌詞のないBGMは?というと、中国との境界が曖昧だったりして、ずばりコレ!という曲のイメージは実はほとんど存在しないのです。
そういった今までにないBGM楽曲を創り出すことも我々の使命だと思っていますね。
▶テレビ番組や映像で流れるBGMの制作には専門性の高いプロの技が駆使されているのですね。次のページでは、B2RECORDSが築き上げた独自の制作ノウハウや芸術分野を振興する髙山さんの熱い思いをお聞きしました!