飲食店経営の奇才が語る「成功の秘訣とエンターテイメント性」(前編)

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「東京名物・海苔弁」を作る!

品格の高さと丁寧な取扱は高価格だからこそ

――海苔弁は好調なようですね。

三浦氏――おかげさまで。横浜の高島屋さんでも催事で1週間だけ販売したのですが、最初の100個は45分で完売しました。
高島屋さんのかき入れ時に商品がないんじゃ顔が立たない!と、追加で100個つくって並べたのですが、それも夕方30分で完売しちゃって。
厨房が狭く、フライヤーも小さいので、つくれる数に限界があるんですよ。
高島屋さんでは、10個とかまとめて買う人がいて、後ろに並んでいる人が「あらら…なくなっちゃう…」と不安気で。

好評だったので、5月にまた催事に出す予定です。
そのときには、「東京名物・海苔弁」にしようかなと。
それで話題になったら、東京駅からオファーが来るかもしれない(笑)。
東京って、お店がすごく多いから「東京名物」がなかなかないんですよ。
言ったもん勝ちだから、東京名物・海苔弁として打ち出していこうと企んでいます!

――それはすごく良いですね。このしょうゆの容器が金色ですし、箱や紙袋のデザインも高級感があって手土産や会合で出すお弁当としても良いですよね。

三浦氏――それはもちろん狙ってやっています。
金色のしょうゆ容器はたまたま運良く見つけたんですが、箱は手づくり。
大阪で紙屋さんをやっている役員から、木目をプリントするアイディアをもらってコストを抑えた良い箱ができました。
蓋を開けると、料亭のコースメニューみたいになっているでしょ?
これは「コースメニューの紙を見ているのってワクワクするよね!」ってことで、このデザインになったんです。

当初は、「海苔弁を1000円で売る」と言ったら、「お願いだから600円で売らせてくれ」と店長に泣きつかれましてね。
でも、「ダメだ!」と、1000円で通しました。
この品質とデザインなら1000円で売れるという確信があったし、1000円で売るからみんな丁寧につくって包装して丁寧に届けてくれる。
これが600円の海苔弁だったら、もっと雑になっちゃいますから。

Z-EN撮影

土日も影響しない安定売上の秘訣

――考え抜かれてますね。宅配もしているんですよね?どれくらい売れているのですか?

三浦氏――宅配で1日150~300個くらい売れています。
予約だけで毎日150個くらいあります。
ロケ弁注文も多くて、フジテレビやテレビ朝日、TBSなど主だったテレビ局から注文が来ていますね。

ロケ弁だと、タレントさんの口に届くので、インスタにアップしてくれたりと、集客効果も高い。
先日テレビで紹介されて電話が鳴りっぱなしでしたよ。
1日で580個売れた日もあります。

今の厨房ではつくりきれず、お断りせざるを得ないこともあって、次の店舗を準備しています。
場所は新宿でほぼ決まっています。
甲州街道沿いのオフィスがたくさんあるエリアで、元うどん屋さんの物件です。
面積が広く、フライヤーやダクト設備もあるので機動力が上がるでしょうね。
人口も今の店舗エリアの50倍くらいいるので、うまくいくと思いますよ。

――それは楽しみですね。靖国通り本店は、どれくらいの売上なのですか?

三浦氏――売上は1日30万円くらいです。
土日も落ちないですね。
これは予想外でした。
夕方は18:00まで営業しているのですが、ランチタイムだけではなくて15:00とかでも売れています。

まとめて買う人が多くて、車で来る人もいますね。
7月にオープンして、まだ春を経験していないので今から楽しみです。
春限定の季節弁当も作るので、ここは桜があるので、すごいと思いますよ。
秋や冬の季節弁当は1日50個限定で販売したのですが、予約と店舗販売で午前中には完売していました。

――予約で安定的に売上があるというのは、経営の観点からは安心感が増しますね。

三浦氏――「今から40個」と急に電話で注文が来ることもありますが、それはそれで嬉しい悲鳴ですね。
本当は、前日とか早めにご予約いただけるとスタッフの負担も減るのですけどね(笑)。

「見せ方」を大切にしてブランド価値を保つ

――Uber Eatsは、あえて使っていないのですか?

三浦氏――そうですね。
わざわざ予約していただくとか、お客様に来ていただくとか、スタッフがお届けするとか、そういう付加価値が大切だと思っているので。
靖国通り本店は、レンタカーとリヤカー付きの自転車で届けています。
Uber Eatsは今後もやらないですね。
ブランド価値が下がると思います。

やっぱり、ビシっと海苔弁屋の衣装でお客様の手元まで届けたい。
そば屋の出前みたいなイメージですかね。
オープン前にポスティングしていたのですが、結構坂道も狭い道もあるので自転車の方が良いと思って。
スタッフからは「どうしても電動自転車にして」と言われたので、そこは奮発しました(笑)。

――ポリシーがあって素晴らしいです。ブランド価値を落とさないというのは、とても重要ですよね。三浦さんは、インスピレーションやエンターテイメント性をとても大切にされている印象があります。次回は、過去に手掛けてきた飲食店についても教えてください!

後編に続く…)

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三浦正臣
店舗ナンバーワンホールディングス株式会社 代表取締役

投稿者プロフィール
1980年生まれ、神奈川県出身
2002年、店舗流通ネット株式会社に入社。
24歳で取締役営業本部長になり、同社の上場に貢献。数多くの飲食店プロデュースを手掛ける。2008年には「恵比寿横丁」をオープンし、多くのメディアから注目を集める。
2012年に独立し、ストアクリエイティブ株式会社を設立。海外の店舗プロデュースも手掛けるようになる。
2015年1月、店舗ナンバーワンホールディングス株式会社を設立し、これまでに1700軒の飲食店をプロデュースしてきた飲食業界の奇才。

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