経済ウォッチャーはポストコロナ経済をどうみるのか

コロナ禍で多くの人が旅行はもちろん、仕事や買い物に行にも出づらくなり、その結果として需要と供給が同時にショックを受ける事態となりました。しかし、アメリカはいち早くワクチン接種を進め、経済回復へ向けて前進しています。アメリカ企業リサーチラボ・加藤千明さんに、今の経済と企業から見たポストコロナの経済について伺いました。

企業の情報収集が日課になった編集者経験

――加藤さんは、大学を卒業後に証券会社に就職されて、その後は東洋経済新報社で編集や執筆のお仕事を長くされていたのですよね。

加藤千明氏(以下、加藤氏)――はい。山一証券で2年半ほど働きました。シンクタンクを希望していたのですが、業績悪化や証券不祥事が起こり、営業店に異動になりました。それで東洋経済新報社に転職し、経済統計の月刊誌編集部や、電機・化学の業界担当記者、投資信託専門誌編集部などで経験を積みました。投資信託専門誌の編集部では、投資信託の評価などもしていました。その後は、自治体情報ハンドブックの編集長や、CSR・ESG情報チーム、アメリカ企業の情報ハンドブック編集部(米国会社四季報)など、26~27年のキャリアがあります。

情報収集、データ収集が日課でしたので、マーケットデータのチェックや統計数値のチェック、新聞記事のチェックなどをしながら「データを軸に考えること」が習慣化されました。

52歳で独立し、今はFPとしても活動しています。2021年3月に独立したばかりですので、まだまだこれからといったところです。

――noteでは、アメリカ株について情報発信もされていますよね。

加藤氏――コロナで在宅ワークになり、時間に余裕ができたので試しに始めてみました。友人からは「通好みだよね」「銘柄を選ぶのに参考になる」など、嬉しい言葉もいただいています。あくまでも分析して情報発信しているだけですので、仲介や推奨はしないスタンスです。

――アメリカ株への投資を検討しても、言葉の壁や情報収集の壁を感じて挫折する人も多いと思います。加藤さんのnoteがきっかけになり、アメリカ株投資を始める人が増えるかもしれませんね。

加藤氏――そんな人が増えてくれると、私も嬉しいです。

コロナによる経済環境の変化

――コロナショックの影響もあり、日本も世界も経済環境が変化していると思いますが、加藤さんはどのようにみられていますか。

加藤氏――新型コロナの影響もあり、「K字経済」と表現されるように企業業績の明暗がはっきりと分かれたのがこの1年だったと思います。増益だったのは、製造業や巣ごもり需要の恩恵を受けた企業。赤字だったのは、運輸やデパート、外食、エンタメ産業などです。

内閣府が発表した2020年度のGDPは、前年度比4.6%減と2年連続でマイナス。下落率はリーマン・ショックがあった2008年度の3.6%減を超え、実質的には戦後最大の落ち込みです。日本はGDPのうち個人消費が約53%を占めています。個人消費が増えると成長率も好調になるわけですが、コロナの影響もあり個人消費は増えていません。所得が増えれば個人消費も増えるのですが、残念ながら所得はこの30年間増えていないのが実状です。

なぜ日本人の所得は増えないのか? それは、新しいものやサービスを作れなくなったからです。「高くても売れるもの」が、今の日本は作れていません。労働生産性は低下しており、37か国中26位。それにともない、グローバル競争力も低下しています。スイスのビジネススクールIMDが発表している「世界競争力年鑑」(※1)によると、日本のグローバル競争力は、1990年は1位でしたが、2020年では34位になってしまいました。「稼ぐ力」が低下しているのが今の日本です。日本経済の地盤沈下は深刻で、新たな発想で経済再生・強化が必要であると感じています。

※1.国の競争力に関連する統計データと企業の経営層を対象とするアンケート調査結果を63カ国(地域)から収集し、作成される競争力指標

――追いつめられるほどに方法や姿勢が試されますが、日本はゆでガエル状態で、追いつめられているという自覚もないのかもしれませんね…。

経済ウォッチャーの「企業業績のみかた」

――加藤さんが企業業績をみるときのポイントがあれば、ぜひ教えてください。

加藤氏――「なにで稼いでいるか」にまずは注目します。他には、「売上高は増えているか」「利益はどうか(営業利益、当期利益)」「部門別(セグメント)ではどうか」に注目します。

決算速報の「決算短信」は必ずみます。収益の予想も載っていますから、「企業がどうなるのか」を計る重要な情報です。「なぜ売上が増えるのか」「なぜ利益が増えるのか」などが説明資料に示されていることもあります。

※証券取引所の適時開示ルールに則り、株式を証券取引所に上場している企業が決算発表時に、共通形式で作成し提出する決算速報のこと。

――アメリカ株の場合も同様ですか? なぜ加藤さんはアメリカに注目されているのでしょうか?

加藤氏――そうですね、基本的にみるポイントは同じです。なぜアメリカなのかというと、世界ナンバーワンの経済パワーがあり、数多くのグローバル成長企業を輩出してきた国だからです。新しいビジネスや新しい企業が、続々と誕生しています。株価は長期では上昇していますから、投資先として有望だと考えています。

2000年も2020年も、アメリカのGDPがダントツで1位です。1990年代から安定成長が持続しています。「移民による人口増加」「先端テクノロジーなどの競争力」「世界の基軸通貨であるドル」など、アメリカの成長を支える要素はたくさんあります。

――確かに、グローバル企業と呼ばれる多くの企業はアメリカから輩出されていますし、アメリカで流行ったビジネスが数年遅れで日本に持ち込まれることも多いですね。加藤さんが注目されているアメリカ企業には、どのような企業がありますか?

加藤氏――「クラウドストライク」という、クラウドベースのセキュリティサービスの会社に注目しています。他には、手術支援ロボットの「インテュイティブ・サージカル」、オンラインフィットネスの「ペロトン・インタラクティブ」、キャンピングカーメーカーの「ソア・インダストリーズ」などです。いずれの企業も、ポストコロナ経済においても有望だと感じています。

――ありがとうございます。初めて聞く企業ばかりですが、数年後にはグローバル企業に成長しているかもしれませんね。今後、加藤さんはどのような活動をされていくのでしょうか?

加藤氏――経済やライフプランについてお伝えしたり、情報発信したりすることを続けていきます。私の知識や経験がだれかの役に立てば嬉しいですし、そのきっかけとなる登壇機会をいただけると嬉しいですね。

――加藤さんの情報を求めている人はとても多いと思います。引き続き、加藤さんの情報発信を楽しみにしています。

加藤千明
アメリカ企業リサーチラボ

投稿者プロフィール
1969年生まれ、福井県出身。
大手国内証券会社を経て、東洋経済新報社入社。
マクロ経済・金融部門を中心に、業界担当(エレクトロニクス・化学)、投資信託評価、地域経済、米国企業分析などの業務に従事。
2021年2月に独立。ファイナンシャルプランナー
幸せマネーライフの水先案内人-FPオフィスウィズ― 代表
決算情報をベースに、IPO、M&Aなど、米国株投資に役立つ、「気になる」「知りたい」米国企業の最新情報を発信するアメリカ企業リサーチラボを運営。

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