責任を負えない結果を招かないために誠心誠意のコンサルを!(前編)

車の所有率が日本国内で年々減少傾向にある1昨今、自動車業界の課題も、ただ売り上げを伸ばせばよいという単純なものではなくなったのかもしれません。
自動車関連をメインに経営コンサルティング事業を行う株式会社チームエル(以下、チームエル)の代表取締役 堀越勝格氏は、そんな多様化する顧客の課題解決に尽力されています。
会員制カービジネス専用サポート・サービス事業も展開されている堀越氏は、顧客を窮地に立たせてしまった過去のご経験を元に、顧客との信頼関係構築のため重視して取り組んできたことについてお話しくださいました。

※1 財務省 自動車の保有と利用より

起業までの経緯

――堀越さんのご経歴をお伺いさせてください。

堀越勝格氏(以下、堀越氏)――2002年に日系では草分け的存在だったコンサルティングファームに入社し、コンサルタントとしての第一歩を踏み出しました。
当時、同社からスピンアウトした会社が数々のフランチャイズモデルを展開、成功企業を輩出し世の中で注目されるなか、コンサバなコンサルティング事業を行っていた同社も実業に進出し始めていました。

コンセプトは、机上の空論ではなく実際に自分たちも事業をする。そして、その事業をもう一度コンサルティングして展開しようというもので、私自身もこの内容に共感して入社を決めた一人です。

責任が取れない歯がゆさを体験

――どのようなお仕事をなさっていたんですか?

堀越氏――最初に配属されたのは自動車事業部でした。数年後に分社化し、車屋としての実業に乗り出すことになり、私も出向して業務に携わりました。

当時は、1店舗目を成功させて、2店舗、3店舗と出店を続けていくことで事業が拡大し皆が幸せになるという、いわゆるフランチャイズモデルの支援に携わり、私もお客様の役に立ちきっと喜んでいただけると、使命感を持って全力で提案していました。
28、29歳の時のことです。

しかし実際には、1店舗目からうまくいかなくて、次の出店ができず凍結する事態が方々で起こり始めていました。私も、本当にお世話になり可愛がってもらった社長に、数億のマイナスを出させてしまったことがありました。

コスト面のことだけでなく、多店舗出店を見越して雇用した人も切らなければならない。
それを見ていて辛くて…社長に呼ばれて説明を求められるんですが、責任が取れるはずもないんです。
ただただ、申し訳ないという想いでいっぱいでした。

チームエルを創業

顧客からの支援とスタッフに支えられてのスタート

――のちに、その事業を引き受けられたそうですね。

堀越氏――そうした経験を経て、やがて自動車業界の事業責任者としての仕事を任せてもらえることになりました。とにかくお客様に誠実に対応しようと心がけてやってきましたね。
その事業とともに25名の従業員を引き受け創業したのが、株式会社チームエルの始まりです。ですが、まだ独立の準備がほとんど出来ていなかった時に、月のコストが2,500万円に上り、数億の簿外債務があるという状態でした。

最初はキャッシュがなくてどうしようかと思いましたが、お客様に説明したら、助けてあげるから、ついていくから頑張れ!と言ってくれた会社が沢山あったんです。
事業継続への想いはありましたから、お客様の温かいご支援と頑張ってくれるスタッフに後押しされるかたちで、じゃあやろう!と引き受けを決めました。

――お金はどうされたんですか?

堀越氏――全然足りなかったんです。さらに、不良債権や簿外債務も含めて引き受けていたので、銀行も相手にしてくれない。

ですから、お客様を回って、何社かから6,000万円~7,000万円ほど借りました。それ以外にも、コンサルティング費を前払いしていただいたりと、助けてもらいながらなんとか2、3年しのいだ感じです。
それ以外の、自社の帳簿にはない2億以上の債務も引き受けましたので、立ち上げ時に借りた6~7千万円、それからコンサル前払いのお金と3億円以上の借金を背負っての創業というスタートでした。

多額の負債承継もネタにするタフな精神力

――大変でしたね。精神的には大丈夫でしたか?

堀越氏――そうですね。お金がない辛さを味わいました。今思いだすと暗黒時代です。
幹部には給料の支払を遅らせてもらったり、役員メンバーには周回遅れにしてもらったりの支払でした。

状態が状態だったので、銀行も相手をしてくれないんです。
興産信用金庫というところが唯一親身になってくれて、なんとか食い下がって、保証協会に連れて行ってもらって相談もしました。
企業再生の相談にいった税理士にも無理だと跳ね返されましたが、業績を上げながら、興産信用金庫さんに1年通って財務の立て直しを一生懸命学び実践していきました。

3期目に入ったあたりからようやく安定して、はじめてキャッシュフローが回ったんですよ。
それまでは全然経営に集中できなくて、なんとか給与や支払が終わると達成感はあるんですけど、1円も生んでいないんです。
それがキャッシュフローが回り始めると、とたんに事業に集中できるようになり好循環が生まれる予感がありました。
もちろん、お客様からお借りしたお金や簿外債務も解消し、金融機関の借り入れはありますがそれ以上の現預金を保有し、いわゆる実質無借金経営を実現することができました。

精神的にも辛かったんですが、最後はネタになるかな?と、どこか楽しんでいる自分もいましたね。今だから言えるんでしょうけど(笑)

責任を取れないことに責任を持つということ

――乗り切ったのですね。素晴らしいです!

堀越氏――勤め人時代に、お客様を損させるどころか、倒産危機にまで追い込んでしまった自身の苦い経験や、事業に失敗し会社を畳んで夜逃げせざるを得なかったお客様をみてきたこともあり、本当に無知は罪悪だなと感じました。

私たちがコンサルタント業をするにあたって、従業員には「責任をとれない責任」があると言っています。
コンサルタントは、社長の横に居て、投資などの経営に関わるいろいろな意思決定をする場面に立ち会うわけなんです。相談を受けた時も、こちらの回答次第で意思決定が変わっていくかもしれない。
そのことで相手の社長がもし負債を抱えるようなことがあっても、私たちは金銭面で助けてあげることはできない、それくらいの責任のある仕事なんです。

だからこそ、責任を取れない立場としての責任として、できる限りのサポートをし、常に誠実でなければならない

自分たちの私利私欲ではなく本当に相手のためと思えることを、プロとして毅然とした態度で進言しなければならない。
また、分野が異なりプロとしての進言ができない場合には、その前提で話さなければならない。
従業員には、すべてのことには責任があるのだと、規律として明文化し、厳然と指導しています。
それが一番のこだわりですかね。

この続きは後編「事業理念への共感とコミュニティ作りが成功へのカギ」でお届けします。お楽しみに

堀越勝格
株式会社チームエル 代表取締役

投稿者プロフィール
自動車販売等の経験を経て2002年大手経営コンサルタント会社入社後、カーディーラー、自動車整備業、中古車販売店等、業界企業の経営から現場改善までありとあらゆるテーマの実践的なコンサルティングを展開。
2006年からはカーリンクチェーンのSV(店舗指導部隊)を率い、店舗だけでなく、チェーン全体の生産性改善に向けた戦略的指導をも推進する。
自動車販売の人材育成・営業力強化は勿論、経営戦略の策定支援、製販の組織連携強化、組織活性化、人事評価システムの構築等、多岐に亘るテーマのコンサルティングを行い、クライアントオーナーの信頼に応え続けている。

この著者の最新の記事

関連記事

編集部おすすめ記事

年別アーカイブ

ページ上部へ戻る