市民が営み生きる権利を作り出す!公民連携による自立可能なまちづくり
- 2024/8/22
- インタビュー
目次
仲間意識を再生するザキオカスクールの運営
――なるほど、パブリックが意味するところは非常に多様な要素を含んでいるということですね。岡崎さんは「ザキオカスクール」をやられていますね。これはどういう方たちを対象にしていらっしゃるんですか?
岡崎氏――ちょっと人生に疲れた公務員向けに始めた、勉強会です。
最近の公務員はものすごく離職率が高い。
実際、どこの自治体も精神的な疾病で辞める人が後を絶たないから、「公務員イコール精神的安定ではない」ということなんでしょうね。
これは構造的な問題で、今、役所に入るのはすごい難しいですよね。
入るのが難しいってことは、基本優秀な人たちが入っていて、優秀な人たちは褒められることには慣れているけど、役所に入った瞬間に市民からとんでもないクレームを受けたりするので、そういう耐性がないんですね。
役所の末端は地域の先端
これは紫波町の役所のトップの言葉で、トップにいる人間が役所の末端である若手を引き上げようとして、 優秀な若手たちを褒めてあげなきゃいけない、成果出すことをやって当たり前じゃない、という自戒の念を表した言葉です。
人間って基本、誰かの役に立ちたいって多少なり思っているものです。
だから、田舎から東京出てきて疲れる人たちは、多分、東京に自分の役割はないってどこかで気付いた。
ただ、地方に来ると結構役割があるんですよ。
だからこそ人間らしく生きられるところだとは思うんですけれども。
その一方で、先ほど述べた官に集約される根源的なパブリックには、得体の知れない空気が流れているので、そこの壁を取り払うのが私の今の仕事です、
楽しむことの意義
――公務員の方が自分でお金を払って学びに来るってすごいことですね。
岡崎氏――そうですね。
スクールは2泊3日のスケジュールでやるんですが、楽しく笑ってみんなで酒を飲むっていうただそれだけ。
難しいことはあまりやらないで、目指すものがあるとすれば「新しい仲間の作り方」じゃないですかね。
スクールを終えて連帯感が生まれ、仲間になるんですよ。
沖縄や熱海でやる予定ですが、チケットもあっという間に完売です。
楽しむということに対して、1人じゃ楽しめない人が増えているように感じます。
スクールは楽しいんですよ、本当楽しい。
彼らは楽しみ方を教わってないだけ、経験していないだけなので、外から人との楽しみ方を学んで育てる、という感じです。
教育という地域創成プログラム
――日頃の疲れも、精神的なやりきれなさみたいのものも解消できるのであれば、素晴らしい取り組みですね。学校も作られているようですが。
岡崎氏――今は、学校を作る前提となる土台の部分を作っています。
やはりこれも街と同じで、学校を作る基準というものが必ずあると思っているのですが、学校作ると言ってみたものの、いったん走り出したら止まれないのが学校なので、継続させることがすごく大事です。
学校は、若い人の人生の一部を担い、受け入れ、預かるわけですから、途中でやめられない。
やめられないということを考えると、そう軽々しくやれないことだと思います。
つまり、企業の継続が簡単にはやめられないのと同じで、やはりお金が続くことが必要最低条件。
だから、どうしたらお金を生み出す学校を作れるかを模索しながら今準備しているところです。
広域通信制の高校『大阪滋慶学園』と組んで、理系学生をメインにした滋慶学園高校の通学課程を岩手県の紫波町につくるという構想です。
学校法人を経営するというよりも、農業をベースにした1つの地方創生プログラムを学生とともに立ち上げるというイメージですね。
コロナを機に、オンライン授業でみんなが勉強できるようになったことはこれからの教育にとってとても重要だと感じます。
さらにそれにリアルな体験が加われば、より充実した学びになるでしょう。
▶次のページでは、現状日本の公民連携における問題点と地方行政が醸成していくためのポイントについてお話しいただきます。