本質的な社会課題を解決する企業に注目!~スタートアップラボ
- 2024/5/10
- 事業投資
目次
ママさんワーカーで働き方を改革する「Mamasan&Company株式会社」
初めまして。Mamasan&Company株式会社の代表、田中と申します。
よろしくお願いします。
弊社の開発部門で特徴的なところと、労働生産性向上の妨げとなるブルシットジョブの問題を解決できるスキームをお伝えし、みなさんと繋がっていければと思っています。
会社自体はもう15年ぐらいやっていますが、2008年の創業当時から海外も含めて在宅の主婦を集めてフルリモートで運営していくという、当時としては結構新しい働き方の形だったのではないかと思っております。
ブルシットジョブ削減で効率化を実現
在宅ワーカーのママさん、約400名ぐらいと業務委託契約をして、情報処理系のBPOをやっている会社です。
僕自身は、会計や情報システムなどを学んでいろいろな会社を経ましたが、最後のブライダルの会社で創業メンバーの1人としてバックオフィスをやりIPOも学びました。
例えば、経理の経験がある40歳ぐらいの人と面接をして、人柄もよく、知識、経験も申し分ないので、年収600万円、時給換算3,000円ぐらいで採用するとします。
その人が月20日、160時間稼働するなかで、これまでの経験や知識、技術を活かした仕事もあるでしょうが、どんな仕事にも含まれるいろんな雑務も同時にこなしながら働くことになりますよね。
実はこの年収600万円という評価は、おそらくその人の1番トップのスキル、もしくは1番の知識を活かした1番パフォーマンスが上がっている時を想定したものです。
雇われる側としても、自分の最大パフォーマンスを買ってもらっているという自負があると思うのですが、実際仕事をしてみると、全てがそういうことではない。
このプルシットジョブと言われる単純作業の多くを削減し、よりコストを抑えられたらいいと考えました。
知識、技能が必要なものと単純作業をバイリングし、それぞれに見合ったコストでワークさせ人件費をコントロールするというのが弊社のやり方です。
ママさんリモートワーカー活用の仕組み
基本的に弊社の主要メンバーとなる子育て中の主婦、このママさんたちを時短テレワーカーとして業務委託契約し組織を作って運営しています。
BPOにおいては、案件ごとにマネージメントをするリーダーママがいて、リーダーママを中心としたマネージメントチームを組成し、その下にオペレーションチームを構成しています。
また、これとは別に、ボスママを中心とした「コスモス」というコミュニケーションチームを作り、テレワークの孤立感をなくすための交流を図る場も提供しています。
このように、 在宅の主婦を主要メンバーとした組織でPOBを運営しているのが弊社の特徴の1つです。
業務プロセスを可視化する
弊社では、自分たちのことを「業務プロセス可視化職人」と呼び、営業の開口一番は、「業務プロセスを可視化するのが得意です」と言います。
業務の流れを図式化してフローチャートとして可視化することで、これを例外なく作って、しかも、マニュアル化します。
フローチャートとマニュアルを作ることによって、実は、先述の単純作業と技術が必要な業務との棲み分けができて、そこに単価を当てていくことができます。
業務を標準化することによって、コストを明確にする考え方を導き出す仕組みです。
今日と明日と明後日、必ずしも同じ人が同じ案件の業務を担当できるわけでもないし、昨日やっていた先輩が今日いるわけでもないという状況が日常で当たり前。
そうなってくると仕事を覚えられないうえ、業務のクオリティを維持することがかなり難しくなります。
これが 創業時の課題でしたが、その解決方法として、人に聞かなくても業務を回せるように、最低限のレベルで業務がきちんと回るフローチャートとマニュアルを徹底的に作り込んだんです。
今日、今ここにマニュアルを出されたら、それを見てやっていくと多分僕でもできちゃうというレベルで作り続けていて、時間のないママさんたちで運営していくことを可能にしています。
このブローチャートのなかの1つ1つ、例えばメールの下書き保存、ファイルをダウンロードする、それを集計し直すなど、人が手を動かすアクションをコストポイントと呼んでいて、作業の最小単位のところに単価をつけていきます。
弊社が独自に開発したツールの中に、今、作業単価となるidが4000idあり、その中から、今この仕事をしていますと明確にわかるようなシステムになっています 。
ママさんたちは時間のない人たちばかりなので、なるべく最小の業務でクオリティを担保しながらゴールに達成しようというマインドを持って動くんです。
結果、そこが無駄を排除していくことにも結びついているのだろうと思っています。
在宅の集合が組織になってBPOを通じて企業の生産性をアップさせる、その背景に標準化があって無駄を排除しそれをフローチャートとマニュアルで運用していく、その仕組みを実践しています。
挑戦するマインドが共通項
エンジニアに限らず、 僕らが人材に求めるのは、業務経験ではないんです。
確かにすごく優秀なエンジニアもいますしSaaSなどを使っていますが、うちのママさんたちは、SaaSにしても自分たちで調べてチームで研究するんです。
僕はエンジニアリングの本質ってそういうものだと思っているんですね。
つまり、新しいことに挑戦して、チームで研究して、挑戦を続けていく。
こういうマインドを維持向上するところが非常に重要だと。
もちろんシステムエンジニアだけの話じゃなく、企業マインド、人のマインドとしては、そういうものが恒久的な大切なものだと思っています。
在宅のメンバーではありますが、連結会計のソフトウェアのかなり専門領域のカスタマーソフトセンターを標準化して期待に応えられるようなクオリティでやっています。
今後の展開
今後の5か年計画の中で、特にマーケティング分野に注力していきたいというのがあります。
弊社は10年以上やって手堅く利益は出ているものの、現在の売り上げが3億円を少し超えるくらいですので、もう少し伸ばしたい。
いろんな分析をしていく中で、一言で言うとマーケティング部分が非常に弱いということがわかりました。
ですから、そこへの投資資金が今、重要かつ必要な支援ですね。
また、弊社はITの会社でもあり、インフラを全て自分たちで作ることによって成長していますので、 AIも含めたシステムの足元回りの強化ということで、大体今年1~2億円ぐらいの調達を考えています。
弊社のマーケティング戦略として、ママさんたちを生かしたちょっと変わった働き方にいいねって言ってくださるエバンジェリストの方をいっぱい集め、そういった方から顧客を紹介していただくという組織をマーケティングの中心に置こうと考えて今動いておりますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
▶次のページでは、訪問看護へのIT導入で在宅医療の課題解決に挑む「ハノン・ケアシステム株式会社」代表の河田浩司氏がお話しくださいます。