事業投資とは?④「事業投資」と「不動産投資」の領域が近づいてきている理由

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事業投資をわかりやすく伝え、事業投資への理解を深めるためのシリーズ。4回目は、「不動産投資」が変わりつつある現状から、「事業投資」がなぜ注目されるのかを考えます。事業投資のノウハウが従来の不動産投資への認識を変え、双方の領域はリンクし始めているようです。

事業投資が注目されだした2つの理由

先日、不動産オーナーが集う勉強会に講師として招かれました。
驚いたことに、不動産投資を勉強する会なのに、既に多くの投資家が「事業投資」「M&A」を実践していました。
何故、そのような動きが起きていたのでしょうか。

モノへの投資の代表であった不動産投資が、事業というコトへの投資と領域が重なりつつある現状から、事業投資の本質についてお話します。

不動産価格の高騰

不動産業界で事業投資、M&Aが注目される理由の1つに、不動産価格の「高値水準」を肌で感じていることが挙げられます。
既に、首都圏の一部では1980年後半から起こったバブル時の価格を超えているエリアもあるほどです。

ただし、不動産取得価格が値上がりするなかでも、家賃はそう簡単に上げることはできません。
結果として、マンションの投資利回りは、かつての5~10%程度から3~4%程度にまで落ちています。
修繕積立費の増加、空室リスク等を考えると、更に利回りは低下します。

一方、事業投資はそれなりにリスクも伴いますが、投資利回りが20~30%になることも珍しくありません。

事業投資スキームの優位性

事業投資への注目が高まる理由の2つ目は、不動産業界にも「事業投資のスキルや発想」が求められつつあることです。
例えば、戸建住宅を買い取り、障がい者グループホーム向けに改装する場合、国が設ける基準を満たすことや、業界動向の把握・テナントを募集するためのルートづくりなどが必要となります。

投資しようとする不動産をどのように活用するのか。
そのためには、どのような情報を入手すればいいのか。
事業性や収益性、関連する法周りや税制関係などを詳細に知ることが、不動産を扱ううえで不可欠になっているのです。
投資対象とした不動産の調査・分析を進める中で、土地や上物を所有するだけでなく、ソフト面となる施設運営そのものに乗り出した方もいらっしゃいました。

不動産の差別化戦略に異変あり

不動産投資の基本は、土地を購入し、汎用性がある上物を建て、賃貸するというものです。
立地以外に差別化をしようと思えば、建築コストがどんどんと膨らんでしまいます。
原材料不足、職人不足により、最近は特にその傾向が強いようです。

コストをかけずに差別化するためには、例えば「外国人に優しい」「ペットが喜ぶ」「バイク愛好者が選ぶ」など対象者を明確にする等が考えられます。
また、共有部分を活かし「野菜がつくれる」「屋上ガーデニング」なども差別化ポイントとして有効です。

近所の人間関係は煩わしいと感じる方がいる一方、近隣と「コミュニティ」を求める方々が一定数存在するのも事実です。
実際に、交流を促すために、バーベキュー大会、ボランティア活動などを物件単位で実施している不動産オーナーもいます。
コストをあまりかけずに集客したり、家賃単価を上げたりする発想は、まさに「事業投資」で求められる分野です。

▶不動産投資にも事業投資スキームが求められている現状をお伝えしました。次のページでは、その具体性から、次世代型不動産投資について考えます!

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齋藤 由紀夫
株式会社つながりバンク 代表

投稿者プロフィール
株式会社つながりバンク 代表。
オリックス㈱に16年在籍後、2012年に独立。
スモールМ&Aの普及活動を中心に、事業再生・リノベーション等に注力。自らМ&A・事業投資も行い、数件エグジット済。
経営革新等支援機関(中小企業庁主管、認定支援機関)、事業引継ぎ支援センター 専門登録機関、日本経営士協会 経営士、日本外部承継診断協会 顧問。
趣味は焚火、居酒屋巡礼、トレイルランニング。

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