社会課題を解決する新プロダクトの開発~スタートアップラボ
- 2024/9/13
- 事業投資
スタートアップ企業をさまざまな形で支援しようと開催されている「スタートアップラボ」にて、支援を募る注目の3社が独自の強みを紹介するPRを行いました。大胆な発想と地道な取り組みによる革新的なプロダクトで社会的な課題を解決しようとする経営者たちの熱い思いを語っていただき、会場では参加者の皆様と親交を深めていただきました。
自社PRをした企業
株式会社アルゴス オンライン保険診療サービス「Yakkle」
PortRay株式会社 求職者向けの面接サービス「OSUMITSUKI」
株式会社PICK 不動産取引に特化した電子契約サービス「PICKFORM」
目次
糖尿病など4つの慢性疾患のオンライン保険診療
株式会社アルゴス
株式会社アルゴス代表取締役社長、布川佳央と申します。
2023年12月、慢性疾患の重症化予防としてオンライン保険診療サービス「Yakkle(ヤックル)」をリリースしております。
ヤックルは、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症の4つの慢性疾患に特化したオンライン保険診療サービスです。
第1号患者は、私自身です。
日本中のスマホを慢性疾患に寄り添ういつもの病院にする
これが私たちのミッションです。
私自身慢性疾患があり、いつもの病院にいつもの薬をもらいに行くために、予約をしても診療で待たされ、会計で待たされ、さらに処方してもらった薬を薬局でもらうために待つ。
気付けば土曜の午前中が潰れてしまうという状態を、10年近くの間、ずっと繰り返していました。
この時間、仕事をしたい、子供と遊びたい。
そんな思いでいたところ、周りにも同じような思いを抱えている方がたくさんいらっしゃることに気づきました。
オンライン診療が日本に定着しない背景
日本の保険診療におけるオンライン診療の割合は、実際の受診件数ベースでは0.036%と、ほぼ誰も利用してない状態です。
他の国に比べ普及しない背景には、オンライン診療の安全性への拘りが強くなかなか踏み切れないこと、マネタイズと収益化が非常に難しいことが挙げられます。
街中で流行っている内科の病院では、1人の医師が1日に100人~150人診察するのに対し、オンラインの保険診療はほぼ全て予約制なので、1診療約20分として8時間で24人しか診ることができない。
また、皆さん気軽にすっぽかしたり、大幅に遅刻したりするので、1日待っていたのに、あれ?今日10人しか患者診ていないんだけど・・・といった、話にならない状況になっているんですね。
さらに、通常の病院の収益の要は検査ですから、オンライン診療の場合、検査などの診療報酬の積み増しがない。
このへんのマネタイズが非常に難しいのです。
実はオンライン診療を導入している病院自体は20%近くあるものの、皆さん儲からないから止めてしまっているんです。
4大慢性疾患に限定したサービス
ヤックルを診療されるのは、主に糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症で治療歴があり、お薬手帳や検査結果をお持ちの方が多く来られます。
ヤックルをリリースしてから半年が経ちますが、こんな小さな会社にも関わらず、北海道から沖縄まで日本全国から患者さんに来ていただいています。
18時~22時の夜間帯のみに絞って診療しているため、特に首都圏中心に忙しく昼間働いているビジネスマンに多くご利用いただいています。
一方、医療インフラが弱い地域でのご利用も進んでいます。
それまで雪道を車で1時間かけて病院に行っていた北海道の83歳のおばあちゃんがオンライン診療に置き換えてくださって、こんな便利なことはないと喜んでいただいています。
また、足が悪くなってしまってなかなか通院できない、お薬が切れがちの方が、娘さんがスマホを操作して一緒にオンラインで受診してくれるといった形でご利用もされています。
オンライン診療の利便性を最大活用
大手企業が提供するオンライン診療のように幅広い疾患に対応することはできませんが、慢性疾患×リスクが低く、ご自宅の服薬でご自身でコントロールでき、自宅検査ができる病気に絞ってビジネスをしています。
もしも自宅検査での数値が悪くなってしまった場合には、きちんと紹介状を書いて近隣の専門病院を受診してもらい、そこのアドバイスを受けて落ち着いたら戻ってきてもらう、という方法をとっています。
今、次世代の検査には、様々な素晴らしいものがあります。
自宅で指先に小さい針を刺すだけで、腕で取る採血とほぼ変わらない検査結果が出るもの。
自宅で1週間つけっぱなしにできる心電図や、妊娠検査薬と同じように尿をかけてスマホをかざして結果が出る尿検査など、これらを組み合わせることによって、ご自宅で完結できる継続治療を私たちは提供しています。
オンライン診療の利便性はそのままに、 安全で効率も良いビジネスモデルを目指しており、実際、診療効率も他のオンライン保険診療と比較し2倍以上を出せています。
治療継続のためのコミュニティづくり
今後は、疾患の種類を順次拡張していきたいと考えています。
また、今対象としている4疾患は非常に長い間治療される方が多いので、継続していただく中で、今の会員制サービスといった形をコミュニティとして育てていきたい。
今は診療のみですけれども、相談できる場として、運動、食事なども含めた様々なサービスと巡り合える場として、バリューチェーンの拡大を目指していきたいです。
私たちの1番の強みは継続率です。
実際、今も7割近い方が次回も継続して利用いただいています。
1番の訴求は、続けられるという顧客体験なんです。
私たちは、 あえて診療の時間を十分に取って、医師から、「あなたの病はこのように危ない」「この状態を続けるとこうなってしまう」といった病気のリスクについてしっかり話すことにしています。
また、曜日固定で受診することでいつも同じ医師が診察する仕組みをとって、かかりつけ医として頼ってもらえるようにしたい。
薬は箱でお届けしていますが、 その中に、診察券や予約表、私たちからのお知らせなど、コミュニケーションのきっかけとなるものも含めて送るようにしています。
オンラインでも きちんとコミュニケーションを図ることを念頭に、検査による安全、予約枠がない利便性、これらを組み合わせることによって安心して続けられる、そして重症化予防ができる、これが私たちの強みであり、ブランドです。
健康診断結果に基づいた継続治療へ
最後に、私たちが成し遂げたい目標をお話しさせてください。
皆さん、大体40、50歳で生活習慣による4疾患を発症するケースが多く、健康診断に引っかかり大体半分ぐらいの方が病院に行きますが、この方たち、続かないんですよね。
1年も経つと、1~2割の方しか継続していない。
治療をやめてしまった方は60歳以降、心臓や脳で自覚症状が出てやっと治療を始めることが多く、治療継続がだんだん上がっていきますが、かなりの方が生活習慣病を起因とする病気の治療中に亡くなります。
忙しいから、時間がないから、病院予約が取れないから。
病院に行かない理由はこれにつきます。
オンラインで検査もできるし15分で済むので受診してみませんかと、人事の方から言われたら、かなりハードルが下がると思いませんか。
気軽にオンライン診療を受診してもらうことが、まず私たちの1つ目の目標です。
重症化を予防し健康寿命を延ばす
当然、私たち1社だけで日本の医療を変えることはできるはずもなく、いろんな強みを持つ企業と一緒にタッグを組んでいきたいと思っています。
ヤックルの社会的価値は、まさに重症化の予防です。
本来、引退した後の楽しく過ごすはずの時間を治療や入院に費やすような事態を私たちは本当になくしたいと思っています。
日本人の健康寿命を延ばすこと、そして、結果として医療費の大きな削減につながる取り組みだと確信しています。
今の日本の医療費は、毎年2兆円ずつ増えて昨年で46兆円ですが、この6割近くが生活習慣病を放置し重症化した方の治療費と言われています。
そこに大きくメスを入れる挑戦だと私たちは思って取り組んでいますので、よろしくお願いします!
▶次のページでは、採用における課題を共通一次面接という逆転の発想で解決に導こうと奮闘する「PortRay株式会社」代表の鹿野翔太氏に、サービスの概要とビジョンについて熱く語っていただきます。