「M&A補助金」が赤字、債務超過案件のアドバイザーと買手におすすめな理由とは?

今年世界がパニックに陥った新型コロナウイルス。ウイルスによる人的損失だけではなく、経済活動さえ停滞し、非常に多くの小規模~大規模企業が売上の低下や廃業にまで追い込まれているのが現状です。
今回は、日本を支える中小企業の事業承継に携わる方々に向けた、「M&A補助金」と言われる3つの補助金について㈱つながりバンク シニアM&Aアドバイザーを務める中小企業診断士、日本外部承継診断協会/理事としても活躍する白石直之氏に詳しく解説していただきました。

マイクロM&Aアドバイザーに朗報!中小企業庁の支援が本気に!

昨今、事業承継が社会問題になりつつあります。
中小企業庁の発表によると、今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、このまま事業承継が上手く進まない場合には、これから10年間に約127万者の会社が廃業(個人事業主含む)、GDPでは約22兆円の損失、雇用者数では約650万人が失業すると発表されました。
(出典:中小企業庁「中小企業庁長官 平成30年 年頭所感」)

その中でも特に小規模である、町のパン屋さんや1店舗飲食店、赤字製造業などの譲渡代金1000万円以下のマイクロM&Aでは、せっかく価値があるのにM&Aの専門家であるアドバイザーへ支払うフィーが小さかったこともあり、なかなか事業承継が進んでいなかったのが実態です。
しかし、新型コロナでの事業引継ぎの必要性を追い風にしながら、中小企業庁が以前より目標にしている年間6万件を推し進めるため、事業承継・М&A関連の補助金にも力を入れてきています。

ここでは、M&A補助金とそのアドバイザー、買手のメリットについてご紹介していきます。

赤字、マイクロM&Aでもアドバイザーフィー300万円が支給!?  3つのM&A補助金

新型コロナ後に開始された「経営資源引継ぎ補助金」は、M&Aアドバイザーのフィーにあたる紹介料、デューディリジェンス費用が対象になります。
また、一般にM&A補助金と言われる補助金には、次の3つがあります。


著者作成資料

債務超過や赤字案件のM&A案件がアドバイザーにとって、買手にとっておすすめ!

3つのM&A補助金の中で特に注目したいのが「経営資源引継ぎ補助金」です。
(参考:中小企業庁HP 財務サポート「事業承継」より)

M&Aアドバイザーが譲渡代金1,000万円程度の案件を成約させた場合、事業者から受け取るアドバイザーフィーは100万円程度になることが多いかと思います。
ですが、資料作成・営業コスト・契約手続き、デューデリ・実行後のサポート等、時間とコストを考えると、最低報酬200~300万円程度に設定しなければ成り立たないのが実態です。

「経営資源引継ぎ補助金」の補助率は2/3なので、上記のように事業者の負担が100万円であればアドバイザーフィーは300万円になります。
これにより、今まで扱っていなかった小規模の案件化が現場でも進みつつあります。

また、赤字や債務超過の企業に対しては、補助金を活用しつつ対応を始めているアドバイザーが増えています。
債務超過の場合は、再生型のM&Aと言われる債務圧縮について中小企業再生支援協議会や弁護士を通して検討することが多いのですが、アドバイザーとしては手間がかかる割にフィーが少ないため、対応が困難な状況でした。

あまり知られていませんが、再生型M&Aであれば買手は譲渡資産価格程度の少ない資金でM&Aすることが可能です。
熟練投資家は良い会社を高値で買うよりも、再生型М&Aを好む傾向にあります。
今後は、多くの企業がコロナ融資の返済が難しくなる可能性があるため、注目すべき手法でもあります。

アドバイザーフィー用の「経営資源引継ぎ補助金」、申請は通るのか?

さて、この補助金の採択率は1089者(採択数)÷1373者(申請数)=約79%となります。
現場の実感としても、以下のポイントをおさえて申請することでほぼ通過する補助金だと感じています。
(参考:経営資源引継ぎ補助金事務局「1 次公募の補助事業者を採択しました」)

【経営資源引継ぎ補助金 申請のポイント】
・社員引継ぎが1名でもあること
・売上が維持、向上が見込めること
・取引先があり、引き継げること

例えば、通過した難しそうな案件では、申請以前に譲渡実行まで完了したケース、
また、社員引継ぎが1名のケースでも採択されています。

今後も補助金は続くのか? 来年の予算にはすでに盛り込み済み!!

概算要求と言われる、各省庁が財務省へ提出する予算案があります。
中小企業庁の申請の抜粋内容が以下になります。

(出典:中小企業庁 令和3年度概算要求のPR資料 事業承継・世代交代集中⽀援事業より)

こちらにあるように名称変更はされるものの、同等の内容の補助金予算は計画されているため、来年も募集される見込みです。

ぜひ、M&Aアドバイザーの方も企業様も補助金を活用して良い形での事業承継を実施できればと思います。

白石 直之
株式会社つながりバンク
シニアM&Aアドバイザー 中小企業診断士
日本外部承継診断協会/理事

投稿者プロフィール
2005年早稲田大学卒業後、世界最大の半導体マイコンメーカーの戦略企画部にて製品企画に従事。
2016年、中小企業診断士登録。再生案件に従事して、2017年より株式会社つながりバンクと協業開始し正式入社へ。
現在は年間約10件もの成約をこなしながら経験を積む。

得意分野は、障害福祉・パチンコ店・宗教法人。争う相続問題の1つである、少数株主の買取サービスも行う。
MDRTなど保険パーソン向けセミナー、横浜青年会議所でのセミナーなど講師経験も。

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