「M&Aでは大きい魚を狙いがち」スモールM&Aの魅力を語る【白石直之×東川仁①】

中小企業診断士、㈱つながりバンクM&Aシニアアドバイザーとして活躍する白石直之氏。
2017年の独立当初は融資や補助金をメインに考えていましたが、その折、齋藤由紀夫氏のセミナーに出会い、スモールM&Aの道へ。

「スモールM&A」は、白石氏と同じ中小企業診断士はもちろん、公認会計士や税理士、弁護士、司法書士、さらに建設業と縁の深い行政書士、法人との結びつきを強くしたい保険営業など、さまざまな分野からそれぞれの資格・職業の強みを生かして参画できる企業間提携です。
コロナショック後に変化しつつあるスモールM&Aの実情や業界事情も含め、多くの士業・コンサルタントにとって参考になるお話を白石氏に伺います。
株式会社ネクストフェイズ編集部と同社代表の東川仁氏による軽快なインタビューで、5回に渡ってお届けしますので、お楽しみに。

中小企業診断士を取得したきっかけ

編集部(以後省略)  白石さんは卒業後に勤めていた世界有数の半導体メーカー在職中に、中小企業診断士の資格を取得なさったそうですね。

白石  はい、登録は2016年です。

ーー そして2017年に退職。もともと独立するご予定で?

白石  そういうわけでもないんですが、まあ半導体並びに電機業界が市場として下火で、将来への不透明感はありました。また、大前研一さん創設の一新塾に通っていて、そこで融資や補助金作業のお手伝いすることがあり、興味が涌いて勉強して資格を取ったんです。その後、大学の先輩でもある診断士の手伝いで再生案件の一部調査を行いました。これが私の最初の再生案件ですね。

ーー  初仕事、どう感じましたか。

白石  診断士の財務の知識では粉飾を見破ることは難しいのですが、この調査は踏み込んだものでしたので、非常に勉強になりました。診断士の資格勉強での基礎知識(財務3表の見方や、DCFなどの企業価値方法)は、財務状況を把握するうえで大いに参考になります。ちゃんと考えて、教えてもらえれば、M&A経験がうすい会計士よりも診断士の知識でしっかり対応できるようになると思います。

 

セミナーに参加して気付いたスモールM&Aの魅力

ーー  では独立すぐからスモールM&Aの世界に?

白石  いえ、当初は、融資と補助金サポートをメインにしようと思っていたんですよ。

ーー  なんと。

白石  中小企業の社長が苦手としており、また中小企業庁としても、診断士に期待しているのはこの2点かなと思って。まあ、僕がそう想像しているだけなんですが。

東川  補助金と融資ね。融資はたぶん、期待しているのは中小企業庁というより金融庁かもしれへんけど。でも今の状況を見ていたら、コロナ融資なんか全部経済産業省やから、もしかしたら中小企業庁も期待してるんかな。

ーー  しかし当初の事業の柱が…。

白石  はい、これもやはり2017年、今の私の上司・齋藤が行うスモールM&Aセミナーを受けて、そちらへ(笑)。

ーー  なぜそんなにスモールM&Aの世界に惹かれたんでしょう。

白石  セミナーに行ったときは、まだ業務のことなどよくイメージできていなかったと思います。が、「自分もできる」とは、だんだん思い始めました。あとは…。

恵まれた周囲の環境

ーー  あとは?

白石  収入も魅力で(笑)。

ーー  大事なことです(笑)。

白石  真面目な話をすると、新聞や中小企業庁の発表を見ていると、事業承継は社会問題だと報じられています。でもM&Aなら解決できる。実際に現場にいると、たしかに社長にはまったくその方面の知識がなく、熱心に私の話を聞いてくださるんです。広く、強く必要とされる仕事だと実感したのが、この世界にどっぷり入り込んだ理由です。

ーー  そして株式会社つながりバンクへ。

白石  最初は業務委託という形で1年弱くらい、その後に正式入社しました。

東川  で、大事な収入の話は。

白石  正社員ですが、ほぼ成果報酬です。普段の給料はまあそこそこで(笑)、成約したらドーンって感じですね。上場企業さんだと基本給の割合が大きめで、成果報酬がフィーの10%ぐらいなんです。弊社が手がける小規模企業を対象としたスモールM&Aだと、成果報酬はもうちょっとあります(笑)。

ーー  ということは。

白石  2年目で、前職より一応アップしました。

東川  すごいね。独立2年目で、まずそんなんありえへん。

白石  いえいえ、出会う人々とか、上司の指導とか、総合的にラッキーだったんだと思います。

●「今、年間10件以上は手がけているでしょうか。
大手M&A企業なら、1年に1件くらいの担当件数なんですが…」(白石)
「独立は2017年…、すごい濃い時間を過ごしたんやね。そりゃ成長も早いわ」(東川)

 

大きな魚に目がくらむ……上司の目が覚めるアドバイスとは

ーー  齋藤さんからは、どのような指導が?

白石  「マグロだけじゃなく、サバもちゃんと対応をしなさい」と。

ーー  マグロとサバ。

白石  M&Aってどうしても大きい案件=マグロを選びがちなんです。上場しているM&A企業は「大きいのだけ」を狙っていることが多いです。報酬は売買代金で決まりますし、代金が大きくても小さくてもM&Aアドバイザーの手間があまり変わらないから。むしろ大きい方が、外部の公認会計士や弁護士にもサポートをお願いすることが多くて、仕事は楽かもしれない、ぐらいの認識です。

ーー  (ふむふむ)

白石  ただ、そうすると、それこそ今のように新型コロナの影響で、再生案件のようにちょっと手間のかかるものが増えてくると、今までマグロばかりを選んできた人にとっては「再生案件って面倒だし」と断りがちです。しかし、一度断ってきたM&Aアドバイザーに、たとえば次の案件が来たとき依頼するかっていったら…。

ーー  しませんよね。

白石  そうなんです。齋藤からよく言われます。

ーー  指導入った。

白石  齋藤は、わりと何でも受けます。受けた後、連携パートナーに相談することもできますしね。

ーー  まずは一旦受ける。

信頼関係が実を結ぶ

白石  去年、おかげさまで年収がドーンと伸びたんですが、ひとつ大きな案件をまとめたからです。で、そのときも「これで調子に乗っちゃダメだよ」と、気持ちを抑えてくれたり。

ーー  さすが上司。

白石  たしかに私もサバを食べなくなりそうになり、報酬3000万円以上の案件を優先しがちになっていました…。

ーー  えっ、報酬3000万円って、ざっくり見積もると年商5億ぐらいの企業のM&Aってことですよね。

白石  はい、それくらいです。

ーー  (桁が違う…)

白石  そんな仕事がポンと入ってくるのも、やはり信頼関係あってこそなんです。そこを大事にしなさいと齋藤から言われています。信頼ができていれば、小さいのも大きいのも、パラパラと依頼が来ますから。

ーー  あのう、依頼ってどこから来るんですか? 誰と信頼関係を結ぶんですか?

次回の対談は、「M&Aの実務において、他士業とのパートナー連携は大切です」です。

出典:株式会社ネクストフェイズ白石直之中小企業診断士インタビュー記事
全5回<士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?>【1】 「スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

白石 直之
株式会社つながりバンク
シニアM&Aアドバイザー 中小企業診断士
日本外部承継診断協会/理事

投稿者プロフィール
2005年早稲田大学卒業後、世界最大の半導体マイコンメーカーの戦略企画部にて製品企画に従事。
2016年、中小企業診断士登録。再生案件に従事して、2017年より株式会社つながりバンクと協業開始し正式入社へ。
現在は年間約10件もの成約をこなしながら経験を積む。

得意分野は、障害福祉・パチンコ店・宗教法人。争う相続問題の1つである、少数株主の買取サービスも行う。
MDRTなど保険パーソン向けセミナー、横浜青年会議所でのセミナーなど講師経験も。

東川 仁
株式会社ネクストフェイズ代表取締役
一般社団法人融資コンサルタント協会代表理事

投稿者プロフィール
2002年、渉外・融資担当として13年勤めた地域系金融機関を退職後、資金調達コンサルタント・経営コンサルタントとして独立。
以来、30年以上、延べ3000人以上の経営者に対して資金調達コンサルティングを行ってきた。

独立後、職員に対するセミナー・研修・講演を行った金融機関は全国50以上。
「近代セールス」で、2010年より銀行職員向けの記事を連載中。
2016年に一般社団法人融資コンサルタント協会を設立。
融資に役立つ研修、業界の最新情報、顧客獲得に有用なツールを提供するなど、融資に強い専門家の育成に励んでいる。
中小企業への直接サポートや士業・コンサルタントを通した融資指導は年間500件以上。
うち「創業」関連は年間350件以上のアドバイスを行っている。

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