情報屋が語る、危ない案件② M資金詐欺の流行と創業者一族に潜む投資詐欺へのリスク

前回は、投資案件を持ち込んでくる人物について、注意深く背景を調べることをお勧めしました。今回はM資金詐欺がなくならない背景や、上場企業、特に創業者一族が株主の場合のリスクについてお話します。

富裕層が騙されやすいM資金詐欺

最近またM資金詐欺が流行っているようです。先日もM資金詐欺で犯人グループが逮捕されたことが報道されていました。詐取した金額が31億5千万円と大きな金額の被害が出ています。しかも騙されたのは株式会社コロワイドの会長でした。

M資金詐欺とは、戦後GHQが日本で接収した資産などを基にした資金を現在も運用しているとする詐欺です。かなり歴史も古く、繰り返し発生しています。その都度話題になり、マスコミなどに登場しているにも関わらず、被害者は出ている状況です。

M資金詐欺が表面化しにくい理由

この詐欺の特徴は非常に大きな金額になることです。狙われるのは大手企業の経営者、芸能人、政治家などと言われています。これらの人たちは成功者であって、自分に対し特別な存在、ある種選ばれた人間であるという自負を持っていることがあります。

その自尊心が巨額資金の提供に対し、疑いの目をくらませることになります。実は明るみに出ている被害の数倍の被害があると言われていますが、それも騙されたことがわかっても、みっともなくて被害届を出さないからだそうです。

上場企業にも危険な会社は存在する

“自分は特別だ”と思っている人の自尊心をくすぐるのがM資金詐欺の手口です。またそこで狙われるのは、大企業の経営者や有名人だということをお話ししました。ここからは、似たようなリスクを孕む上場企業の危ない話について、お話ししようと思います。

皆さんは上場企業と聞くと、情報公開の義務があり、公開性の高い企業であると認識されているのではないでしょうか。公開情報を基に見ていけば間違いないと。概ねその認識で間違いありません。しかしその中には危ない会社も存在しています。

問題その1:創業社長が抱える危うさ

問題は経営者にあります。前回お伝えした大手アパレル小売りも、筋の悪い投資ファンドに入り込まれたのは、社長の出来心からでした。一代で会社を大きくした創業社長は、事業の拡大に伴って共に会社を支えた役員のなかに、煙たく感じる人物が出てきました。

その人物を排除するために、ファンドに自分の持ち分の株式を売り渡し役員の首を切ってもらい、その後で株式を買い戻す約束でした。おそらく自分はその役員に弱みを握られていたのでしょう、自らはその役員を切れない社長は、ファンドに役員の首を切ってもらおうとした計画でしたが、株は買い戻せませんでした。

問題その2:相続による株式保有を狙う投資話詐欺

上場企業の健全性を確認するチェック項目の一つは創業家が大株主になっているかどうかです。創業者一族の資産管理会社が大株主になっているケースもあります。創業一族が大きな持ち株を持っている場合、相続などで株式分割して保有されていきます。その中にはお金に困っていたり、お金に疎い人が出てくることがあります。

そんなところに、資金運用のコンサルタントなどが近づいてくるのです。そのコンサルタントはとても有利な条件の投資話を持ち込みます。

しかし、自己資金では手が出ない金額です。そこでコンサルタントは第三者の資金提供者を紹介します。その人物は株式担保で資金を融通すると持ち掛けます。そこで株式を担保にしたが最後、その株式は危ない人たちにつかまれてしまうのです。

広域暴力団の魔の手も…

数年前でしたが、地方にある東証1部上場の化学品メーカーの株式が乱高下をしたことがありました。この会社は老舗で、創業一族の資産管理会社が筆頭株主でした。しかし相続により創業一族出身の社長の兄弟が株式の一部を保有していました。

その人物に金融コンサルタントを名乗る人物から投資案件が持ち込まれ、株式担保で資金が提供されました。しかし、資金提供した人物の裏は広域暴力団でした。その株式は仕手筋に流れ、そんなに乱高下するはずのない銘柄にも関わらず、踊りまくりました。

それから数年後、同社の問題になった株式が場外で売買されました。それをもってこの会社の株式から広域暴力団はいなくなりましたが、同社が払った損失は大きなものとなりました。

 

今回は上場企業であっても、創業者一族が株主の場合のリスクについてお話ししました。また、機会がありましたら、危ない会社のエピソードをお伝えできればと思います。

情報屋H

情報屋H

投稿者プロフィール
大学卒業後、25年以上一貫して信用調査業界に在籍。 怪しい会社・経営者情報について国内トップレベルで精通。 業界を超えた「裏」情報ネットワークを保有。 日常の顔は、家族とスポーツを愛するお父さん。

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