アフェクティブ・コンピューティングで誰もが活躍できる場の創出を!(後編)

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株式会社ZENKIGENを創業し「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」というビジョンを掲げる野澤比日樹代表取締役CEO。前回の「AIとビックデータの力で人が全機現できる世の中を作る!」では、野澤社長がサラリーマン時代に学び今に活かされていることや、採用活動をオンライン化した採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」についてお話しいただきました。Part2では、「アフェクティブ(感情的)・コンピューティング」技術を用いたHR(ヒューマンリソース)分野でのイノベーションについて熱く語っていただいています。日本の人材採用に新風を巻き起こす野澤社長の構想とは。

株式会社ZENKIGEN 代表取締役 CEO 野澤 比日樹さん(Z-EN編集部撮影)

人間関係を感情ベースで見える化

Z-EN――前回、人事採用のオンライン化はビッグデータが要だとおっしゃっていました。ビッグデータの集積が可能だと判断されて一気にビジョンが見えたのですね!今は、東京大学とも共同研究をされていますね。

野澤比日樹氏(以下、野澤氏)――まだ研究段階ですけど、道徳感情数理工学を研究されている、ペッパーの感情エンジンを作った東京大学大学院の特任准教授・光吉俊二先生と研究を進めています。
この感情エンジンをHRのAIに載せていこうというわけです。

ペッパーに入っている感情エンジンは、喜怒哀楽がわかるエンジンですが、職場での感情は喜怒哀楽だけではありません。
喜怒哀楽も細かく分析すると140項目あり、感情に関する言葉を光吉先生が広辞苑で確認したところ4,000語もあったそうです。
英語では100数十語程度。

さすがに多いですが、これをメタデータとして取れるようにはなったので、光吉先生の技術を使ってHRに特化した感情エンジニアに変えていく研究を共同で取り組んでいます。
これが10万人、100万人が使うサービスになると、感情ベースの人間関係が見える化されると思っています。

面接官を育成するサポートAIサービスの開発

――候補者に「喜」の感情が見られた場合は、面接がうまくいく可能性が高まるということですか?

野澤氏――はい。
『ZIGAN(ジガン)』という名称の、候補者と面接官の面接体験を改善する「面接官サポートAI」サービスも作り始めています。
面接時に、候補者からの「信頼」や「尊敬」といった感情が生まれることで、その人の良い部分を引き出せるんです。
プロダクト名の『ZIGAN』は、禅の言葉の慈眼。
慈しみの眼を持って人を見れば海のように幸せが溢れるという意味です。

AI×HRはやっぱり欧米が進んでいます。
欧米は合理化文化なので、人も合理的に評価するようになるんですよね。
AI面接官が面接し候補者を評価して合否を決める世界です。

でも我々は、人ってそんなもんじゃないと思っています。
『ZIGAN(慈眼)』の名のとおり、AIは人の評価はせず、面接官に対して候補者がどういう感情になっていたのかを分析し面接官に気付きを与えるというサービスにしました。
面接官にその対応では求職者の良さを引き出せていなかったとか、逆に悪い印象を与えてしまったとか気づきを与える。
コンシューマー向けにサービス展開している会社だと、面接官の悪い印象は致命傷ですよね。

アフェクティブ・コンピューティングのリーディングカンパニーとして挙手

――AIが感情を理解するというのは興味深いです。

野澤氏――アフェクティブ(感情的)・コンピューティングという領域でして、2030年には10兆円のマーケットになるといわれています。
最近でこそ少し耳にすることがありますが、1年前までは日本語で検索しても殆ど記事がないといった領域でした。
ディープランニングの手法が確立したこと、ニューラル・ネットワークの研究が進んだことで、コンピュータが人の感情を理解できるようになってきた。
その学問がアフェクティブ(感情的)・コンピューティングです。

我々は日本で初めて、アフェクティブ(感情的)・コンピューティングのリーディングカンパニーになることを宣言しました。
機械が感情を理解する技術を、AIを使って面接の場や、今後は職場の1on1の場にも活用していこうとしています。

相性や感情はメタデータ化する

――入社後の活躍までを想定した採用ができるのでしょうか?

野澤氏――既存社員についてのメタ情報を入れていった方が様々な分析ができるので、個人情報保護の観点も含めて仮説検証を一緒にやってもらえるパートナーと少しずつ広げている段階です。
感情だけでなく適正検査データなども使い、我々のAIデータを掛け合わせることで適材適所の組織作りが可能になるのではないかと思っています。
このように、採用の段階からきちんと組織作りを意識することなども視野に入れていきたいと思っています。

▶次のページでは、これからの展望をお聞きしています。AIとビッグデータの掛け算でHR分野に新風を吹き込むお話をお届けします!

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野澤比日樹
株式会社ZENKIGEN 代表取締役 CEO

投稿者プロフィール
1998年に株式会社インテリジェンスに新卒入社。その後、1999年に創業期の社員数10人未満のサイバーエージェントに転職。大阪支社を立ち上げ、社長室、事業責任者としてマザーズ上場を含む会社の急成長に貢献。
個人最高賞である社長賞、組織最高賞のCAJJ賞受賞。事業責任者として当時最短での営業利益1億円を突破。5年間の事業経営で最終年度、売上30億円超、営業利益5億円超を達成。

2011年6月には、ソフトバンクアカデミアに外部1期生として参加する中で孫正義会長から声がかかりソフトバンクグループの社長室に入社。(アカデミア 2017年実績 5位/300人中)電力事業であるSB Power株式会社の設立、事業立ち上げに営業責任者として電力小売事業を立ち上げる。
電力完全自由化となり個人向けの日本初の森林寄付型の「自然でんき」を発案から販売まで事業責任者として従事。

2017年10月に株式会社ZENKIGENを創業し、現在に至る。

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