脳内物質のマネジメントでビジネスにハピネスを!
- 2021/10/6
- 経営全般
経営者や幹部にとって仕事に費やす時間は日常のかなりの部分を占め、幸せになるためにやっているつもりでも、そこにストレスや辛さを感じるのであれば、一度しかない人生は、かなり残念な状況に陥っています。幸福とは主観的なものです。近年の脳科学の進化により、そのメカニズムが解明され、ある程度は自身でコントロールできるようになってきました。精神科医でベストセラー作家でもある樺沢紫苑氏が自著「精神科医が見つけた 3つの幸福」(飛鳥新社)で、この分野を取り上げていたので、ビジネス目線を加えながらご案内いたします。
目次
脳内物質のマネジメントで幸せになる
樺沢氏は、幸福を感じるためには以下の3つの脳内物質が必要だと説きます。
- セロトニン的幸福(心と体の健康)
- オキシトシン的幸福(愛情、つながり)
- ドーパミン的幸福(快感・成功・お金)
ただし、上記の要素の優先順位と得る順番がとても大事で、それを間違えると、幸せになるどころか、不幸に陥る可能性が高まります。
では、何を大切にし、どんな順序で獲得すべきなのでしょう。
それぞれの特性と、どのようにすれば良いのか優先順位ごとに見て行きましょう。
最優先すべきは心身を健康に保つ“セロトニン”
日光を浴びて体を動かそう!
「健康が一番」と言われますが、知人の経営者は「健康が全て」と断言します。
ビジネスの第一線で、健康状態が悪い中、重要な判断をすることの難しさを感じているからです。
では、健康ホルモンと言われる「セロトニン」は、どうすれば分泌されるのでしょうか。
様々な研究結果が行きついた答えは、ずばり「運動」と「日光」です。
とてもシンプルです。
そのメカニズムの説明は省きますが、一過性のものではなく継続することが大事で「朝の散歩」でも十分に効果があるとのことです。
某上場企業の役員会は、早朝の散歩を行いながら重要な意思決定をしていると聞いたことがありますが、理にかなっていたのですね。
心の安定剤“オキシトシン”
つながりと愛情の感じられるコミュニティ選びを
人類の長い歴史を振り返ると、単独で生存することは困難であり、常に小単位の組織をつくり共存により生き延びてきたことが理解できます。
その進化の過程で「オキシトシン」という脳内物質が重要な役割を担いました。
「幸福ホルモン」「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、家族や恋人、ペットとのスキンシップはもちろん、感謝し、されることでも分泌されます。
現代においては、リモートワークやオンラインでのビジネスが増えることは間違いありません。
対面でのコミュニケーションが減少する中では、家族、そしてビジネスにおいては、どの組織に属するか、どのようなコミュニティをつくるかが重要になってきます。
やる気ホルモン“ドーパミン”をプラス
コントロール術で幸せを呼び込もう!
上記二つに比べると、ドーパミンの分泌によって快感が得られることは、比較的よく知られているかと思います。
仕事のモチベーションアップにはとても効果的ですが、使い方を間違えると大変なことになります。
中毒性があることでも知られ、アルコールや薬物、ゲームやSNSに夢中になっている時に分泌されます。
一方、仕事面では、昇進やプロジェクトの達成時、大金が転がり込んできた時にドーパミンが分泌され、快感になる人が多いようです。
仕事も人によっては中毒性があり「やる気ホルモン」とも言われます。
問題なのは、持続性が低く、慢性的に慣れてしまうことです。
仕事によるドーパミン効果の抑制が効かなくなると、更に高い報酬や刺激を求め、欲望のコントロールができず、結果的に不幸を招くという事例は枚挙にいとまがありません。
ビジネスで幸せになるために
これまで、ビジネスの世界においては時に「ドーパミン」的な幸福をうまく活用、時には悪用し組織マネジメントが行われてきました。
長期的にビジネスを通して幸福感を感じるためには、まず心と体の健康が大前提であり「セロトニン」を優先し、その後につながりを重視する「オキシトシン」を感じる環境をつくることが大事です。
この原則を忘れず、是非、皆さんの日々の生活、ビジネス、豊かな人生となるように役立てて下さい。
※転載元は「週刊 帝国ニュース 新潟県版 2021/10/1」