銀行の敷居は高くない~銀行を訪問して経営に活かそう
- 2021/11/22
- 経営全般
銀行に赴くことは情報交換や融資の先付けになるとしても、取引先とはいえ、経営者にとって敷居が高いと感じることが多いようです。銀行の敷居は高くないと断言されるのは、困難に直面したときの拠り所になる経営理念について、Z-ENで寄稿頂いている経営コンサルタントの大橋弘子氏。キャッシュフローコーチとして多くの経営者の銀行相談に同行する大橋氏が、取引銀行への定期的な報告がさまざまなメリットをもたらすことを教示してくださいます。
目次
銀行は敷居が高いですか?
一般的に、
「銀行の敷居が高い」
と思われている経営者の方は
多いのではないでしょうか?
面談相手がその銀行の支店長であれば、
尚更かもしれませんね。
しかし、私が経験する限り、
取引先企業の決算報告・月次報告のための訪問を
銀行はウェルカムで迎えてくださいます。
決して、「銀行の敷居は高くない」
ということをお伝えしたいです。
私は、キャッシュフローコーチとして
顧問先の取引先銀行である
地銀・信金の支店長様に
決算報告・月次報告をするため、
中小企業の社長様に同行しています。
取引先銀行へ報告に赴く目的は?
社長様に同行し、決算や月次の報告に
取引先銀行の支店長を訪問するのは、
クライアントのビジネスにおける
マッチング情報を得るためです。
開発計画や、投資情報
どこの会社が何を探しているか、
支店長には様々な地域の情報が寄せられています。
それらを引き出し、
自社のビジネスに活かすには、
社長様がやりたいことをうまく伝えて
応援してもらえる関係性を築くことです。
決算報告・月次報告で何を話すのか?
先日、
顧問先の取引先地銀さん2行へ
月次報告で同行してきました。
月次報告では、
直近の経営数字と行動の振り返りをし、
今期売上目標に対する進捗を
社長様が報告します。
支店長様、担当者様ともに
丁寧に聞いてくださいました。
最も関心を寄せられたのは、
顧問先の新商品サンプルと
新聞折込チラシです。
支店長様が
「ほぉ~、これはどうして○○なんですか?」
と興味深く質問してくださいました。
毎月報告を行う効果
情報提供による関係性の構築
いわゆる経営計画
(経営理念、経営数字目標、行動計画、
投資計画、人財計画など)をオープンに話し、
接点数が多ければ多いほど
協力してもらえる関係性を築けます。
一般的に
企業の情報提供量と融資額は比例する
と言われている所以です。
会計リテラシーの向上
毎月、年間予算計画の進捗と
行動の振り返りをプレゼンしますので、
社長様が経営数字に明るくなります。
アウトプットは大事ですよね。
以下は、京セラの名誉会長 稲盛 和夫さんの言葉です。
「会計がわからんで経営がわかるか」
それは、混迷する時代に、
血を吐くような思いで叫んでいる。
私の叱咤激励である・・・。経営を飛行機の操縦に例えるならば、
会計データは
経営のコックピットにある計器盤に
あらわれる数字に相当する。
(中略)
(その)意味するところを
手に取るように
理解できるようにならなければ、
本当の経営者とは言えない。出典:稲森和夫の実学 「経営と会計」
社長様が
「手に取るように会計が理解できる」
状態になるために、思考で終わりではなく、
思考→言語化で終わりではなく、
思考→言語化→アウトプット→プレゼン
の取組が加速させます。
また、
急速に発展している中小企業が、
突然、経営破綻を起こすことがあります。
会社の経営数字の実態を即座に把握しておらず、
ドンブリ経営となっているため、
経営判断を誤り、
最終的に資金繰り破綻をしてしまいます。
モチベーションアップ
社長様の「健康的なやる気強制力」です。
「銀行で支店長に報告するから、
経営計画実現(予算達成)のために、
がんばらなきゃ」と思われるからです。
増収への期待
年間の経営数字目標計画と行動計画が
連動できるようになりますので、
自然と売上が上がることです。
社長専門の経営コンサルタント
故 一倉定さんの言葉。
目標は
「その通りにいかない」
からこそ必要です。
それは、
社長の考えと
お客様の要求との食い違いを
社長に教えてくれるものだからです。
目標と実績との差の意味するものを
読み取って、
誤りのない方向を
見つけ出すことが重要です。
銀行の敷居が高いと感じる会社こそ行くべき
目標は、
銀行から借りたいときに、借りられる会社でしょう。
しかし、現実には、
- もう少し借りたいなぁ…
- 次も必ず貸してもらえるのかどうか不安…
- 銀行から「借りてください。」と言われるようになるには?
- どうやったら、プロパー融資を引き出せるようになるのか?
- もっと低金利で借りることができたら…
このような思いがある社長様には、
銀行へ行くことを特におすすめします。
その理由は、先述した以下のとおりです。
- 企業の情報提供量と融資額は比例する。
- 社長様のビジョンを語り、応援してもらえる関係性を築く。
銀行訪問同行時のコンサルタントの役割は?
私の役割は、ありません。
むしろ、
役割をもってはいけないと思っています。
支店長様と社長様が面談中は、
私は一切、話さず、黒子に徹します。
銀行が融資をするのは、
私ではなく、社長様だからです。
では、なぜ、コンサルタントが同行するのか?
①この会社には、専門家がしっかりついて、
会社が成長をしていくための体制整備をしている
と認知していただけるからです。
②ある社長様は、
支店長様に面談アポをとるとき、
「大橋さん(専門家)も同行するので」
と伝えると、
アポもとりやすいとおっしゃられます。
まとめ
取引先銀行は、
御社のビジネスの今の情報を
もっていらっしゃると思います。
特に、
地域密着型金融機関
(地方銀行・第二地方銀行、信用金庫等)は、
地元の中小企業のために、
お役に立ちたいという方が多いです。
また、地域密着型金融機関は
地元の情報の宝庫でもあります。
社長様は常に、
自社のビジネスに役立つ情報を
求めていらっしゃいます。
異業種交流会やセミナーにおいて、
そのような情報取得も有益でしょう。
取引先銀行へ
決算報告・月次報告のために訪問することで、
自社の情報を金融のプロにお話でき、
地元の情報を収集できる機会となることも
一つの選択肢として
とらえていただいてよろしいかと思います。
毎月の月次報告が負担に感じられるときは、
少なくとも年に一度の決算報告だけは、
欠かさないようにすることをお勧めいたします。