経営者が変わるとき、組織が生まれ変わる

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経営が何となくうまくいかない会社では、社員が困りごとを抱え、何より社長が方向性を見失っている場合があります。そんな時、多くの企業は改善に向けてまず、人事評価などの制度を導入しようとするものですが、それよりも前に見直すべきことがあると、経営コンサルタントの大橋弘子氏は言います。ご自身が携わった事例を基に、組織を生まれ変わらせるための考え方を教示してくださいます。

こんな社員さんの存在でお困りではありませんか?

① 社長が〇〇してくれない・・・くれない族
② 私の仕事じゃない・・・他責
③ 他の会社は、もっとお給料がいい・・・判断軸がお金

上記①~③の社員さんの存在が一つの要因で、
職場の雰囲気や社員同士の関係性が悪く業務も非効率。

経営がなぜうまくいかないのか。
その答えの参考となる事例をご紹介します。

私が過去に担当させていただいた
社員数50名程度の
ある企業での組織づくりについてです。

人事評価制度だけをつくっても意味がない

社長様は、
「今まで社員さんとの関わりを避けてきた」
「お給料を上げてくれと言われて困る。
何となく払ってきた給与とボーナスの
支払基準に根拠がない」

だから、
「大橋さんに人事評価制度を作ってほしい」
とおっしゃいました。

これに対して、会社の背景を伺ったうえで、
「人事評価制度だけ作るのであれば、
インターネットで検索すれば、
たくさんでてきますよ。
御社の場合、人事評価制度をつくっても
今の状態では意味がないと思います」

と、お答えしました。

関係性を整え、目的を共有する

社長様とお話した結果、以下の大枠につき策定することをご提案しました。

① 社員さんを含めた全員参加型の
□□経営理念策定・浸透支援
② 中長期事業計画策定・運用支援
③ ドンブリ経営からの脱却
□□キャッシュフロー経営の導入・運用支援
④ 人事評価制度策定・運用支援
⑤ 職務基準および役割と権限の明確化

これらを実践していくことで組織全体を改変できると確信し、
関わらせていただくことにしました。

まず「社長が変わる」

社長様に伝え続けた言葉は、
「社長が変わる以外に会社が変わる方法はない」
ということです。

そして、社員教育をする前に社員さんとの関係性を整えるため、
一貫した社員研修テーマを2つ決めて、
研修時に社員さんへ伝え続けることをお話ししました。

伝えるべきテーマは、以下の2つです。

1.自己の存在の承認
□□社員さんが何のために仕事をしているのか?
□□必要とされること、感謝されること
□□お金は手段であって、目的ではないこと
2.自己実現の明確化
□□働くことを通じて何を実現したいか?

全員参加型で経営理念を策定

顧問先で理念を策定する時、
理念の構成は、基本的に
ミッション(使命)
ビジョン(目標)
バリュー(仕事をしていく上で大切な価値観)
としています。

ミッション(使命)とビジョン(目標)は、
社長様と私で策定します。

バリュー(仕事をしていく上で大切な価値観)は、
社長様を含めた全社員さんでアイディアをだしてつくります。

全社員さんでつくる理由は、
現場の業務をすべて社長が把握
しているわけではないことと、
業務をする上でのやり方やこだわりは、
社員さんにしかわからないからです。

バリュー(仕事をしていく上で大切な価値観)
を社員さんも一緒につくることで
会社の理念を自分事として
捉えてもらえるようにもしています。

理念を浸透させる

理念は掲げているだけでは意味がありません。
理念の完成はあくまでもスタート。
全社員さんで理念浸透施策を行います。

何のために理念をつくるのか?

① 会社の方向性を明確にし、ぶれない軸の構築
② 理念(大切な価値観)で思考と感情を整える

↓↓↓
理念(大切な価値観)を習慣にする
↓↓↓
いい行動が生まれる
↓↓↓
いい成果をだし続ける組織になること。

最終的なゴールは、全社員さんの物心両面の
豊かさと幸せの実現です。

社員研修で関係性改善へ

社員同士の関係性改善に気づきを促し、
理念策定に関する初回研修の翌日、
社員さんから電話がかかってきました。

「大橋さん、ありがとうございます。
私が会社に言いたいことを全部、
大橋さんが研修で言ってくださっている」

という内容でした。

会社の方向性を明確にし、ぶれない軸の構築

理念策定と同時に、
会社の中長期事業計画を社長様と一緒に考えます。
理念に基づいた事業活動をした結果の
お金の裏付け
(売上・利益目標/人財・設備投資など)の計画です。

言葉にして発表、生まれた社長の覚悟

社長様の経営計画の発表後、
社員さんからネガティブな質問がありましたが、
社長様が真正面から、次の回答をされました。

会社として精一杯のフォローをすること。
覚悟をもって臨むこと。

そのご姿勢に、社長様が変わった瞬間を拝見しました。

発表後、社長様より

「経営計画を今まで考えたことがなかったけれど、
引き出してもらって、ありがとう。
言葉にしてみんなの前で発表したことで、
覚悟が決まりました」

と、お話がありました。

迷子をなくす


① 社長が〇〇してくれない・・・くれない族
② 私の仕事じゃない・・・他責
③ 他の会社は、もっとお給料がいい・・・判断軸がお金
④ 社員同士の関係性が悪く業務効率が悪い

上記①~③のような社員さんが存在して
④のような問題が生じてしまう要因の一つとして、
社長様も社員さんも「迷子」であることが多いです。

迷子とは、
・現在地がわからない
・行き先がわからない
・行き方がわからない
人のことです。

迷子を解消するために、
会社の方向性を明確にし、ぶれない軸の構築をして、
情報共有することが大切です。

働くことを通じて実現したいことは?

今まで自分に向けていた内向きのベクトルを
目の前の相手に向け、
関わる全てのステークホルダーに向けていこう。
□□1.社員とその家族
□□2.社外社員とその家族(取引先・協力企業等)
□□3.現在顧客と未来顧客
□□4.地域住民、とりわけ障がい者等社会的弱者
□□5.株主・関係機関・社会
(出典:人を大切にする経営学会

上記1~5の人々の満足を追求・実現しよう。
※利害関係者の意。株主や経営者、従業員だけでなく、顧客や取引先など広範囲に関わる人すべてを指す。

広い視点と長い時間軸を

もっと視点を広く!
時間軸をもっと長く!
この問いかけを社長様と社員さんに
これからも続けていきます。

私の広義のミッションは、
「想いを分かち合って、
多くの人の心に夢や希望を届けたい」
です。

~お断り~
事例をご紹介する場合は、わかりやすさを優先し、
また営業秘密の漏洩を防止する観点からも、
内容に一部改変を加えている場合があります。

大橋弘子
株式会社 スタートアップウェイ 代表取締役

投稿者プロフィール
キャッシュフローコーチ
理念実現パートナー
実装するパートナー型コンサルティングをFPとして
個人・法人支援実績:15年間累計1,500件超。
大手金融機関、メーカーなどで多数の講演、研修実績を持つ。
あり方>やり方=あり方重視で理念経営実践を指導。
ドンブリ経営から先を見通したキャッシュフロー経営導入・運用支援を行う。
◆所属先:日本キャッシュフローコーチ協会・人を大切にする経営学会 ほか
◆趣味:秘湯めぐり・おすすめの秘湯宿は長野県中房温泉旅館さん

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