【書評】シンプル思考による柔軟なルール作りが成功のカギ!

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私たちはとかく物事を複雑に考えがちで、窮地に追い込まれれば追い込まれるほど、問題が複雑で深刻だと妄信してしまいます。解決の出口がないとあきらめてしまう前に、すべての思考をそぎ落とし、シンプルに考え、シンプルなルール作りを試してみてはいかがでしょう。例えば、ナスダックにIPOしたエアビーアンドビー(Airbnb, Inc.)の創業者たち。彼らは、幾度となく倒産危機に直面しましたが、企業経営においてもシンプルであることを重視し、危機を乗り越え成長を遂げました。その体験の詳細を「SIMPLE RULES『仕事が速い人』はここまでシンプルに考える」の書評でご紹介します。ナビゲートは、コミュニケーションデザインや企業支援コンサルタントのエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏です。

SIMPLE RULES「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える
著者:ドナルド・サル、キャスリーン・アイゼンハート(三笠書房)

本書の要約

複雑なルールを徹底的に絞り込み、シンプルなものに変えることで、企業はスピードと実行力と柔軟性を手にします。ナスダックにIPOしたエアビーアンドビー※1 も当初は失敗を繰り返しますが、たった2つのシンプルなルールを実行することで、成長軌道に乗ったのです。

※1  2008年、ブライアン・チェスキー、ネイサン・ブレチャールチク、ジョー・ゲビアによって設立されたエアビーアンドビー(Airbnb, Inc.)は、サンフランシスコに拠点を置くアメリカのバケーションレンタルのオンラインマーケットプレイス企業です。Airbnbがホストするマーケットプレイスを通じてユーザーは、宿泊施設や観光体験の手配、賃貸物件のリストアップができるというサービスを提供しています。(Wikipediaより)

シンプルなアドバイスからチャンスを掴む

1 、100万人に好かれるより、100人に本気で愛される存在になりなさい。

2、ニューヨークに行きなさい。(ポール・グレアム)

エアビーアンドビーのブライアン・チェスキージョー・ゲビアは、創業時に失敗を繰り返し、なかなか事業を軌道に乗せられませんでした。資金が絶えず枯渇する中で、何とか起死回生を狙おうと、ベンチャーキャピタルの「Yコンビネータ※2」のスタートアップ養成プログラムに参加。この経験が、転機のきっかけになりました。

※2 YコンビネータLLC(Y Combinator LLC)は、2005年にポール・グレアム、ロバート・T・モリス、トリヴァー・ブラックウェル、ジェシカ・リヴィングストンにより設立されたカリフォルニア州マウンテンビューのシードアクセラレーターである。主にスタートアップ企業に対し投資している。(Wikipediaより)

100人に本気で愛される存在になるために

Yコンビネータで毎週火曜に開催される夕食会に参加し、養成プログラムに参加しているほかの起業家たちとの意見交換から様々な刺激を受けたのです。また、Yコンビネータの創立者、ポール・グレアムから受けたシンプルなアドバイスが彼らの思考と行動を変えます。100万人に好かれるより、100人に本気で愛される存在になると決め、ファンベースのマーケティングをスタートします。ブライアンとジョーの2人はホスト(部屋を貸しだす人)が多く、サービス利用が活発なニューヨークへ飛んだのです。

ニューヨークに行く

彼らは、ホストたちの家を一軒一軒訪問し、ホストや利用者のインタビューを繰り返しながら、サービスを改善していきます。ホストの家の写真を美しく撮り直すことで、予約者数がわずか1週間で2倍になりました。彼らは、実際にホストの家に宿泊してみて、改めてホストたちのことをビジネスパートナーであると実感しました。

ルールの改良

当初の彼らのルールは、「大規模なイベントをターゲットにする」でしたが、さまざまな人との出会いを通して、以下のようにルールを改良していきました。

  1. 大規模なイベントをターゲットにするのではなく、世界に目を向ける
  2. ホストを大切にする
  3. エアビーアンドビーの信念(たとえば、宿泊場所の写真は、プロ並みのクオリティを維持すること。ゲストが使うせっけんは新品を提供するなどのもてなしの精神。)に共感してくれるホストを獲得する

変化に適応し、変化を先読みしてルールを作ろう!

人生は何が起こるかわからない。エアビーアンドビーの創設者の3人も、きっとそう思っているだろう。サンフランシスコのアパートメントからはじまったビジネスが、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しつづけているのだから。

赤の他人を自宅に泊めるビジネスなんて絶対にうまくいくわけがないと、まわりの人たちから思われていたエアビーアンドビーは、シンプルなルールを採用することで、「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」の先駆者となりました。

シンプルなルールを教えたYコンビネータのポール・グレアムも、当初は彼らのビジネスモデルを疑っていました。グレアムがエアビーアンドビーに投資したのは、ジョーたちのビジネスアイデアに共感したからではなく、アメリカ大統領選の際にシリアルを売ってまで事業を継続させようとしたその根性を買ったからです。その際のグレアムの思い切った決断が間違っていなかったことは、エアビーアンドビーの躍進によってYコンビネータも大きなリターンを獲得したことで明らかとなります。

顧客体験を最大化することで起死回生を図る

エアビーアンドビーの創設者である、ジョー・ゲビア、ブライアン・チェスキー、ネイサン・ブレチャージクの3人の起業家は、何度も倒産寸前に追いこまれながらも、そこから這いあがってきました。そして昨年ついに、エアビーアンドビーは、ナスダックにIPOします。

登録物件も個人宅だけでなく、ラグジャリーな部屋やエアビーアンドビープラスというクオリティの高いサービスも用意しています。今では、古城やツリーハウスにも泊まれるようになり、バリエーションは豊富になっています。彼らは顧客体験を最大化することで、多くの顧客をファンに変えたのです。

ルールを作り直すという柔軟な思考を持とう!

人はさまざまな経験をもとに、ルールを進化させていく。だが、完璧に思えるルールであっても、永遠につづくルールはない。ときには、すべてを破棄してつくり直さなければならない状況に直面する場合もある。

登録物件も個人宅だけでなく、ラグジュアリーな部屋やエアビーアンドビープラスというクオリティの高いサービスも用意しています。今では、古城やツリーハウスにも泊まれるようになり、バリエーションは豊富になっています。彼らは顧客体験を最大化することで、多くの顧客をファンに変えたのです。

今回のコロナ禍の中でもエアビーアンドビーは、キャンセル時の返金の仕組みを改善するなど様々な施策を行うことで、顧客の支持を得ています。結果、業績は比較的堅調を維持。環境が変わる中で、企業も既存のルールに縛られることなく進化させていく必要があります。シンプルなルールを時代に合わせて修正し軌道を変えていく企業が、成功という果実を手に入れるのです。

徳本氏の著書「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)」

出典:徳本昌大の書評ブログ!毎日90秒でワクワクな人生をつくる「エアビーアンドビーが成功した理由とは?シンプルなルールを明確にしよう!」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
iU 情報経営イノベーション専門職大学特任教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。
現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。
ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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