【書評】習慣を定着させる行動モデルを理解して人生の大きな武器にしよう
- 2021/7/2
- 書評
資格取得の為の勉強や、ダイエットのための運動など、三日坊主で終わった経験はありませんか。「習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法」は、4万人以上を対象にした実験を元に、科学的に実証された正しい人間の行動のあり方と正しい習慣に行動を変えるメソッドが納められた一冊です。著者のBJ・フォッグ氏は、スタンフォード大学行動デザイン研究所の創設者兼所長を務める行動科学者です。小さな行動を継続して習慣を積み重ねる「タイニー・ハビット」。著者が提唱するこのメソッドについて、企業支援のエキスパートとしてご活躍の書評ブロガー、徳本昌大氏がナビゲートします。習慣化が苦手な人でも、「タイニー・ハビット」によって、今後の人生をより充実して過ごせるのではないでしょうか。
習慣超大全——スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法
著者: BJ・フォッグ (ダイヤモンド社)
目次
本書の要約
習慣化できないのはあなたのせいではありません。アプローチが間違っているのです。よい習慣は気合や根性で身につくものではなく、継続できる仕組みをつくることで身につくので、続けることがとても重要です。意思力に頼るのをやめ、小さな習慣(タイニー・ハビット)を積み重ねることで、私たちはやがて大きな目標に到達できます。行動科学をベースに習慣を構築すれば、結果を出せるようになります。
大きな変化を小さな行動に分解しよう
小さいことは強力だ。 少なくとも、大きな変化を起こす手段としては。
タイニー・ハビットでは、たくさんの小さな成功を積み重ねることを目指します。自分が望む行動を分解し、小さな行動にして生活の中に自然に組み込むのです。小さな成功体験をいくつも作ることで、新しい習慣は定着します。
継続できない自分を責めるのをやめ、著者のアドバイスに従い、悪い習慣をよい習慣に置き換えていきましょう。
効果的な習慣デザインに必要なこと
- 自分自身を裁くのをやめる
- 目標を決め、「小さい行動」に分解する
- 過ちを発見として受け入れ、前進するために役立てる
長期的な変化を望むなら、小さいことから始めるのが最善の方法です。
タイニー・ハビットは、30秒もあればできる小さな習慣です。時間がない人でも、これなら簡単に取り組めます。小さいことなら先延ばしせずに、今すぐ始められます。また、小さな習慣ならリスクもありませんから、失敗を気にせずにすみます。シンプルなことは、行動を変える力があるのです。
タイニー・ハビットは行動のレシピをつくること
いちばん簡単な習慣を選ぶこと。 「できそうだ」といちばん強く思える習慣を選ぶこと。 大がかりだと感じない習慣を選ぶこと。
タイニー・ハビットを構成する3つのプロセス
1.アンカー
すでに習慣となっている日課(歯磨きなど)や、何かが起きたとき(電話がかかってきたときなど)。このアンカー(錨)によって、小さい行動を実行します。
2.小さい行動
身につけたいと思う、新しい習慣を簡単にした行動を実行します。1本の歯をフロスする、腕立て伏せを2回だけ行うなどの小さい行動です。この小さな行動を選ぶ際に重要なことは、自分ができそうだと思ったものを選ぶことです。
3.祝福
実行したら自分を褒めましょう。自分を褒めると、ポジティブな感情が生まれます。アンカーから小さな行動へアクションを起こせたら、「よくできた!」と自分を褒めるのです。その小さな成功を「祝福」することが、次のアクションにつながります。 うまくいったという感覚が、新たな習慣を取り入れる原動力となり、継続への意欲をかきたててくれるのです。
小さな成功体験を繰返すこと
成功が成功を呼ぶ——これはよく言われていることであり、私の研究でも裏づけられている。だが、意外な事実もある。どうやら成功の「規模」はあまり重要ではないようなのだ。 たとえ小さい習慣でも成功したと感じると、自信が急にふくらみ、その習慣をふたたび実践し、関連する行動を取ることへのモチベーションが高まる。私はこのような成功を「推進力」と呼んでいる。意外にも、これを生み出すのは成功の「頻度」であって「規模」ではない。
行動のデザイン化
小さな成功体験をいくつも作って習慣化を確実にするために、行動をデザインする7つのステップを取り入れます。
ステップ1:「願望」を明確にします。
やりたいことを書き出します。
ステップ2:「行動の選択肢」を挙げます。
ステップ3:「自分に合った行動」を選びます。
ステップ4:アクションを小さく切り刻み、
最小限の単位でスタートします。
ステップ5:そのアクションのための、
効果的なきっかけ」を見つけます。
ステップ6:成功を「祝福」します。
自分を褒めることで、
モチベーションを高めます。
ステップ7:トラブルシューティング、
反復、拡大
悪習を絶つときは、きっかけにフォーカスする
悪い習慣をやめたければ、きっかけに働きかけるだけで、習慣をやめられることがあります。「きっかけを取り除く」「きっかけを避ける」「きっかけを無視する」のいずれかで、嫌な習慣は止められます。
習慣飲酒を絶ったときの事例
私は、アルコールとのきっかけをつくらないようにし、ビールを飲みたくなったら炭酸水で代用することで、アルコールをやめることに成功しました。毎晩、眠る前に飲まなかった自分を祝福することで、断酒に成功したのです。
- きっかけを取り除く→家中のアルコールを捨てる
- きっかけを避ける→飲み友達に近寄るのをやめる
- きっかけとなるようなメディアを避ける→アルコールのCMを避けるために、TVを見ない
悪習がなくなったスペースに良習が生まれる
望ましくない習慣を取り除いたとき、そのスペースには、情熱を傾けるプロジェクトや、仕事の生産性の向上、かつてない深い絆、新たなアイデンティティといったものが生まれてくるかもしれない。 その中には、あなたが自ら選択するものもあれば、まわりからもたらされるものもあるだろう。
アルコールから解放されたことで、私は学ぶ時間を手に入れました。読書を楽しみ、書くことを習慣化することで、私の人生は劇的に変わりました。アウトプットを続けるうちに、出版や連載のオファーを受け、社外取締役として独立することもできました。タイニー・ハビットから小さな変化を起こすことで、理想の自分を実現できるようになるのです。
徳本氏の著書「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
出典:徳本昌大の書評ブログ!毎日90秒でワクワクな人生をつくる「BJ・フォッグの習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法の書評」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。