【書評】消費の中心にいるのは「グリーン×エクイティ」に関心を持つZ世代

Z世代が強い関心を持つグリーン×エクイティは、日本企業も無視できなくなっています。前回取り上げた、DXの勝者の常識になったデジタル×グリーン×エクイティを、軽視する企業は早晩淘汰される運命にあるのかもしれません。今回の『世界最先端8社の大戦略「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代』書評は、企業を強くする戦略策定の観点から、書評ブロガーで、企業支援のエキスパートとしてご活躍の徳本昌大氏が紹介します。

世界最先端8社の大戦略 「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代
著者:田中道昭(日経BP)

押さえるべきデジタシフト成功の鍵

社会において企業はどのような存在意義を持つのか。それがパーパスです。このパーパスを実現するには、デジタル、グリーン、エクイティを単独で追求するだけでは事足りず、デジタル×グリーン×エクイティの三位一体で推進していく必要があります。

企業は今こそパーパスを再確認し、そこから戦略や組織を考えるべきです。田中氏は、デジタルシフトに求められる「5つのシンカ」 を本書で紹介しています。

デジタルシフトに求められる「5つのシンカ」

  1. 「本質」のシンカ
    デジタルシフトとは「本質」の進化ですから、小手先のデジタル化を推進しても意味がありません。事業そのもの、企業そのものの本質を進化させることでデジタルシフトを実現するのです。
  2. 「CX」のシンカ
    デジタルシフトとは、CXの進化です。アマゾン・ゴーではもはや「買い物していると感じさせない」「支払いをしていると感じさせない」ほど、スピーディで快適な買い物体験が実現されています。CXの進化は、「より自然に」がキーワードになっています。
  3. 「データ分析」のシンカ
    蓄積されたデータをAIによる分析にかければ、以前よりもはるかに高い精度で「ユーザー1人ひとり」の行動パターンや心理パターンを把握し、サービスを最適化できます。これは、ユーザー1人ひとりの、刻一刻とリアルタイムで変化するニーズまでを把握したセグメンテーションであることを意味しています。「○年○月○時○分のあなた」というところまで細分化したマーケティングが、ビッグデータ×AIにより可能となっているのです。最新のテクノロジーを活用し、データ分析のデジタルシフトを実践すべきです。
  4. 「つなげる」のシンカ
    デジタルシフトは、ありとあらゆるものを 「つなげる」ことを可能とします。 各企業がデジタルシフト戦略を立案する際は、「どうすれば顧客とつながることができるのか」、あるいは「つなげた先にどのようなサービスを展開できるのか」を設計していく必要があります。
  5. 経営スピード」のシンカ
    企業の競争力は、まず経営スピードに表れます。デジタルシフトもまた、経営スピードの進化に活用されるべきです。企業の各部門が同時にスピードアップを図るために、そのためのデジタルシフトを模索し、実践しましょう。

企業を強くする戦略策定「12のポイント」

田中氏は、デジタルシフトの戦略策定の方法も教えてくれます。

  1. ①  すべての階層において優れた戦略になること
    「より優れた商品・サービスを提供する」「業務上のニーズに貢献すること」「事業上のニーズに貢献すること」「戦略上のニーズに貢献すること」「存在意義や使命上のニーズに貢献すること」。デジタルシフト戦略は、これらすべての階層において優れた戦略になることを目指します。
  2. ②  本質的でインパクトがあることを生命線とすること
    デジタルシフト戦略とは、会社が掲げるビジョンの実現に向けて、戦略的に立案されるべきであり、強く・好ましく・ユニークなものが重要です。「強く・好ましく・ユニーク」(ブランディングの三拍子)が揃うからこそ、ブランド価値、顧客価値、社員価値の向上に寄与する戦略となるのです。
  3. ③  自社の基盤を形成する概念に精通すること
    経営者が持つ哲学・想い・こだわり、ミッション・ビジョン・バリューはまさに企業の根幹を成すものです。それを踏まえた戦略でなければ、事業の本質を進化させるデジタルシフトにはなり得ません。
  4. ④  自社の事業の本質から入ること
    デジタルシフトとは、事業の本質をアップデートするものです。まずは自社の事業の本質を見極めなければなりません。
  5. ⑤  自社、自社の競合、自社の顧客やマーケットを徹底的に知る努力をすること
    Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3C分析を重視し、その結果として、自社の強みを明らかにすることで、競合に打ち勝ち、顧客からも評価されるデジタルシフト戦略が明らかになります。
  6. ⑥  経営者の思考をリサーチ、分析すること
    デジタルシフト戦略立案の当事者は、経営者が何を考え、どのように発言しているのかを徹底的にリサーチし、その経営者の哲学、こだわり、想いを明らかにする必要があります。
  7. ⑦  アマゾンのみならず米中メガテック8社をすべて本質的にベンチマークし、それを本当に活かした大胆な戦略となっているかを明記すること
  8. ⑧  リサーチ・調査を踏まえた分析・評価、 それらを踏まえた戦略となっていることに留意すること
  9. ⑨  「先に打ち手ありき」の戦略となっていないか、「実施した分析から本当にそのまま導き出された戦略であるか」に徹底的にこだわること
  10. ⑩  競合他社にもそのまま使えるような戦略にならないよう十分に注意すること
    ユニークで独自性のある、自社にふさわしいデジタルシフト戦略をつくる。
  11. ⑪  自分自身が大胆なビジョンを持つことが不可欠であることを再認識し、それを自分たちの方法で投影したものにすること
  12. ⑫  「求められていることは何か?」 「何のためにやっているのか?」と問い続け、目的や使命を常に意識すること

田中氏の主張は多岐にわたりますが、DXやSXを経営に取り入れようとするならば、本書でデジタル×グリーン×エクイティの重要性を確認することをお勧めします。

徳本氏の著書「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)

出典:徳本昌大の書評ブログ!毎日90秒でワクワクな人生をつくる「田中道昭氏の世界最先端8社の大戦略 『デジタル×グリーン×エクイティ』の時代の書評」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO
ビズライト・テクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
情報経営イノベーション専門職大学【iU】客員教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。 特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。

現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。

ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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