【書評】アイデアを生む「自分の言葉で書き出す」メモ術

仕事でメモを取ることは多くとも、読書をしたり、ふと頭に浮かんだりした自分の考えをメモする習慣がある方はそう多くないのではないでしょうか。
現代では紙やデジタルなど多様な形でメモを取ることが可能になり、自分に適したインプット・アウトプットの方法も多く選べるようになりました。

そんな中、世界トップクラスの学者やビジネスパーソン、クリエイター、作家などが使っているというメモ術が、ズンク・アーレンス著「TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる」の中で紹介されています。

今回は、読書メモが10年分あるという書評ブロガーでおなじみの徳本昌大氏が、ご自身の経験を元に本書の書評をお届けします。

TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる
著者:ズンク・アーレンス(日経BP)

本書の要約

自分の頭の中を整理する際、考えを組み立ててから引き出すより、考えを書き留めたものを手元に用意するほうが、比較にならないほど作業が楽になります。
教育・社会科学分野の作家・研究者のズンク・アーレンスが本書で紹介するのは、ニクラス・ルーマンのメモ術の「Zettelkasten※(ツェッテルカステン)」。「自分の言葉でメモをとる」を体系化することで、アイデアが生まれるようになります。

この「ツェッテルカステン」というメモ術を知っているだけで、書くことが楽になるのです。

※ニクラス・ルーマンは、58冊の本と数百本の論文を執筆した社会学者。
いずれも高いクオリティを誇る古典的名著だが、その功績は彼が考案した「ツェッテルカステン」というメモ術によるとされている。
ツェッテルカステンは、「自分の言葉でメモをとる」などのコツを習得することで、オリジナルの発想が自然と貯まり、メモが独自の理論になっていくメソッドである。

考えるよりもまずはメモる

貯まったメモを使うと、書くだけでなく、長きにわたって学ぶことや新しいアイデアを生み出す作業も簡単で楽しいものになります。
でもいちばん大切なのは、自分のプロジェクトを前に進めるようなかたちで、毎日書けるようになることです。(ズンク・アーレンス)

考える前に貯まったメモを見てみましょう。文章や論文の質と書きやすさは、主題を決めるよりも前に書き留めたメモの中から生まれるのです。

メモがあればあるほど、書くことが楽になるのです。

もちろん、なんでもかんでも自分で考えているわけではないよ。思考はおもに、ツェッテルカステンのなかで起こるんだ。(ニクラス・ルーマン)

メモをとることは、考え、読み、学び、理解し、アイデアを生み出すことを最大限に促進します。

メモをとることは自分の思考を整理すること

実際、私も書評を書き始めてから、メモをとる利点を実感しています。普段はこのようなスタイルをとっています。
①本を読む
②刺激を受けた箇所をマーキング
③メモを取る
④書評ブログにまとめる

これを毎日繰り返すことで、面白いアイデアが生まれるようになりました。
読書メモを日々蓄積し、書評ブログに書くことで、頭の中で情報と情報がつながるようになりました。
私の場合、書評ブログを外部脳とし、書き留めて読み返すことで、様々な情報がつながるようになったのです。

さらに著者の言葉を自分の言葉に置き換えることで、本への理解も進みます。何かを長いあいだ学び続けたければ、その内容や自分の考えを自分の言葉で書き留める必要があるのです。

書き出すことでアイデアが生まれる

考え、読み、学び、理解し、アイデアを生み出すことは、ものを書く人や勉強の中心的な仕事です。

これらの活動をすべて向上させるためにメモをとれば、強い追い風に乗れるはずです。

私は14年前に断酒をしましたが、お酒を飲んでいる頃は、読書メモをほとんど作らずにいました。
アウトプットのない読書からは良いアイデアはあまり生まれてきませんでしたが、お酒をやめ、書評ブログを書くことを習慣にすることで、インプットとアウトプットの質が一気に高まりました。
良書には興味深いアイデアやケーススタディはたくさん書かれていますが、書評ブログのなかで紹介できるのは、その一部のみです。

使わないアイデアはメモにストックし、それをいつも取り出せるようにしておくことで、生産性が高まります。メモをクラウド上にアップしておくことで、いつでも大切な情報を検索で探せるようになるのです。

追加するすべてのアイデアが蓄積され、それが一定の量を超えると、アイデアを溜めていたにすぎなかったものが、一転してアイデアを生み出すようになります。

私は今までに10年以上の読書メモをストックしており、それが私の財産になっています。

仕事でつかえる“外部脳”

私は自分の書評ブログを「外部脳」としていますが、連載記事を書くときも、キーワードをブログの検索ボックスに入れれば欲しい情報がすぐに見つかります。
これにより文章を書くことが苦ではなくなりました。企画書や提案書を作成する際にも、非常に役に立っています。

また、本を読む際にも、自分が欲しい情報を短時間で見つけられるようになりました。文章の要点を見分ける能力を身につけることで、生産性も上がります。
たくさん読めば、読めるほど多くのことを学べます。

その結果、読書メモが増えていき、さらに良いアイデアを生み出すことができるのです。

ツェッテルカステンとタッグを組めば、これまでは分けて考えられていた、あるいはまったく関係ないと思われていた複数の事実を、互いにつながりのある新しいアイデアに変えることができます。

私たちは何かを読むたびに、書き留める価値があるかないかを判断しています。
永久保存版のメモを作成するたびに、その中のテキストのどの側面が、長期的な思考やアイデアの展開に関連すると考えられるかを判断しています。

アイデアや情報がどう相互につながるかを常に明確にして、それを文字どおり、メモとメモのあいだのつながりに変換しています。

様々な本を選び、それらを読むことで、散らばっていた情報が繋がって物事を深く理解したり、自分の可能性を広げたりすることができるようになります。
自分の苦手な分野や異なる意見を持つ著者の本を読み、著者との対話を重ねることで、コンフォートゾーンを抜け出せます。

また、つながりの可能性のある情報をインプットし、それをメモにストックすることが、未来の自分に良いアイデアをもたらしてくれるのです。

情報の相互価値と関連性を意識したメモの蓄積こそが「ツェッテルカステン」の極意です。
賢くメモをとり続けることで、アイデアが自然にやってくるようになる。実際に10年以上書評ブログを続けてきてそう思います。

本書のメモ術からも、自分に使えるメモ術がきっと見つかるでしょう。

徳本氏の著書「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)

出典:徳本昌大の書評ブログ!毎日90秒でワクワクな人生をつくる「山本康正氏の世界を変える5つのテクノロジー――SDGs、ESGの最前線の書評」
この記事は著者に一部加筆修正の了承を得た上で掲載しております。

徳本昌大
Ewilジャパン取締役COO
ビズライト・テクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
情報経営イノベーション専門職大学【iU】客員教授

投稿者プロフィール
複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。 特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。

現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動するなか、多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施中。

ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。
マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

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