SNSなどインターネットを介した情報発信ツールの活用は、企業間でも浸透してきています。しかし、有効な運用ができていると自信を持って言える経営者はどれくらいいるでしょうか。自社の強みを打ち出せているか?訴求力のあるコンテンツはどうやって作ればいいのか?悩める経営者に向けて「実践的コンテンツ制作ツール」を開発したのが、株式会社大広で広告関連のコンサルティングを手掛ける増田浩一さん。中小企業診断士として、経営者の課題解決支援もされる増田さんに、考案したツールを活用したブランディングの内容や経営者支援の活動についてインタビューさせていただきました。
目次
目指すのは多様な価値提供
Z-EN――増田さんの現在に至るまでのご経歴を教えてください。
増田浩一氏(以下、増田氏)――2009年に広告代理店である大広に入社して、現在も所属しています。
元々、絵を描くのが好きで、数学や物理も好きだったので、それらすべてが楽しくできるような学問はないかと高校時代に考えていました。
リベラルの立ち位置で言うと建築系がいいかなと思い、早稲田大学本庄高等学院から早稲田大学の建築学科に進みました。
当時は、絵が描け文化も学べて科学もできる、カルチャーとサイエンスが融合している様を描くのがすごく面白いということを体感しました。
そこから順当にいけば建築士になるはずだったんですが、コンセプトを考えるのが好きになりまして、広告代理店に就職すればいろんな会社のことがわかる、その結果、世の中の仕組みが理解できて、さまざまな価値提供ができると思ったんです。
中小企業診断士になる
──それで広告代理店である大広に入社されたのですね。
増田氏――はい。広告会社を選ぶときも、大企業で一部品になるよりも、中規模企業で現場に出て自分の裁量で判断できるような仕事をやっていきたいと考えました。
それで大広に応募し採用していただきました。
入社後は売上規模200~300億円の地方の企業を中心に、名士と言われる経営者の方々とお仕事させてもらいました。
食品メーカーの食品開発や機械の販売戦略など、B to B、B to C問わずリプランニングも含めたご提案やご支援をしてきています。
経営者の方々のお悩みには、CMを作りたいとか次の事業をどうするかということ以上に「人を上手く使いたい」や「今後のビジョンを明確化したい」などの経営課題に関しての質問もとても多いです。
それに応えていくために、もっと企業の問題に詳しくなって打ち返しができるようになろうと勉強を始め、2020年に中小企業診断士の資格を取りました。
コンテンツ制作メソッドの開発
──大広に入社されてから、ストラテジックプランナーとして、企業のマーケティング活動の支援や実践的なブランディングなどの広告戦略、商品戦略立案をされてきたとお聞きしています。さらに、中小企業診断士になられて、企業のコンテンツ制作へ携わってきた経験・知見を基に発表した研究論文が、「東京都中小企業診断士協会会長賞」を受賞されたとのこと。おめでとうございます。
増田氏――ありがとうございます。
受賞テーマは、「小規模事業者の情報発信を効率化するコンテンツ制作ツール~12の『呼び水』を使ってサクサク創る制作メソッド~」です。
これは、その会社の強みを見つけてセールスコンテンツを作りその仕組化を図るためのツールについて書いたものです。
このツールをいろいろな会社に提示させていただいていますが、志としては、社長の頭の中に強みや発信するべきコンテンツはあるのだから、それを引き出すための補助ツールが世の中に足りていないというだけのことというスタンスでいます。
企業の強みを引き出す仕掛け
──企業のコンテンツ制作・発信ツールを考案した経緯をお聞かせください。
増田氏――診断士になっていろいろな会社の経営者とお話するのですが、皆さん、自分の会社の強みを客観的にみる機会があまりにないのではと直感的に感じたことがきっかけですね。
いろんな取組みや施策を展開されていても、大手の真似をしたり、競合と同じだったりしていて、もっと強調すべきその会社の持ち味に気づいてほしいと思いました。
──経営者自身も気づいていない、あるいは、気づいていても伝えきれていない会社の持ち味を引き出すお手伝いをするということでしょうか。
増田氏――はい。実際に居酒屋さんや築地の商店、神田神保町にあるビンテージレコード屋さんのマーケティング支援をさせていただいています。
このツールを使っていただくことで、独自性の際立った施策ができるようになるんですね。
そういう様を見ているのがすごく楽しいですね。
▶次のページでは、経営者のお悩みを解決する「実践的コンテンツ制作ツール」について、詳しく解説してくださいます!