市民が営み生きる権利を作り出す!公民連携による自立可能なまちづくり
- 2024/8/22
- インタビュー
岩手県紫波郡紫波町で公民連携事業開発コンサルティング業務を手がける株式会社オガール。代表の岡崎正信氏は、紫波町が平成21年度から始めた紫波中央駅前都市整備事業「オガールプロジェクト」の運営を担い、地域が持つ風土、風俗、カルチャーを尊重し自立できる地域創成を手掛けています。公民連携の同プロジェクトによって紫波中央駅前は、複合施設やビジネスホテル、分譲のエコ住宅、町役場の庁舎が立ち並ぶ街へと変貌し、多くの視察者が訪れ注目を集めています。その中心的役割を担う岡崎氏へのインタビューをお届けします。
目次
公民連携をけん引する先駆者
Z-EN――自治体をはじめ、パブリックな機関と一緒にビジネスをすることについては非常に悩ましい問題をはらんでいると思いますが、岡崎さんは、この自治体に関連した事業に携わってこられたのはどのくらい前からですか。そのきっかけも教えてください。
岡崎正信氏(以下、岡崎氏)――公民連携で事業をやろうと思ったのは18年くらい前の2006年からですね、
本業は建設業だったんですが、従来の建設業は受注産業なんですね。
誰かが作った仕事をただひたすら待っているという受けの業態。
特に地方都市の建設会社というのは。バブルが弾けた後、97年に当時の建設大臣が最後の16兆円をばらまいて、それが全国の地方建設会社の最後の潤いだったんです。
父が亡くなって地元に帰らなければならなくなって、帰ったのが2002年。
当初3~4年は受注の仕事が本当に厳しくて、やる気もなくなっていましたが、その時「公民連携」というキーワードが耳に入ってきたんですね。
私も以前から、地方の建設会社も受注産業から仕事をつくる側にならないとダメだろうと考えていたんです。
公民連携がまだあまり知られていない時期で、東洋大学の大学院に公民連携専攻ができたのが、2006年。
どこの自治体も、基本的には財政が厳しい状況ですので、活性化事業はできない。
金がない自治体に代わって民間がパブリックの部分になるというスキームは、これから大きなビジネスになるだろうと思いました。
公民連携が成熟しない内在的な問題
首長と議会の関係
例えば、選挙で選ばれた市長は執行権を持っているにもかかわらず、それをチェックする権能を持つ議会の方々が議会軽視と言っている場面が多いじゃないですか。
でも、議会軽視と言っていること自体、その人たちは市長のことを軽視していると最近強く感じていて、市長は執行権者として市民の代表に選ばれたのだからリスペクトしなきゃいけないと私は思います。
市民を代表する市長が市民のことを考えてやろうとしている場面で執行権を犯すような行動をするのは あまり感心しませんね。
もし本当に議会で否決したいのであれば、否決するなりの理由が必要だとも思います。
公民連携への不理解
今の公民連携に関して言えば、官の側が民間と連携する前にしっかり内部で連携していてもらいたいと感じることがあります。
日本社会の 構造、構図として、パブリックという言葉は「官」だけのものだと市民の多くが認識していますが、 実際は違うんですよね。
例えば、民間の不動産にも公共的な要素があり、楳図かずおさんの家のように近隣住民から景観を悪化させていると提訴されるような事態も起こるわけですから。
パブリックイコール「官」という日本に定着する認識のもとで民間がパブリックを担おうとすると、ものすごいアレルギー反応を起こすわけですよ。
▶次のページでは、岡崎さんが主催するザキオカスクールや教育の場での官民連携を実現する学校創設への構想を語っていただきます。