暗号資産がインターネットを通じて取引されるようになってから10年ほどが経ち、分散管理が可能な暗号資産にも取引の種類と数が増えることに伴う課題が顕著になっています。今回ご紹介するのは、日本国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスを行う暗号資産交換事業者である、株式会社ビットポイントジャパン代表取締役会長の小田玄紀氏へのインタビュー。小田氏は株式会社リミックスポイント代表取締役社長CEOでもあり、暗号資産の先駆者的存在でもあります。インタビュアーは、Z-ENでも暗号資産に関する記事をご寄稿いただいている中島宏明氏。中島氏はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を行い、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っていらっしゃいます。暗号資産への知見が豊富なお二人に、暗号資産を取り巻く現在と未来予想について詳しく伺います。
目次
頑張る人が報われる社会をつくるという使命
中島宏明氏(以下、中島氏)――本日は、ありがとうございます。リミックスポイントには4つの事業領域がありますが、今日は特に金融関連事業に当たる暗号資産取引所のビットポイントについてお伺いできればと思います。まずは、小田さんのご経歴からお願いします。
小田玄紀氏(以下、小田氏)――2001年の学生時代に起業し、最初は学生マーケティング事業を始めました。
今では東大ベンチャー企業は多くなりましたが、当時は私たちとチームラボくらいしか東大発のベンチャーはなく、学内でも特異だったかもしれません。
事業が軌道に乗り、2002年からは社会起業家支援を、2003年からはベンチャー企業への投資などを通じてベンチャー企業支援を行ってきました。
「社会起業」「ソーシャルベンチャー」と呼ばれる領域は当時まだ理解がなく、「それなら、モデルケースをつくろう」と思って、子どもが売られない世界をつくるために認定NPO法人・かものはしプロジェクトを始めました。
ベンチャー企業支援については、当時はベンチャーキャピタルから資金調達する際も決算書3期分の提出が必要で、「本当に資金が必要なのは、もっと早い段階なのに」と感じていて。
「それなら、自分たちが投資して支援しよう」とシード段階からベンチャー企業を支援することにしました。
企業の課題を解決する事業の展開
その後、2011年の東日本大震災が転機になり、事業再生も開始しました。
「失敗しても再チャレンジできる世の中にしたい」という想いからです。
そんななか、リミックスポイントから社外役員として参画してほしいとオファーがあり、リミックスポイントを再生させることになりました。
リミックスポイントは、『頑張る人が報われる』社会をつくることをコンセプトにしています。
2012年からの6年間で、時価総額を4億円から1000億円に成長させることができました。
リミックスポイントは、規制緩和や法令改正などの社会が変化するタイミングで生じる課題を、事業を通じて解決する企業として、現在は「エネルギー事業」「金融関連事業」「自動車事業」「レジリエンス事業」の4つを事業領域としています。
ビットポイントは、そのなかで金融関連事業に該当します。
企業再生に挑む理由
中島氏――小田さんのご経歴や事業に対する想い、ビジョンは、『再生 逆境からのスタートと不祥事勃発――それでも私がリミックスポイントの社長であり続ける理由(幻冬舎)』で丁寧につづられていますね。「再びの再生」や「逃げない経営」という言葉が、小田さんのお人柄を表していると思います。起業家や経営者の方々にも、ぜひ読んでほしい一冊です。
暗号資産市場成長市場への予見
中島氏――では次に、ビットポイントや暗号資産についてお伺いできればと思います。小田さんとビットコインとの出会いは、どんなものだったのでしょうか?
小田氏――ビットコインの名前くらいは聞いていたのですが、強く関心を持ったのは2016年3月頃のことです。
暗号資産(当時の名称は仮想通貨)に関する取り決め、いわゆる資金決済法改正の閣議決定があり、毎日のようにビットコインや暗号資産に関するニュースが報じられていた頃でした。
その様子を見ていて、電力自由化と同じ気配を感じたのです。
リミックスポイントでは、エネルギー事業において電力小売事業を営んでいますが、電力自由化がスタートした2016年当時にも、参入したタイミングが半年くらい遅かったと感じていたことから、「これは今始めないといけない」と暗号資産への参入を決意しました。
▶暗号資産への参入を決意した小田さんは、暗号資産取引所ビットポイントを開設されます。次のページでは、小田さんが取り組まれている暗号資産業界の課題についてお届けします!