評価制度は賃金分配制度にあらず!わかりやすい評価で人を育てる
- 2022/9/22
- コラム
目次
評価制度の正しい運用方法
評価制度についてご相談をいただく際、「すでに評価制度はあるが、上手く運用ができていない」といったケースが多くあります。
通常業務やその成果と結びついているか
なぜ、上手く運用ができていないのか?
その要因の一つは、評価制度が「日常の業務や求める成果・成長と連動していない」ため、上司も部下も評価制度の効果のイメージが持てず、運用されなくなっていくことです。
「自社の理想の人物像」を明文化し、それを細分化して基準を作ったものが評価制度です。
評価したい自社の理想の人物像を作る時は、下記の2点を踏まえて作成すると良いでしょう。
- 経営理念で求めている考え方・価値観を体現する具体的な行動は何か
- 自社で求める成果・成長を実現する具体的な行動は何か
理解しやすい行動指針を
このように社員にとってわかりやすい具体的な視点で評価制度を作ることにより、日常的に経営者・管理職が部下に求めている成果・成長につながる行動が正しく評価されることになります。
経営者・管理職は、理念に沿った社員の成果創出行動が増えるよう指導するようになる
⇓
社員の成果創出行動が増える
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社員が成長し、成果が出る
⇓
社員は評価され、よりモチベーションが上がる
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経営者は業績向上だけでなく「社員の成長」を実感できる=「経営者の喜び」
評価制度を正しく運用することで、この素晴らしい循環を実現できるのです。
具体的な評価システムが人を育てる
若手育成エピソード
今回は私がご支援をさせていただいているクライアント様で実際にあった、若手の成長エピソードをお話ししたいと思います。
そのお客様は、北陸で自動車の販売や整備を行っている、従業員10名ほどでその半数が20代という若手中心の企業です。
社長の価値観は明確でしたが、具体的にどのような行動を社員にして欲しいのか、どのように人材育成をしていけばいいのかが定まっておらず、事業は成長していく一方で組織的な不安をお持ちでした。
そこで、経営理念の見直しと、役割ごとに期待する行動も含めた理想の人材像の明示を始めとし、社員がそのような行動がどの程度できているか定期的に確認し改善していけるように評価制度を作り、運用が定着するまでサポートさせていただきました。
特に、評価内容をフィードバックする面談の前に、評価を受ける側が課題を正しく受け入れられるよう、一人ひとりの行動をどのように改善して欲しいのか、具体的に伝えられるよう検討を重ねました。
面談実施後には「面談した次の日から挨拶が良くなった」「リーダーとして期待している女性のスタッフが新人の採用・育成などの新しい分野への挑戦をしたいと言ってくれていてとても嬉しかった」といった声を頂戴しました。
数か月後、そのスタッフは学生の職場見学の案内や新入社員に向けた研修にも取り組むなど、具体的行動を起こし、成長を実感しておられます。
評価基準は経営理念を映しだす鏡
評価制度の運用がこうした成果につながるのは、経営者自身が心から信じ日頃から実践している価値観を経営理念として明文化し、それに沿った評価の基準を活かして社員の方一人ひとりと向き合ったことがポイントなのです。
そして何より、「彼はこんなことができていて、更にこうなって欲しい」「彼女にはこんなことをして欲しい」と、社長様がとても楽しそうに人材育成についてお話されていたことが印象的でした。
この事例から、評価制度は人材育成のための手段、すなわち「人材育成システム」であるということがお分かりいただけたと思います。
自社で取り組む際の参考にしていただければ幸いです。
前回コラム「人が育つ仕組みをつくる~明文化した評価制度は成長へのロードマップ」はこちらからご覧ください。