異業種コラボで地酒の可能性広げ、若い世代に伝える(後編)

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地元高校生に酒造り体験を提供

画像は徳島新聞より

――地元の高校とのコラボレーションもなさっていると伺いました。どういった内容ですか。

馬宮氏――2008年から徳島県立三好高校の食品発酵コース 醸造専攻の生徒たちに酒造りを指導しています。
地酒は地域社会に根ざしたものです。
三芳菊の原料米は、ほぼ全量を地元の契約農家さんに作っていただいていますし、日本最大河川のひとつ吉野川から流れる伏流水で仕込んでいます。
そんな自然豊かな土地で長年育まれてきた地酒造りを通して、地元の良さを高校生にも知って欲しいと思いまして。

――高校時代に酒造りを体験できるのは貴重ですね!

馬宮氏――生徒たちは夏頃から蔵に来て基礎を学び、蔵での作業を実際に見て、体験しながら12月の初搾りの日を迎えます。
生徒たちが絞って瓶詰めしたお酒は生徒たちの発案により、三好高校の実習訓練「大地と共に心を耕す」という言葉から、「大地の夢」という名前にしました。
瑠璃色のボトルに張るラベルは、三好高校の書道の先生が書いてくださった躍動感あふれる文字と、酒造りに関わった生徒を表現するポップなイラストが描かれます。

もちろん、生徒たちはお酒を試飲することはできませんが、色や香りでお酒の味わいをイメージし、成人後に試飲できる日を楽しみにしています。
昨年11月中旬からもろみ造りなど仕込みにあたった、食農科学科の2年生7人のお酒も、無事蔵出しできました。
地元の人はもちろん、県外に就職したOBたちも、「ふるさとの地酒」として飲んでくれているようです。

若い世代に地元の良さを伝え、世代間を繋ぎたい

写真はZ-EN撮影

――しっかり地域貢献もなさっているのですね。

馬宮氏――高校生との酒造りを通してたくさんの生徒やその家族、先生方とも交流できることは貴重な体験でした。
三好市は自然豊かな環境はもちろん、四国のど真ん中にありアクセスもいいし、何より四国の文化がごちゃまぜになっている感じがいいです。
そんな魅力を持つ三好市を元気にしていきたいんです。

自分がここに帰ってきたように、若者が帰って来られる町、ここにいたければ出て行かなくてもいいような町に変えていきたい。
そのためには若い力が必要ですが、年配の方々と若い世代の間には壁があります。
だから、これからも世代を繋ぐようなことをしていきたいと思っています。

――力強いお言葉に馬宮さんのお人柄と酒造りへの情熱を感じます。素晴らしいお話の数々、ありがとうございました。

インタビューの前編は、「挑戦を重ね、『ワイルドサイド』の日本酒を醸す」でご覧いただけます。

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馬宮亮一郎
三芳菊酒造株式会社 代表取締役・杜氏

投稿者プロフィール
徳島県三好市生まれ。立教大学卒業後、レコード店勤務を経て、実家の三芳菊酒造(三好市)を継承。
2000年から、杜氏として酒造りを行う。
2008年から、徳島県立三好高校の生徒たちに酒造りを指導。
2021年、音響機器メーカー「オンキョー」と加振酒プロジェクトを実施。
酒蔵でのライブや、「三芳菊を飲む女子会」といったイベント、各地での日本酒会などを積極的に展開中。

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