スタートアップラボ vol.6~希望ある未来を創造する新ビジネス
- 2025/7/20
- 事業投資
目次
高速広域Wi-Fiの活用で日本を変える! DX通信株式会社

DX通信株式会社 乗松氏
家庭Wi-Fiを地域全体へ拡張する発想
DX通信株式会社の乗松と申します。
弊社は、皆さんが家庭で使っているWi-Fiをお住いの地域全体で広域かつ高速での使用を可能にして、あらゆることに活用していこうと事業を始めております。
3年前に各分野のプロフェッショナルが集結し、「夢を実現する男たち」として創業しました。
弊社は、町の中に高速・広域のWi-Fiの基地局を作って、あらゆることに使えるようにするというのがミッションです。
特に、災害対策、水害の見守り、スマート農業、防災・防犯、教育、といったものに活用できます。
あるいは、ドローンと連携して、茶畑を監視してその出来具合を監視することも可能です。
基地局の低コスト化がもたらす革新
私たちは、人に優しい社会を作りたい。
みなさん、Wi-Fiという言葉はよく聞いていても、どういうことができるかはなかなかご存じないと思います。
根底から通信インフラの常識を覆し、広域Wi-Fiによって地域の防災対策やDX化推進などを実現できますが、基地局を建設するコスト自体は非常に安いんです。
4G、5Gの基地局が5000万円、1億円かかるといわれているところ、弊社の場合、大体200万円でできてしまうんです。
コストを大きく下げられるので、通信費を限りなくゼロにすることができるのがメリットです。
通信費を「限りなくゼロ」に近づける仕組み
4人家族の場合、年間20万円~30万円の通信費を使っているご家庭がほとんどだと思います。
しかし弊社の事業では、屋内でも屋外でも、その街にいる限り1家族2,000円~3,000円のコストでインターネット環境を使うことが可能です。
移動体通信とWi-Fiの電線は、4Gから5Gと言われています。
携帯電話、スマホに表示される「5 G」は、実際は4.1 Gと4.2 Gです。
本当の5 Gは大容量なので電波が届かないという欠点があり、日本をカバーしようとすると100万局の基地局を作らないとできないのが現実です。
Wi-Fiは、Wi-Fi5までは屋内専門だったんですが、Wi-Fi 6になると能力的には5 Gとスピードはほぼ変わりません。
さらに、Wi-Fi 7がそろそろ実用化されるので、これは5 Gを上回る能力を持っていて、しかもアメリカのオープン特許ですので、技術革新が急速に進むと見込まれています。
弊社が提供する「町全体でWi-Fiを共有する」プロジェクトは、緊急性の高い問題など、これから地方が抱える課題に非常に大きな貢献ができるのではないかと考えています。
特に、人口減少に悩む地方の町は、「ここに住んだら通信費が0円」とPRすることもできます。
企業に対しても、インターネット通信費が無料だとのメリットを打ち出して誘致できますし、実際に、それを公約にして昨年当選した町長さんもいらっしゃいます。
また、AIカメラによる見守りなどの治安維持や農家のサポート、独居高齢者などの課題解決、スマートホームへの活用などにも有効に使えます。

DX通信が提案する「DX化がもたらすサービスと安心な暮らし」
震災支援から生まれた通信の意義
高速・広域Wi-Fiがもたらす新しい社会では、社会の多様なニーズにやさしい対応ができて、緊急性が高い課題にも応えられます。
基地局1局あたりの電気の使用量は、4G、5Gの30分の1ぐらいで済みます。
私は、東北の大震災のときに現地の復興支援に携わりました。
地震などで断線して電気が来ない、1か月経っても通信が復旧しないなどの際には、小さな太陽光電池と蓄電池を組み合わせた電源で基地局が動いてしまいます。
つまり、少ない電気で稼働でき、CO2の排出もほとんどなく、環境にやさしい。
そして、何よりも家計にやさしい。
これらの3つの優しいを世界に提供していきたいと思っております。
私も東日本大震災の復興で2年半ぐらい陸前高田や大船渡市の復興に携わったんですが、通信の復旧が遅く、スマホが通じない。
スマホ向けの災害のコンテンツが色々できていてよく採用されるんですが、スマホが使えなかったら何の意味もありません。
インフラというものは、安いコストでできるものであるべきで、災害などのいざという時のために安いWi-Fiを張っておくことが本当の危機管理だと、弊社は全国にアピールしています。
「通信費0円のまち」で移住・企業誘致を促進
2022年2月22日に弊社を設立し、創業から3年が過ぎて、事業の具体化に向けて多くの自治体や企業が動き始めております。
今、全国72の自治体とコンタクトを取っていますが、大体1,800ぐらいある全自治体のうち54%が人口3万人以下です。
全国で約1,000か所の3万人以下の人口の地域に手を差し伸べることが我々の使命と考えて活動しております。
おかげさまで自治体のみならず、さまざまな業種の企業から非常に大きな反響をいただいています。
公園の照明やナイターの照明などにAIカメラとWi-Fiをつけて、不審な動きがある人を発見したらすぐ連絡することができる。
こういった取り組みも企業の協力を得て実証実験としてやらせていただいています。
注目の導入事例──宮城・福岡・千葉の取り組み
具体的な実例では、宮城県大河原町の町長が、町民は全員無償でWi-Fiが使えるようにすると宣言して当選しましたので、4年間での工事を、まず今年は第1期工事として町内の4分の1ぐらいをやる予定です。
福岡県の田川市では、従来、10年から15年に1回、全部交換しなければいけない防災スピーカーの見積もりが大手電機メーカーさんは4億円だったそうです。
天気のいい日はよく聞こえるんですが、夕方になって雨が降ってきたりすると何も聞こえないなど、耳が遠い高齢者からの不満が多い中で、弊社は、スピーカーだけではなくマルチメディア化をしようと提案しています。
ファックスでもテレビでも通報できる、電話でもLineとかXでも見られるような出口・入口をつけて、マルチメディア化したスピーカーシステムです。
これを弊社は2億8000万円でやります!と言って、市長も副市長さんもとても興味を持ってくださっていて、これが当面の1番大きな案件なのでなんとか取りたいと考えています。
福島県の津波でやられた町では、津波が来た時の防災対策として、まずAIカメラの見守りから始めて、最終的に115の基地局を作りたいという計画があります。
千葉県の勝一宮町はサーファーのメッカで、年間70万人ぐらいのサーファーが来ます。
非常にいい波が来るんですが、ご存じの通り地震があって津波が来る危険性が高いといった問題意識が高いです。
ここも、避難警告基地局を作り、単にWi-Fiの電波が飛ぶだけじゃなく、「サメが出てきたぞ」「変だよ、ボートが入ってきたぞ」「溺れている人がいるぞ」という時にも役に立つ、カメラが見守っている町にしようとしています。
さらに、津波警報が出たときには、速やかに警報が鳴って、スピーカーで、とにかく一刻も早く海から上がって逃げてくださいと警告できる。
これだけで何万人もの命を救うことができるんです。
マーケットは1.5兆円、目指すはIPO
広域Wi-Fiの市場は、オペレーションの費用を含めると1兆5000億円ぐらいのマーケットがあると考えられます。
よって、その10%が取れると売り上げは1500億円です。
連携企業もいろいろありますし、一緒に手を組んだら面白いと言ってくださる企業も増えています。
当面2億円ほどの資金調達を計画しており、IPOを2028年に想定しています。
どうぞよろしくお願いいたします。
▶次は、保険活用型ボディマネジメントプログラムを展開するフラクタルワークアウト株式会社です。